【山形旅】交流型ゲストハウスの最高峰。
ーー夜晩くまで呑み語り合って、佐藤さんのギターと穏やかな歌声を堪能して、23時過ぎには4キロくらいナイトウォークをして、ひとりひとり寝室に帰っていって……あまりに眩しい時間がそこにはありました。
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。
今回は「交流型のゲストハウスの最高峰」というテーマで話していこうと思います。
僕は今、山形県にいます。というのも、仕事の関係で急遽東北にいくことになったので、間に休みをとってレジャーを兼ねて旅することにしたのです。
ということで、前回に引き続き、旅の過程と心象をこのnoteに綴っていこうと思います。2日目は旅の醍醐味の詰まった眩しい1日でした。
①致道博物館
僕は今、木の家ゲストハウスのマネージャーとして仕事をしているんです。水戸にある8棟の宿泊施設を管理運営しているんですが、その他にも山形県鶴岡市にあるゲストハウスわたうさぎの運営代行もしているんです。
今回の旅の目的のひとつは、そのわたうさぎのオーナーに会いにいくことでした。運営代行しているとはいいつつ、鶴岡に行ったことはなかったし、どんな場所なのかも分かりませんでした。この度、やっと鶴岡を訪れ、わたうさぎに泊まり、オーナーと直接会うことも叶ったというわけです。
山形旅2日目の朝を迎え、僕はわたうさぎのオーナーに鶴岡を案内してもらいました。どういうわけか、行こうと思っていた施設が全部水曜日が定休日だったので行けませんでした。
ということで、外観だけを楽しむだけの観光をしていたのですが、僕のなかで印象的だったのが「擬洋風」の建物の数々でした。明治時代につくられた建築のなかには、日本の建築に西洋の文化が取り入れられた「擬洋風」という和洋折衷の様式があるようで、個人的には心惹かれるものがあったんですよね。
以下の「致道博物館」や「大寶館」がそれにあたるのですが、いつか自分が何か建物をつくるとなったとき、擬洋風にしてもいいかもなと思えるほど、わけもなく心動かされたということを、ここに残しておきます。
②貝喰池
お昼ご飯に人気店のラーメンを食べて、僕らが向かったのは「貝喰池」。わたうさぎのオーナーのお気に入りの場所のひとつでもあるそうで、一時期「人面魚が出る」というニュースで全国的に有名になった場所です。
鯉の顔の模様が人の顔のように見えることからその名前がつけられたそうでして、僕の母親も知っていたので、その世代の方々からすれば懐かしい話題なのかもしれません。
木に囲まれ、雫の音を聴きながら、ゆっくりと広がる波紋を見つめる穏やかな時間には、忙しない日常を忘れる力がありました。
③白山神社
続いて、加茂を抜け、由良へ向かい、白山島を訪れました。小さな島で、赤く染められた橋を渡ることでその地を踏めます。300段くらいある階段を登った先に白山神社が構えていて、肩で息をしながら参拝しました。
こういうこじんまりとした島は童心に帰れるといいますか、わくわくするものがありました。また、「橋」や「階段」が距離と高さを生み、それが非日常性を醸し出すことにつながっていると考えると、胸のときめきを感じるのも分かる気がしますね。
④ゲストハウスミンタロハット
庄内物産館でお土産を見てまわった後、高速バスが到着する頃にわたうさぎのオーナーと別れて、僕は山形へと向かいました。目指すは2日目の宿、ゲストハウスミンタロハットです。
山形駅から徒歩15分の距離にある宿泊施設で、日々たくさんの人で賑わう交流型のゲストハウスです。木の家ゲストハウスのオーナーの宮田さんからの紹介で勧められて訪れることにしたんですが、もう最高でした。たくさんの出逢いに恵まれ、温かい空気に包まれた場所がそこにはありました。
オーナーの佐藤さんがいて、ヘルパーさんが4人いて、宿泊客も8人くらいいたのかな。外国人から年配の方、何年も前から来ている常連の方まで多種多様でした。
ここでは、毎日19時半になると「ゆんたく」というみんなでおしゃべりをする時間があります。ご飯を食べながら、お酒を飲みながら、一期一会を味わうのです。
びっくりしたのが、僕の目の前に座った年配の女性が、鶴岡で宿「農」をやっている方だったことです。というのも、前日にわたうさぎのオーナーと「農」の話をしていたんです。最近ずっと休業していることやご家族でいろんな場所を提供していることを聞かされていたんです。
その翌日に、まさか「農」のオーナーとお会いすることになるとは思いませんでした。話していくうちに、木の家ゲストハウスの事業にすごく興味関心を寄せていてくれたみたいでしたし、本当に会って話せて良かったなと思いました。
そういう偶然、というか、もはや運命的な出逢いが生まれるのがゲストハウスという場所なんですよね。
ちなみに、僕はオーナーの佐藤さんと話すうちに僕の作家の話になり、その流れでちゃっかり手売りしてきました。リビングに置いておいてくれるそうです。
以前、いつか手売りの旅をしてみたいという記事を書いたことがあるんですが、その可能性を確かめられる瞬間でもありました。ゲストハウスを巡りながら、そのとき知り合った人と話して、仲良くなって、自分の本を買ってもらう。その流れを繰り返せたらいいな、なんて未来を夢想したものです。
夜晩くまで呑み語り合って、佐藤さんのギターと穏やかな歌声を堪能して、23時過ぎには4キロくらいナイトウォークをして、ひとりひとり寝室に帰っていって……あまりに眩しい時間がそこにはありました。
ゲストハウスの仕事をしているとはいえ、僕は別によくゲストハウスに泊まっていてわけでもないし、旅人でもありませんでした。
ただ、人が集まって交流が生まれる場所には以前から関心があって、その文脈で今仕事をしていることもあるので、交流型のゲストハウスの最高峰ともいえるような圧倒的なサービスを享受することができて、ここに来た甲斐があったなと嬉しくなりました。
ミンタロハットのことを、ヘルパーさんや常連さんは他にはない場所といっていたし、宮田さんも「あそこは別格だよね」と評価していました。僕もそこに異論はありません。また必ず来ようと思いました。
たくさんの知見と感動を手に、木の家ゲストハウスでできることは取り入れながら、よりよい場所になるように向き合っていこうと思いました。最後まで読んで下さりありがとうございました。
20241121 横山黎