創作大賞の一次選考も通らなかった物語は面白いのか?
――落選した作品をおすすめることに複雑な思いを抱きます。「創作大賞の一次選考にも通らなかった物語だけど、面白いから読んでね?」という乱暴な文句と化してしまうからです。
人生は物語。
どうも横山黎です。
今回は「物語における勝ち負け」というテーマで話していこうと思います。
◆創作大賞に惨敗
昨日、note創作大賞2022の中間選考の結果が共有されました。タイトルからお察しの通り、僕の作品はかすりもせず落選の路を辿りました。
とほほ。
僕は文学賞やコンテストに、できる限り作品を投稿するようにしていますが、やっぱり辛い。回を重ねるごとに「まあ、そんなもんだな」と受け入れることができてきてしまっている僕がいます。
ちなみに僕が投稿したのは、『桃太郎』です。
鬼を退治する勧善懲悪の物語よりも、鬼と仲間になる共生の物語の方が、今の時代に合っているんじゃないかなと思ったので、再創作してみました。
そして、より良い物語に仕上げるために、noteで共同創作することにしたのです。僕の投稿する記事のコメント欄でやりとりしながら、作品を紡いでいきました。
おかげさまで良いストーリーができました。興味を持たれた方は、是非、覗いてみてください。
◆落選した物語は面白いのか?
と、落選した作品をおすすめることに複雑な思いを抱きます。「創作大賞の一次選考にも通らなかった物語だけど、面白いから読んでね?」という乱暴な文句と化してしまうからです。
もちろん、僕は僕の思う面白さを追求したので、『桃太郎』の魅力を語って?と言われれば、いくらでも語れます。愛は止まりません。
しかし、万人受けするように設計したのに、選考委員の心さえ動かすことができなかったのだから、一般的な評価は「面白くない」に旗が上がるのでしょう。
……本当か?
……それでいいのか?
◆物語の勝ち負け
話は変わりますが、僕の作品に『メッセージ』という小説があります。成人の日の夜、「110」というダイイングメッセージを遺して亡くなった青年の物語です。この作品、実はある文学賞に投稿したのです。これなら大賞も夢じゃない、そう信じて朗報を待ちわびましたが、結果は一次選考も通りませんでした。
今回の『桃太郎』と同じです。
じゃあ、一次選考も通らなかった作品は面白くないのか。物語として価値がないのか。
いいや、違います。
以前、noteで『メッセージ』の全文を共有したのですが、その記事のコメント欄には温かい言葉がたくさんありました。
僕の作品は、誰かの心を動かせていたのです。
先ほどお伝えした通り、『桃太郎』は共同創作してつくっていきました。その過程で、いろんな方からアイデアをいただき、意見をいただき、励ましの言葉をいだきました。この企画を通して、僕のことを知ってくださった方もいらっしゃいますし、少なからず評価していただいていたのです。
物語に勝ち負けはありません。価値か無価値か、その2択もありません。絶対的な勝ちも、絶対的な負けも、絶対的な価値も、絶対的な無価値も、存在しません。
全ては相対的なものです。
たかが数人の(あるいは数十人の)審査員に評価されて、「面白くない」と一蹴されたとしても、自分にとって面白いものをつくったのなら、それを評価してくれる人はどこかにいるはずです。
僕の『メッセージ』や『桃太郎』がそうであったように、「勝ち」と認めてくれる、「面白い」と言葉にしてくれる、「価値がある」と評価してくれる、そんな人がいるはずです。
◆現代の創作への姿勢
ここから得られる、僕なりの結論は2つ。
1つは「これからも自分が面白いと思うものをつくっていけばいい」ってこと。
「文学賞に寄り添って」とか「今これが流行りだから」とか、そんな風にして自分の面白いを諦めることはしません。諦めた途端に、純度の低い作品が生まれることでしょう。
極論、その作品のファンが自分一人でもいいから、自分の面白いものを綴るべきです。それが、「作家」という生き方だと僕は信じています。
もう1つは、「作品をより多くの人に届ける努力をした方が勝てるよ」ってこと。
文学賞に応募した作品は審査員に読まれて終わりです。今や投稿サイトが主流ですので誰にも読ませず作品を投稿する人は少なくなってきたかもしれませんが、それにしても規模は小さい。
もっともっと母数を大きくしていけば、「それ面白いじゃん」と気に入ってくれる人に出逢える確率は上がっていきます。ってか、そうしないとアマチュアの作品が認知を得ることはできませんもんね。
今回の結果を通じて、現代の創作への姿勢はいかなるものか、再認識することができました。これからもいろいろ可能性を探りながら、自分が面白いと思うものをたくさんの人に届けていこうと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
【#269】20220325 横山黎
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