【終わりは始まり】「明君のお母さんと僕」~夏の雪~
これまで出版してきた小説のラストシーンを紹介するコーナーです。
第一回目は、匠芸社・シトラス文庫で初めて出してもらった「明君のお母さんと僕」(2022年1月7日発売)です。
作品紹介
中学2年生の夏、唯一の親友だった「明君」が交通事故で亡くなった。言葉にならない喪失感と日々感じる疎外感に苦しんでいた僕だったが、明君のいなくなった家を訪れて、明君のお母さんと互いの寂しさを埋め合うように、禁断の行為に溺れていく。
昭和の夏の、団地で、繰り広げられる擬似的な母子相姦ストーリー。
この夏最後のSEXを終えてから、明君のお母さんは「あっ」と言った。
「カーテン……」
茜色の空が見えている。カーテンは開けっ放しだった。
明君のお母さんはパンティも穿かないまま、窓辺に駆け寄った。
あぁ、綺麗だなぁと思った。
夏の夕暮れの中、明君のお母さんの後ろ姿がシルエットのように見えた。
「雪さん」
僕は明君のお母さんの名前を呼んだ。
「なあに?」
明君のお母さんはカーテンを閉めた。
僕は、本当は「ありがとう」とお礼を言いたかったけどなんだかキザな気がして、
「ティッシュ、取ってくる!」
と、元気よく立ち上がった。
おわり。
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YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」より