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私の本業について@一般撮影編
こんにちは!
今日は私の本業である、診療放射線技師の仕事の1つ、一般撮影について、少し書きたいと思います。
暇つぶしにでも、こんな仕事してる奴おるんやなーって、感じで見てってください☺️笑
一般撮影?
というと聞き慣れないかもしれませんが、レントゲン撮影のことです。
今日はレントゲンについて少しだけ深掘りしてお話ししたいと思います。
1.はじめに
みなさま、レントゲンって撮ったことありますか?
健康診断や、病気やケガで病院に罹ったときに撮ることがあるかなと思います。
息吸って〜止めてくださ〜い
っていうアレです。
「レントゲン=パシャッと撮るだけ」と思われがちですが、実は技術や知識が必要で、部位によって撮影方法がきちっと決まっています。
診療放射線技師の仕事の中でも、一般撮影(レントゲン撮影)は重要な役割を担っています。今回は、一般撮影の知られざるポイントを紹介!
2. そもそもレントゲン撮影って?
今回は、
「レントゲンってそもそも何?何を見てるん?」
「どうやって体の中が見えるん?」
といった 基本の仕組み について、わかりやすく解説していきます!
レントゲン撮影は X線(エックス線)を使って体の内部を画像化する検査 です。
✅ X線とは?
X線は 目に見えない電磁波 の一種で、 物を通り抜ける という特徴があります。
ただし、通り抜けやすいものと、通り抜けにくいものがあり、その違いを利用して 体の中の構造を映し出す のがレントゲン撮影の仕組みです。
X線は体を通過するときに、組織ごとに異なる吸収のされ方 をします。
この特性を利用して、 骨折、肺炎、腸閉塞、腫瘍などの異常を発見 することができます。
また、レントゲン画像は カラーではなく、白黒 で表示されますよね。
これは X線の吸収のされ方によって濃淡がつく からです。
• 骨はX線を通しにくい → 白
• 空気の多い部分(肺など)はX線を通しやすい → 黒
• 筋肉や内臓はその中間 → グレー
ドラマとかでもよく見る胸部写真を思い出してみてください。🩻
肋骨や背骨などはX線を、たくさん吸収するので、フィルム上では白く、肺の部分は空気が多いので、X線をたくさん通すので、黒く。
イメージは元々は白いキャンバス(フィルム)に焼き付けをするイメージです🖼️
障害物の少ないところは100の焼き付けに対してキャンバスに到達するまで、あまり減弱せず、80のパワーがキャンバスに伝わり、黒く。
障害物が多いところでは、100に対して20のパワーしか伝わらないので、あまり焼き付かず、白のまま
みたいなイメージですが、わかりにくいですね🤣
このように 体の組織ごとにコントラストが生まれることで、異常があるかどうかを判断することができます。
レントゲン撮影は、病院やクリニックで 幅広い診断 に活用されています。
どういった時に医師が撮影オーダーをするのかといいますと、
✅ 骨折の確認(転んで手をついたとき、足をひねったとき)
✅ 肺炎や肺がんの検査(咳が長引く、息苦しい)
✅ 腸閉塞や腹痛の原因の特定
✅ 歯科での虫歯や歯周病の診断
✅ 健康診断(胸部レントゲン)で異常がないかチェック
特に 胸部レントゲン は、 健康診断や人間ドック でもよく行われる検査です。
またCTやMRIのないクリニックは多数あると思いますが、レントゲンだけはあるっていうところも少なくありません。
3. 診療放射線技師のこだわりポイント
私達は患者さんに合わせて
’ポジショニング'
という行為を行った後に撮影ボタンを押します。
レントゲンにおいて、ポジショニングは非常に重要な要素です。
「ちょっと体を傾けてください」
「右を向いてください」
など、撮影時に技師より色々と言われることがあると思います。
角度がずれると、骨折や病変が正しく見えないこともあります。技師の腕の見せ所です。
キレイな画像=正しい診断につながる
ぼやけた画像では診断が難しくなるため、撮影時の微調整が必要。
放射線の被ばくを最小限に抑える工夫
必要最低限の線量で、最大限の情報を得る技術。
4. 意外と知られていないQ&A
Q1.「なぜレントゲン室で技師は外に出るの?」
レントゲン撮影の際、診療放射線技師は「撮影ボタンを押したら部屋の外へ」という流れが基本です。これには理由があります。
▶️ X線の被ばくを減らすため
X線は必要な診断情報を得るために使用しますが、何度も浴びることは避けるべきです。
技師は1日に何十枚、場合によっては100枚以上の撮影を行うこともあります。
毎回X線を浴びていたら、長期間で考えたときに不要な被ばくが増えてしまいます。
そのため、技師は防護壁のある部屋の外で撮影を行い、不要な被ばくを防ぎます。
小さなお子様の撮影や、静止が保てない患者さんの場合は、技師も中に入り、体を押さえて撮影する場合もあります。
▶️ 患者さんの安全を確認するため
外から撮影の様子を確認することで、患者さんの姿勢が崩れていないか、異常がないかをチェックできます。
Q2.「X線を浴びても大丈夫なの?」
レントゲン撮影でX線を浴びることに不安を感じる方も多いですが、一般的な撮影での被ばく量はごくわずかです。
▶️ 胸部レントゲン撮影の被ばく量は、自然界から受ける放射線の約2〜3日分
例えば、胸部レントゲン1回の被ばく量は 約0.05mSv(ミリシーベルト)。
これは、私たちが普通に生活していて自然界から受ける放射線量(年間2.4mSv)の わずか2〜3日分 に相当します。
▶️ 旅行や飛行機に乗るよりも低い被ばく量
飛行機で海外旅行(東京→ニューヨーク)すると、片道で 約0.1mSv の被ばくがあります。
レントゲン1回の被ばく量よりも多いです。
▶️ それでも不安な場合は?
