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たまにはアダルトな話を。
――僕らが劇場に入った瞬間から、いかがわしい声が聞こえてきて、「ああ、大人の階段を上っているなあ」と思いながら着席しました。
人生は物語。
どうも横山黎です。
大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。
最近は音声配信も始めました。毎週金曜日22:00から僕のお気に入りの本を紹介するライブ「FAVORITE!!」を開催しています。興味を持たれた方は是非遊びに来てください。
今回は「物語が満足度につながっている」というテーマで話していこうと思います。
📚たまにはアダルトな話を
昨日のことです。僕は騙されて、ピンク映画を観ることになりました。
僕は茨城大学の教育学部生で、現在絶賛教育実習中です。近くの、と言いたいところですが、まあまあ遠い小学校に実習にいっているんです。
で、昨日の実習からの帰り道、信号待ちの僕のスマホに通知が入りました。「夜みと」開催のお知らせでした。
以前から、昨日の夜、「夜みと」という謎のイベントをやることは知っていたんですが、改めて、「ああ、今日か......」と気付かされたんです。もともと「あさみと‼︎」という朝活イベントが存在していて、先日開催100回目を迎えたので、その皮切りに「夜みと」を開くという文脈で、始まった企画とのこと。
「あさみと‼︎」のように、夜に集まって、自由に歓談にふける時間なのかなと思っていたんですが、主催者はなかなかイベントの目的や内容を明かさない。そのときから違和感を覚えていたわけですが、案の定、これは巧妙に仕掛けられた罠だったのです!!
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主催者の宮田さんは木の家ゲストハウスのオーナーということもあり、待ち合わせ場所は木の家ゲストハウスになりました。
僕は教育実習中で日々体力が削られているし、明日も実習だし、やることも山積しているので、当日まで参加する意思を表明していませんでした。ただ、「あさみと‼︎」と同じように、もしかしたら今後交流の場として定着する企画になるかもしれないと思い、そしたらその第1回目に参加しておくことは悪くないなと思っていたんです。
そんな葛藤を抱えながら、実習先の学校からの帰り道を辿っていたら、僕のスマホに通知が来たわけです。みると、開催を知らせる写真に以前お会いした大学生が映っていて、「久しぶりに会いたい」と思ってしまった。
そんなこんなで顔を出すだけはしようと思い至ったのです。しかし、それが誤りだった。
開催時刻から30分くらい遅れて到着した僕を待ち受けていたのは、怪しい雰囲気の3人。にたにたしながら僕を迎えてくるのです。当時の僕は何も知らずに行っていましたから、深く勘繰ることもなく、二口しか残っていなかったそうめんと、乾杯のウイスキーをいただきました。
そんな僕らが向かったのは、水戸銀星映画館でした。
映画館といえどもただの映画館ではありません。昔ながらのピンク映画が投影され続ける映画館だったのです(笑)
📚水戸銀星映画館
僕は純粋系文学男子として売っているので(今決めた)、あんまりえっちな話をするのは、しかもこういう自分のブランディングのためにも毎日投稿している記事にするのは気が引けます。ただ、あの3人(主に主催者の宮田さん)が「インスピレーション湧いたよね」だの「明日のnote楽しみにしてる」だのうるさいんだ(笑)
そんなこんなで僕は今重い指取りでキーボードを叩いているわけです。
やるからには真剣勝負で書いていきたい。僕が意図して取り上げてこなかった題材でどれだけいつもの僕の色を出せるか、今回の記事はそういう試練でもあります。
今はまだどんな結論に至るのか見当もつきませんが、自分を信じてみることにします(笑)
……とまあ、僕の個人的な話はこのくらいにして、話を戻しますね。
僕ら「夜みと」参加者は、木の家ゲストハウスから歩いて現地へ向かいました。宮田さんは主催者らしくちゃんとリサーチ済みで、昨日開催にしたのも、月曜日の夜が一番人が来ないし、安全そうだからでした。
というのも、その映画館には、女装家の方やゲイの方もよく来るそうで、宮田さんいわく、ちょっと危ない出来事があったりなかったりするみたい。特に土曜日とかは。それもあって、昨日の開催になったというわけです。
