「 球体関節人形 」

僕は君に作られた球体関節人形

魂など宿ってないけど何となく君の感情が流れ込んでくるんだ

もしかしたら僕を作った時に君の心の欠片が流れ込んできたのかもしれない

君が触らない限り僕の体を動かすことは出来ない

眼も硝子玉で見えない

でも感情を持ってしまった

このもどかしい気持ちを誰にも伝える事は出来ないけど

君の手で体を触られると嬉しいんだ

僕は作られた球体関節人形

君の望むのなら何時までも傍に居るよ

いつだって君の柔らかい手の感触が僕の心に響く

君の心が嬉しいと僕も嬉しくなるんだ

決して動く事は出来ないけれど

僕は君に恋をしてる

ただただ君の傍に居たいんだ

だから何時までも僕の事を近くに置いておいて欲しい

君の心が壊れかけたのなら僕の事を抱き締めてくれたら僕は君の事を護るから

だから何時までも球体関節人形の僕を見て

ただそれだけが僕の願い

僕を作った君というご主人様

ただそれだけの関係のはずなのにね

どうして僕はこんなにも狂おしく君を求めてしまうのだろう

狂おしい程の思慕を僕はずっと君に抱いてる

ただ僕のご主人様に僕を見て欲しいからずっと傍にいるんだ

僕の心は君で満たされていてとても幸せな反面

触れないのが悔しい

何時か僕の体が自由に動かせる事が出来るようになったのなら

この硝子玉の眼が本物の眼になったのなら

僕は何時までも君の髪を撫でながら愛を語りたい

叶うことの無い願いだけど

今の僕にはそれの実現が出来たら良いのにと切実に願う

ほんとにそれだけが僕の願い