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【終わりは始まり】「お向かいさんは僕の先生」~神様がくれたもの~

 これまで出版してきた小説のラストシーンを紹介するコーナーです。

 第二回目は、匠芸社・シトラス文庫より発売された『お向かいさんは僕の先生』(2022年12月30日発売)です。

作品紹介

14歳の従妹と裏山で秘密の行為を楽しむ僕は、17歳の夏、お向かいさんに小学校時代の担任の女教師が嫁いできたことを知る。初恋の人でもあった早坂香里先生は、眼鏡にポニーテールの真面目な先生だったけど、いまは人妻で、夜は旦那さんと不道徳すぎる変態行為に耽っていた! 
日本の古き良き田舎を舞台にした、郷愁のポルノ小説。 




「お前も投げてみるか?」
 ター坊がボールを香里先生に手渡した。
 香里先生はボールを手にした。
 それから僕のほうをまっすぐに見つめてきた。
 香里先生の背後には茜色に染まった空が広がっていた。
「若林君、いくで」
 それはスローモーションの映像を見ているようだった。
 小学校の頃だ。放課後のドッジボールに香里先生が参加してきたことがあった。
 香里先生の投げ方が下手すぎて、可愛くて仕方なかった。
 あの時と同じ女投げのフォームだった。
「えい!」
 懸命な掛け声とともにボールが山なりに飛んでくる。
 意外にもノーバウンドでここまで届きそうだ。
 僕は香里先生の投げたボールを目で追う。
 うちの縁側にある、涼花の作った風鈴が音を立てていた。
 ター坊と涼花と僕、そこに香里先生が加わった夕方のキャッチボール。


 僕はこの幸せなひとときを掴むように、グローブを構えた。



                       (おわり)



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試し読みはこちらから。


朗読動画もあります。YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」より。

著者プロフィール

柚木怜(ゆずき・れい)

京都出身、東京在住。1976年生まれ。
23歳の頃よりフリーライターとして、週刊誌を中心に記事を執筆。30歳の時、週刊大衆にて、初の官能小説『白衣の濡れ天使』を連載開始(のちに文庫化されて『惑わせ天使』と改題)。
おもに、昭和末期を舞台にしたノスタルジックで、年上女性の母性溢れる官能小説を手がける。
また、YouTubeチャンネル「ちづ姉さんのアトリエ」にて、作品を朗読配信中。

著書

『惑わせ天使』(双葉社)
『おまつり』(一篇「恋人つなぎ」 双葉社)
『ぬくもり』(一篇「リフレイン」 双葉社)
『初体験』(一篇「制服のシンデレラ」葉山れい名義 双葉社)
『明君のお母さんと僕』(匠芸社 電子書籍)
『お向かいさんは僕の先生』(匠芸社 電子書籍)
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 女教師・白木麗奈の失踪事件 堕天調教編』(匠芸社 電子書籍)
『邪淫の蛇 夢幻快楽編』(匠芸社 電子書籍)
『姉枕』(匠芸社 電子書籍)
『郷愁ポルノ 僕らの五号機』(匠芸社 電子書籍)







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