空気を洗うように
雑巾がけの習慣は、一人暮らしをするようになってから始まった。
週に1度。お休みの日にバケツにティートゥリーやユーカリのアロマを数滴たらし、掃除機掛けが終わった床を拭いていく。
モップでもなく、電動でもなく、使い込んだ手ぬぐいを自分で縫って
雑巾にしたものを使う。
最後の仕上げのような感覚で、拭いていく。
動物も飼っているし、雑巾がけがいつしか私のルーティンになっていった。
やらない週は、なんだか気持ちが悪し居心地も悪い気がしてしまうほどだ。
アロマを勉強して資格を取ってから、アロマオイルを垂らして掃除するのがすっかり定番になった。
すべての床を拭き終わった後の、あの何とも言えない空気の清々しさ。
もちろん香りの効果もあるとは思う。でも埃が一掃され、塵がない空気の清潔さを五感で感じているのかもしれない。
病みつきになったのは、この気持ちよさからだろうと思う。空気清浄機とはまったく違う、自分が手を動かして行う清掃の行為。
「気持ちいい~」と思わず、声が漏れるほどだ。
まるで空気が洗われたように、同じ空間とは思えない極上の瞬間だ。
それから次の雑巾がけまで、心理的にも気分良く暮らせる。
雑巾がけには、もう一ついいことがある。
隅々まで目で確認することで、故障や傷やなにかしらに早めに気づく点だ。
家というのは、小さな問題を早めに解決することで、少額のコストで済むことがほとんどだ。毎週とは言わずとも、月に1・2回はこうして這いつくばって雑巾がけをすると小さな出来事に気づく。
こんな風に家と対話をするように掃除をしていると、当然のことながら愛着も湧くわけで、一人暮らしを初めてしたときの賃貸では、大家さんと不動産屋さんに「こんなに長い間住んでいて、こんなにきれいに住んでくれた人は初めてです。ありがとうございました」と感謝されてしまったほどだ。
こんなお褒めのお言葉をもらってしまうと、褒められると伸びるタイプの私は、もう雑巾がけの虜になってしまう。
今は便利な家電があり、私も忙しい日々の中でどれだけ助けられているかわからない。でもこの雑巾がけだけはやっぱり格別な行為であり、清潔のマイルールになっている。
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