被ばく量を最小限にするために、技師は 鉛(なまり)入りの防護エプロン (プロテクター)を使用したり、患者さんの体格に合わせて、適切な線量で撮影したりと細かい調整を行っています。
Q3.「撮影時に動いちゃダメな理由は?」
レントゲン撮影では、技師から
「動かないでくださいね」
「息を止めてください」
などと指示が出ます。
これには 画像のブレを防ぐ という重要な理由があります。
▶️ 画像がブレると正しい診断ができない
レントゲンは 瞬間的に撮影するので、ちょっとした動きでも画像がブレてしまいます。
ブレた画像では、辺縁がボケたりして、病変の詳細がわからず 正確な診断ができないことがあります。
▶️ 特に「息を止める」ことが重要な理由
胸部レントゲンでは 「息を吸って止める」 ことが求められます。
これには以下の理由があります。
• 肺をしっかり膨らませることで、異常が見えやすくなる(特に肺炎や結核の診断)
• 横隔膜(お腹と胸の境目)が下がることで、内臓がはっきり映る
逆に、息を吐いたまま撮影すると 肺が小さくつぶれた状態 になり、病変が見えにくくなることがあります。
▶️ 動いてしまったらどうなる?
撮影後に技師が画像をチェックして、「ブレている」と判断された場合は 再撮影 になることもあります。
再撮影を避けるためにも、指示に従ってできるだけ動かないようにしましょう!
Q4.「何度か角度を変えて撮る理由は?」
▶️ 1枚だけだと「立体感」がわからない
レントゲンは 2D(平面) の画像です。
私達が普段スマホで撮影してる写真を考えてみてください。
縦と横の情報はありますが、奥行きに対する情報は、ありません。
でも、人の体は 3D(立体) ですよね。
たとえば、骨折をしているかどうかを確認する場合、 1方向からの写真だけでは、骨がどのようにズレているのかがわかりにくい ことがあります。
📌 例:箱の中に入ったボールを想像してみてください。
• 正面から見ると、ボールがあるのかどうか見えないことがある
• 横から見たら、実は中にボールが入っていた!
レントゲン撮影も同じで、1枚の写真では 「奥行き」や「重なり」のせいで、異常が隠れてしまう ことがあるんです。
撮影時にチャックや、ボタンなどの、X線を吸収するものがある場合に、脱いでいただく理由もこれです👔
▶️ 角度を変えることで「本当の位置」がわかる
✅ 骨折のズレやヒビが見えやすくなる
✅ 肺の影が本当に異常なのか、重なっているだけなのかがわかる
✅ 異物(飲み込んだものなど)がどこにあるのか正確に特定できる
たとえば、 関節のレントゲン (膝や手首など)では「正面」と「横向き」の2方向を撮影することがよくあります。
場合によっては4方向や6方向(斜位)を撮影します。
部位によっては、特定の方向でしか、わからない(わかりにくい)ものもあったりします。
骨折などがどこにあるのか、どのような方向に折れているのかなどを、立体的に判断するためです。
▶️ 「見え方」が変わることで診断が正確になる
📌 例:指輪をテーブルの上に置いたときのイメージ
• 真上から見ると、ただの丸い輪っかに見える
• 横から見ると、実は少し歪んでいたことがわかる!
レントゲン撮影でも同じことが言えます。
1方向だけでは 異常がはっきり映らないことがある ので、角度を変えて撮影することで、
より正確な診断ができます。
▶️ まとめ:角度を変えて撮るのは、より正確に診断するため!
✅ 1枚だけだと「立体感」がわからず、異常が隠れることがある
✅ 角度を変えることで、異常の本当の位置や形がはっきりする
✅ より正確な診断のために、必要な枚数を撮影する
レントゲン撮影で「もう1枚撮りますね」と言われたときは、
「より詳しくチェックしてもらっているんだ!」と思ってくださいね!
レントゲンは、よく、影絵に喩えれたりします。
両手を重ねて影絵を作ってみてください。
右手、左手どちらが上にあるか、影を見てわかりますか?
横から見たらわかると思いますが、正面から見た場合は判断できないと思います。
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5. おわりに
この記事では、レントゲンについて、少し深掘りして執筆させていただきました。
医学的知識がないと、言われるがまま、
「一体なにをやっているんやろ?」
となるところも、この記事を見ていただけた方は、少し理解していただけたかなと思います!
私達、診療放射線技師は、レントゲン撮影を通して、患者さんの病気や怪我の発見に、一役を担っています。
今や画像診断は医療とは切り離せない分野です。
放射線科には他にもたくさんの医療機器があります。
X線CTやMRI、血管撮影装置(アンギオ)、マンモグラフィー、核医学などなど
また他の画像診断装置についての役割なども書いていきたいと思いますので、その時はまた、よろしくお願いします🙇
最後までお読みいただき、ありがとうございました😊
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