見出し画像

隣の仕合わせ

スマホを開けば

楽しそうな笑顔が流れてくる
「○○行ってきた!」
「今年は家族で海外旅行!」
「みんなで最高の夏!」


いいな と思う
あの中にいたら どんな気持ちなんだろう
きっとあたたかくて
しあわせで
何の不安もないんだろうなって

ふと 隣の家の窓に目を向ける
こぼれる灯りの向こうから
小さく響く 笑い声や食器の音
ああ あの温かさが羨ましいなって思う


でも 気づけばそばにも
同じような灯りが揺れていて
何気なく交わす
「行ってらっしゃい」や「おかえり」
温かいご飯の湯気が立ちのぼる

どこか遠くへは行けなくても
この家で 家族と過ごす日々が
何よりの幸せだって思える


本当はちゃんと わかっているのに
それでも時々
羨ましくなるのはなぜだろう

きっと
それが手に入ったとしても
また別の誰かを 羨むのかもしれない


みんなそれぞれに
それぞれなりの幸せがあって
誰かの幸せは
私にとっての羨ましさでもある

もしかしたら
私の幸せも
誰かにとっての羨ましさなのかもしれない


自分って恵まれてるんだなって
誰かの苦しみを見て思うこともある

でも それはきっと
比べることで見えてくるものだから
安心するための答えには したくない


仕合わせは
たぶん
誰かからもらうものじゃなく
自分の中に
そっと見つけるもの


だから私は
比べるためじゃなく
見つけるために
この目を開いていたい


隣の仕合わせは
眩しく見えるけど

私の仕合わせも
ちゃんと ここにある



いいなと思ったら応援しよう!