海月になりたい
感情を捨ててしまえたら
この胸の重さも消えるだろうか
迷いはない
哀しみも 不安もない
楽しいことも うれしいこともない
えがおも 涙もない
ただ 静かに
揺蕩うだけの存在でありたい
寂しさも 孤独も感じない
透明な身体は なにも映さない
月光を浴びて ゆらめきながら
波に抱かれて 溶けてゆく
そんな静寂のなかで 呼吸する
限りなく広がる 無音の世界
儚く消える命こそ自由だと
海の底は そっと教えてくれる
生まれた瞬間(とき)から終わりまで
すべてが美しい夢のよう
静けさを抱きしめながら
ふれた指先で 消える影となりたい
そんな静けさを 纏いたい
何も語らず
何も残さず
ただ 消えてゆく夢になりたい