形式か、個性か。
――本質を見誤らないで、形式的にいくべきか、個性的に行くべきか、慎重に判断する必要がある
人生は物語。
どうも横山黎です。
今回は「形式か、個性か」というテーマで話していこうと思います。
📚形式か、個性か。
テーマだけだと伝わりにくいものがあるので、まずはその説明からしますね。
創作に関わらずあらゆるものに通じる話だと思うんですが、形式に従った方が良い場面と、個性を追求した方が良い場面とがあります。自分の伝え方はどんなもので、伝えるものはどんなものなのかを突き詰めていくと、形式か、個性か、どちらを優先すればいいのか迷う瞬間があるはずです。
「型か、型破りか」と言い換えた方が分かりやすいかもしれません。その2択を迫られる瞬間が先日あったので、記事にしようと思います。
昨日、ビブリオバトルのリハーサルをしてきたという話をしました。
ビブリオバトルとは、自分のおすすめの本を5分間で紹介する書評合戦のことですね。オーディエンスは発表を聴いて1番読みたいと思った本に1票を入れます。最も多く票を集めた本がチャンプ本になるわけです。
今回、僕が相棒にしているのは小説『Message』、僕の本です。自分が書いた本を自分で紹介するという破天荒なことをやってやります。前代未聞です(笑) 大学大会、地区大会で好成績を収め、ついに最後の大舞台に立つことになりました。
クリスマスに全国大会があり、僕はそこに出場するので、それに向けて練習を重ねているこの頃です。本番と同じような環境で練習しておいた方が良いなと思って、大学の一室を借りて、リハーサルをしてきたんです。
その様子を動画に収めて公開しているので、是非コメントをしていただきたいです。いろんな人の意見を聴いておきたいので。
↓↓↓
で、リハーサルには僕の友達も何人か立寄ってくれて、僕の発表を聴いて意見をくれたんです。僕はこれまでにいろいろ考えて原稿を作ってきたから「これはこうだから……」と反論する場面もあったんですが、それでも「確かに!」と思う瞬間は少なくなかったんです。やっぱり他人の意見を聴くって大事だなと再認識ました。
リハーサルが終わって、「後でいろいろ送るわ」と言ってくれた友達がいました。彼から送られてきた指摘の中には、「ナンバリングした方がいいんじゃないの?」というものがありました。つまり、聴き手が理解しやすいように、いくつか列挙するときに「1つ目に……2つ目に……」という形を取った方がいいじゃないかということです。
確かに、僕の原稿には、「1つのテーマに対して2つの要素がある」という構図が含まれています。その意見をもらって、僕はあれこれ考えたんですが、その意見は取り入れないことにしました。
📚ナンバリングの是非
具体的に話すと、「小説『Message』は、ただのミステリー小説ではない」と言ったあとで、その理由を2つ並べていくんです。
この2つの軸で物語の中身をアピールしていくんですが、この部分を話すとき、僕の友達は「ナンバリングした方がいいんじゃないの?」という意見をくれたんです。
プレゼンでは常識のような伝え方ですよね。最初の要素の数を伝えることで、これからどんな話が展開されるか、聴き手ははじめに理解できます。とても親切な工夫なんですよね。ビブリオバトルでもそういうプレゼンをする人は見かけます。
しかし、僕はいろいろ考えた結果、ナンバリングの必要はあまりない、むしろナンバリングしない方が効果的なんじゃないかという結論に至りました。
というのも、ビブリオバトルは発表とはいえ5分間だからです。伝えたいことがたくさんあると、5分って短いんですよね。何をどこでどんな風に伝えるのか、かなり突き詰めていかないと収まらないんです。
その中で、聴き手を飽きさせないような工夫もしなければいけません。つまり、緩急をつけたり、抑揚をつけたりして、変化を加える必要があるのです。
僕がナンバリングしない方がいいと思い至って理由は、そこにあって、ナンバリングがあると聴き手を裏切ることができなくなるんですよね。
情報を整理するためにナンバリングって効果的ですが、聴き手の感情を揺さぶることはできません。ビブリオバトルは「どの本を1番読みたいと思ったのか」が評価の基準で、情報を伝えるだけでは聴き手の心を射止めることはできないんですよね。
自分のことを信頼してもらわないといけいないし、自分の発表を面白いと思ってもらわないといけないし、紹介する本に興味を持ってもらわないといけない。そのときに効果的なのが「裏切り」で、聴き手の思っていることを想定してその逆を突いたり、想像を超えるような気付きを与えたりする必要があるわけです。
さっき僕もリハ動画を観返して思ったんですが、僕の発表は「いかに聴き手を裏切るか」に重きを置いているなあと再認識しました。ですから、ナンバリングはあえて使わないで、5分間の流れの中で様々な方向に読者の心を揺さぶっていきたいと思ったのです。
📚本質を見誤らないで慎重に
ちょっとテーマとずれてきたような気もしますが、話をまとめていきますね(笑)
会社の新商品のプレゼンも、講演会も、ビブリオバトルも、同じ発表ではありますが、ちょっとずつ性質が異なるものです。目的も変わってきます。
さっきも言ったように、膨大な情報を正確に分かりやすく伝えるにはナンバリングって効果的だと思いますが、ビブリオバトルはそれよりも重視するべきことがあるのです。「読みたい」と思わせる必要があるので、「裏切り」を狙わないといけない。裏切るためには、裏切るための工夫を追求しなければいけないんですよね。
そういえば、別の友達に、「はじめに観客に問いかけた方がいいんじゃない?」という意見をもらいました。これも発表の常識のような工夫です。とりあえず聴き手に質問をして、その反応を受け取ってから本題に入る。そのやり方は、聴き手の注目を集めるには打ってつけの方法だと言えます。
その意見に、別の友達は「あんまり形式にこだわらなくてもいいんじゃないの?」と言ったんです。僕も当初はそう思っていたんですが、この意見は取り入れることにしました。ちょっと長くなっちゃうので、この話はまた明日にします。
とにもかくにも、本質を見誤らないで、形式的にいくべきか、個性的に行くべきか、慎重に判断する必要があるよねって話でした。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
20221223 横山黎