短歌

君という他人に詩を書いてみる不在の乙女は彼氏がいるよ

しくじった、惚れちまったなその時は既に手のひら、アバンチュールさ

「古代失恋はいつも初夏だった気がする」そういうキスをする初夏

凪いでいる夏の虚構と見つめ合う君は淡水混じり気のない

気付こうよ失くせるうちに大切さ愛しさそれも世界でひとつ

あの薔薇は私が水をあげたんだ この世に二つとない薔薇なんだ

失くせるうちに愛を 失くしたあとには弔いを サヨナラ/想って

お前もう天国行けないんだから俺に殺されること噛み締めろ

まだ夏で泣いていたいよ嘘でした知らない人と恋紛い、飽き

あの夏を悔いていたいよじきに咲く花びら全部破り捨てても

もう二度と悲しまなくていいように先に済ませておいた殺人

思い出すこともなくなるただ一つ季節が死んだそんな気がした

確実に殺したはずのあの気持ちを思い出したいって泣いた

だりぃんでメイクしませんでしたと言う俺にキスをして、キスをして

夜と朝の間でいつも泣いている キスが欲しいと泣いているんだ

あの曲を歌え踊れ踊ってしまえ 何回でも何回でも愛してるって

君を月に見立てて書いた散文、インクの掠れた筆、万年

夏が来る季節は巡る花は咲く貴方は居ない遠い空、雲

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