「谷神不死」(老子 第6章)

🌿 #日々老荘 🌿

「谷神不死」(老子 第6章)

「谷神は死せず、これを玄牝(げんぴん)と謂う。」
「玄牝の門、これを天地の根と謂う。」
「綿綿としてこれを用うるも勤(つ)きず。」


「谷神」とは何か?

老子は、「谷神(こくしん)は死なない」と語る。
「谷神」 とは、まるで谷のように 何も持たず、すべてを受け入れる存在 のこと。
そして、その谷の奥深くには 「玄牝(げんぴん)」 という、すべてのものを生み出す源がある。

ここで老子が言いたいのは、
🌿 「生命は、空っぽであるからこそ、永遠に続いていく」 ということ。

たとえば、

  • 谷は低く広がっているからこそ、水を受け入れ、川を生み出す。

  • 壺は空洞があるからこそ、水を入れて使うことができる。

  • 人もまた、何かを空にしてこそ、新しいものを受け取ることができる。

つまり、「満ちることよりも、空っぽであることが力になる」 という考え方だ。


考察:「満たすこと」より「空にすること」

現代の私たちは、常に何かを 「満たそう」 としている。
知識、仕事、成功、人間関係……

でも、老子の言葉は、
🌿 「本当に大切なのは、空っぽでいることだ」
と教えてくれている。

谷が空っぽだからこそ、水を集めるように、
心も 「余白」 があるからこそ、新しいものを受け入れることができる。


実体験:何もしない時間が、豊かさを生む

この春、公園のベンチに座り、桜の花びらが舞い散るのを眺めていた。
何も考えず、スマホも開かず、ただ風の流れに身を任せてみた。

すると、ふとした瞬間に、今まで考えても出てこなかった新しいアイデアが浮かんだ。

これはまさに、「谷神不死」 の教えではないだろうか?
「頭の中を空にすることで、新しいものが自然と流れ込んでくる」
余白を作ることで、かえって豊かさが生まれるのかもしれない。


問いかけ:「あなたの谷は、満たされすぎていないか?」

あなたの心の中に、「余白」 はあるだろうか?
スケジュールを詰め込みすぎていないか?
考えすぎて、心がパンパンになっていないか?

もしそうなら、今日ほんの少しでもいいから、「何もしない時間」 を作ってみてほしい。
頭を空っぽにして、風の音や鳥のさえずりに耳を澄ませる。

そのとき、もしかしたら、今まで見えなかった「何か」が見えてくるかもしれない。

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