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映画日記〜たかが世界の終わり〜

『たかが世界の終わり』描く、家族愛の切なさ。余命が僅かと宣告された主人公。家族に事実を伝える為12年ぶりに帰郷。話が始まる。

久しぶりに集結した家族。妙な緊張感、誤魔化すように捲し立てる会話中でそれぞれに傾いた愛情を露呈。主人公の告白を拒む。何の柔らかい隙間も見せず。様子は家族の持つ切ない性質。痛々しく鮮明に表す。

家族は血で繋がっている。必ず解り合えるという保証はない。他人同士の関係。映画のよう、すれ違いも生まれる。過干渉に悩んでも血縁関係から育まれる情により距離を置くこと自体を拒まれる。

解り合えない。愛し合う家族の切なさ。愛し合いたい苦しみ。美しく形容。渦中にいる時は純粋な憎しみ、窮屈さを感じ得ないと知る。親、家族と解り合えない事実。何だか自分がとても可哀想な人。近しい人々との差異が解る時の方が1人でいる時より孤独感。鋭利に突きつける。

1度「家族の言うことは特別」「自分の育ての親の言うことは聞かなきゃ」無意識の規律。抜け出さなければいけない。規律に従えない時、正しさとは関係なく自分は悪い子。苦しい。そう。呪いから1度抜け出して。

誰も人に正しさを強いることは不可能。生き方を強いることも不可能。あなたの身体、心は持ち主のあなたが1番知っている。産みの親、育ての親。あなたに関する情報より鮮明。少し寂しい事実。受け入れ、自分の正しさを改めて信じ直す。大人になる。1つのやり方。

表向き幸福で問題がなさそうに見える家庭を羨む。隣の芝生は青い。幸福には幸福の問題点、不幸には不幸の問題点、過干渉には過干渉の、放置教育には放置教育の、裕福には裕福の、貧困には貧困のそれぞれ問題点がある。

必ず快適な家庭など存在しない。私達はそれぞれがそれぞれの環境。自分らしさの芽生え。小さな事件と向き合う。

自分の環境を恨み、他人の環境を羨む。自分の秘密基地を作り、自分だけの世界を堪能。環境が憎く感じられた時。いい。あなたにはあなたの育てられ方。掴めなかった幸、不幸。あなたの身体に積み重ねられる経験、財産。

1度、窮屈さから逃れ、改めて愛に名前を付ける本作の一家。鮮烈、切ない。最終場面を見せつける。決して解り合えない不器用なまま、泣きながら崩壊の中、抱き合う家族。ボコボコに傷ついた愛情は息も絶え絶え。西日の中で哀しく光る。的外れな方向に投げ合われても愛情。死の瞬間まで愛情。

あなたに注がれた愛は的外れ。裏腹にあなたを傷つける。攻撃になった愛。逃げながら頭の何処かで愛と解って。願う。

愛は容易くない。愛になり損なったお節介お説教、指図、その他諸々煩わしい現象。あなたを取り囲む日、あなたを愛し、認める。願う。誰かがいる限り。

今は自分。心を守るために認められない。何時かあなたはあなた。自立した個人の幸福を掴んだ頃、思い出すことが可能。あなたをすり抜けた的外れな愛。愛になりたかったもの。あなた目線でもう1度愛と名付け直して。

誰も完璧ではない。軌道の愛情も最後はあなたの幸福を願い放たれたもの。

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