紅藍 短歌

クレナイ

想い出をくれた貴女のせいでした 暮れない恋が始まったのは

いつだってサンクコストに生きているだから引き際見紛うなって

紅に色付く空はこれからの俺ら二人を照らす色じゃない

歴史的瞬間でしたワタクシが恋に落ちるの千年振りで

過剰なルッキズムのなか生きる私たちを抱き締めたい、撫でたい

恋をした 八月、某、月明かり 梅雨に戻った様に降る雨

溢れ出た恋の心に見返りはいらないけれど捨てはしないで

底無しの沼に浸かってじゅくじゅくの愛に溺れて火傷しちゃった

一、二本 見送ってくれた夕闇のプラットフォームに響く声

少しでも近づきたいから少しだけ真似してむせるシガレット

身を切って溢れるものは愛か血か 知らぬあなたはマッチングアプリ

「怪我するよ」「危ないよ」って言ったって聞かない恋をしているあなたは

傷付いた時に近づく男には心も股も開くべからず

その瞬間 君が笑顔で居るのならサンクコストとかどうでもいいの

午前四時まで繋いでた繋がってた頃の風は黄金めいて

心臓撫ぜる貴女の声に眠る夜は擦れたマッチの後でした

「眠れない夜に書く詩を朝読んで」「違う昼だろ、お前が起きるの」

愛してる 今は愛してない今を愛してるのよベイビー

行き過ぎた遠くを見つめる夜 雪でも降れば慰められるかな

戻らない瞳も命も感情も すでに返却されているのに

別れだけあるから悲しみばかり増え、すり減る精神 減る友人

「好き」という声を呼び水に破滅した男もあって女もあって

真っ白な献花を自分に捧げては命失くした夜に帰って

生まれ変わって結婚したいから殺したい死にたい。愛されたい

酸化したコーゴ・レートに愛という命与えてあげてください

墓が立つ、墓標に集まる喪服にはレクイエムなど知る由もない

笑うあなたは花の如 落とした紅花を拾う毎 まるで他人事

愛してはくれないけれど優しくて それがあなたの愛だったのかも

藍色の音楽聴いて君のこと思い出しては失っていて

恋人が出来たらきっと嗚呼ずっと君に恋していたんだろうな

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