現地に着くと、宮田さんを先頭に、僕らは恐る恐る中へと入りました。もはや一種の肝試しです(笑)
館内はレトロな内装。受付にはひとりの男性。後で知ったことですが、家族で回している少人数経営の映画館のようで、その人以外にスタッフの方は見当たりませんでした。
受付の男性の後ろの壁には、上映演目とそれがいつ流れるのか時間が書かれていました。ちなみに簡単に説明しておくと、昔ながらの映画館なので一度チケットを買ったらいつまでいてもいいよスタイルです。ですから、途中入室も途中退場も自由。
チケットを買って、中へ入ると、想像よりも大きい劇場がそこにはありました。前方に向かうにつれ低地になっており、どうやら少し地下にまで及んでいるように見受けられました。
僕らが劇場に入った瞬間から、いかがわしい声が聞こえてきて、「ああ、大人の階段を上っているなあ」と思いながら着席しました。4人仲良く、一番後ろの席に。
で、まあ、ね、あんなことやこんなことがあったわけですが、結論からいうと、「『演目』の満足度は低かったけど、『劇場』の満足度はちょっぴり高かったよ」です。
#僕は何を言っているんだろう
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📚「物語」と「満足度」
僕たち4人はいかがわしい映画を観始めたわけですが、途中からしんどくなってきました。「こういうのを見せておけばいいんでしょ」という制作側の意図が浮かんでみえてきて、カット割りの質も、物語としての魅力も十分というには程遠かった。途中入室したから当然といえば当然なんですが、全然物語のなかに入り込めなかったんですよね。
それでも僕らが前半楽しめたのは、ついに足を踏み入れてしまったという初めての経験のわくわく感があったり、俳優さんの目付きが仰々しかったり、情事中に「今の君は海老のようだよ」という謎のセリフとかがあったりして、思わず笑ってしまったから。
#途中から笑ってはいけないになっていた
しかし、演目についてはやっぱり満足度は低くて、これは満場一致でした。僕の隣にいた宮田さんは後半寝てたもん。あんなに楽しみにしていた宮田さんが眠い目をこすっていたもん(笑)
一方、劇場の満足度はちょっぴり高かったんです。
この記事を書くためにさらっと調べてみたんですが、水戸銀星映画館が開館したのは1951年。戦争が終わって間もない頃のことです。はじめは普通の邦画を流していたそうですが、当時経営していた経営者(現経営者の父親)が路線変更を決定したそうです。
そこから時を超えてもピンク映画を上映し続けてきて、コロナ禍の打撃にも耐え、常連客のリピートのおかげで今もなお映画が上映されているというわけです。
その歴史が、外装から内装まで至るところに刻まれていて、まるで旅行先の歴史的建造物を見物しているような感覚に少しなったんです。劇場は前方に向かっていくにつれて低くなっていて、地下に及んでいるといいましたが、実はこれ、戦時中の防空壕を再利用したからなんです。
少人数で切り盛りする経営、今とは違うチケットのスタイル、フィルム上映、レトロなポスターや演目……あの映画館を形作るものすべてに歴史という物語が刻まれているんですよね。
それを身を持って体感したからこそ、昭和にタイムスリップしたような感覚にもなる。駄菓子バーや歴史観にいったときの感覚に近いかもしれません。
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さて、初めての題材で、ついに3000字を超えてしまいましたが、そろそろ話をまとめていきますね。
#こんなはずじゃなかった
コンテンツにしろ、空間にしろ、サービスの受け手の心を動かすのは物語であって、それを疎かにしてしまうと満足度を下げることになってしまいます。
やっぱり物語って大切。いつまでも残り続ける、普遍的な物語を、本やつながり、場所など、あらゆる手段で表現していけたらなと再認識することができました。
最後になりますが、こんな記事を書かせた昨日の3人を吊るし上げておきます。きっとこれからも関わっていく大事な友達です。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
20230912 横山黎
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