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文化祭で捨てた夢を今ともに。
――今でもあのときのことは引きずっているんですが、あのとき叶えられなかった夢を、今、僕らはともに追いかけています。
人生は物語。
どうも横山黎です。
作家として本を書いたり、木の家ゲストハウスのマネージャーをしたり、「Dream Dream Dream」という番組でラジオパーソナリティーとして活動したりしています。
今回は「文化祭で捨てた夢を今ともに。」というテーマで話していこうと思います。
🏨謎解き、夢、記憶
昨日、謎解きサークル「Mito Escape」のしゅんちゃんとミーティングをしました。今度一緒に謎解きコンテンツをつくるんですが、それに向けて急遽ちょっとだけ進捗を語り合ったんです。
コンテンツは「花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~」と題したもので、僕の職場である木の家ゲストハウスを舞台に宿泊型の謎解き体験を展開していきます。
僕が物語をつくって、しゅんちゃんが謎をつくって、一緒に運営していくという形です。作家として活動している僕と、謎解きサークルを立ち上げたしゅんちゃんの両方の得意領域を掛け算したというわけです。
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物語は仕上がって、今絶賛シナリオの調整と謎の作成に追われているんですが、そろそろさすがに本腰を入れないとだめだよね、という認識があり、昨日急遽ミーティングをすることになったし、僕のゲストハウスの仕事が休みの明日は、がっつり朝から一緒につくりあげていこうという計画を立てました。
一連のことを受け、しゅんちゃんがぽろっとこんなことを溢しました。
「あのときの夢を今叶えにいっているよね」
その言葉に吹かれて、僕の頭のなかでは記憶のページがめくられました。3年前の大学の文化祭の頃のことを思い出しました。
🏨文化祭で捨てた夢
僕としゅんちゃんが出逢ったのは、4年前の春でした。しゅんちゃんは同じ学部、同じ学科の後輩なんです。僕が大学2年生の4月の頃、しゅんちゃんは入学しました。ひょんなことから、入学したてのしゅんちゃんと顔を合わせる機会に恵まれたんです。
で、いろいろ話していくうちに、小説好き、ドラマ好き、謎解き好き……と、僕と共通点が多いことが分かったんです。初めて会ったあの日にはもう既に、彼とは仲良くなれる、そんな自信を持っていました。
案の定、その後も定期的に関わり合うことが多くなっていったんです。一緒に小説をつくったり、一緒に脱出ゲームをしにいったり。昨日しゅんちゃんが話した「あのときの夢」の「あのとき」とは、僕が2年生のときの文化祭のことを指しているんですが、そのときも関わり合っていました。
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当時、僕は学科の文化祭を取り締まる役を担ったんです。文化祭の実質的な主導学年は2年生で、リーダーは2年生の専攻会のなかから選ばれます。僕は他にもやりたいことを抱えていたし、そのときめちゃくちゃやる気があるわけではなかったんだけれど、周りの士気が低かったから、それならば僕が上に立とうと思い、自ら志願しました。
文化祭という学生のお祭りは大学生が最後、かつ、作り手として参加できるのは大学2年生が最後でした。だからこそ、最後の文化祭を自分なりに盛り上げていきたいと思っていたんですが、実現することはありませんでした。
環境のせいにはしたくないけれど、やっぱりコロナの影響が大きかったんです。コロナ真っ只中の時期だったから、僕やしゅんちゃんの世代は授業はほぼオンラインだったし、キャンパスに集まることも、飲み会が開かれることもありませんでした。文化祭も対面とオンライン併用で開催するという異例の事態。縦のつながりも、横のつながりもできていなかったなかで、誰も経験したことのない文化祭を、みんなで一緒に盛り上げていくことは至難の業でした。
そのときしゅんちゃんと語り合って、オンラインでできる謎解きコンテンツをつくろうという案も出ていたんです。僕が物語をつくって、しゅんちゃんが謎をつくるというまるっきり今と同じ形で考えていたんです。でも、結局叶うことはありませんでした。僕の力量不足でもあったので、悔しさを滲ませたものです。
今でもあのときのことは引きずっているんですが、あのとき叶えられなかった夢を、今、僕らはともに追いかけています。
※文化祭の夢を捨てた日に書いた記事↓↓↓
🏨あのときの夢を今ともに
「あのときからふたりとも、お互いに頑張って、スキルを磨いて、今一緒にやれているとはね……」
柄にもなくドラマチックでロマンチックなしゅんちゃんの言葉を聴いて、僕は胸を動かされました。
文化祭で夢を捨ててから3年。僕は大学生作家として活動して今は木の家ゲストハウスのマネージャーとして仕事をしています。しゅんちゃんは謎解きサークル「Mito Escape」を立ち上げて、自主公演を企画したり、企業や団体から謎制作の依頼を受注したりしています。
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3年前には夢にも思わなかった夢のなかで、僕らは夢中になってもがいているんです。その事実に気付かされて、僕は今までの自分を信じて良かったし、しゅんちゃんと関係を続けてきて良かったなと思いました。
もう同じ過ちを繰り返すことはしたくありません。「花火の幽霊~木の家ゲストハウスからの脱出~」は是が非でも実現させたい。この2週間が勝負の時期なので、エンジンかけて向き合っていこうと思います。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
20240716 横山黎