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【うた#8】「鬼ヶ島」

ようこそ ここは鬼ヶ島
今日は賑やか 祭りの日だ
桃の花は咲き乱れ
はしゃげ 騒げ 春の宴

人間も
動物も
鬼たちも
みんな集まれ

僕たちは同じ空の下にいる
みんなで仲良く遊ぼう

優しくなれず 誰かを
傷付けてしまいそうな日は
心の暗がりに住んでる
悪い鬼を退治しよう

知らなくても
ケンカしても
苦手でも
離ればなれはダメ


生まれた場所も 肌色も 言葉も
違いはあっても 間違いはないよ

うたうたえ
おどおどれ
わらわらえ
日が沈むまで

本当に大切な宝物は
つないだ手の中にある

僕たちは同じ空の下にいる
みんなで仲良く遊ぼう

鬼ヶ島で また明日


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昔の桃太郎は、桃から生まれなかった。
川で拾った桃を食べた老夫婦が若返り、
子作りをしたことで誕生した。
そんな風に、
僕らがよく知る桃太郎は
ここ100年くらいの話で、
その物語は、時代と共に変わってきた。

貧困が問題だった室町時代の「桃太郎」は、
経済的に幸せになる結末が用意された。

娯楽が発達した江戸時代の「桃太郎」は、
笑えるパロディや
アフターストーリーが多く作られた。

強い国造りを目指した明治時代の「桃太郎」は、
当時の日本の強さを、英雄に重ねた。

労働者が声を上げた大正時代の「桃太郎」は、
きびだんごだけで動物たちを労働させる点に
疑問を投じた。

戦争が勃発した昭和時代の「桃太郎」は、
戦争のプロパガンダとして利用された。

今の時代、どんな物語が必要だろう。
ヒーローと呼ぶには、どんな人間がふさわしいだろう。
本当に大切な宝物は、一体なんだろう?


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