7日間ブックカバーチャレンジ DAY 7
トマス・モア(1516)『ユートピア』(平井正穂訳、岩波書店〈岩波文庫〉、1957年/『改版 ユートピア』澤田昭夫訳、中央公論新社〈中公文庫〉、1993年)
「ユートピア(Utopia)」——人々に不思議な幻想を抱かせるこの語は、本書の著者トマス・モアが考案したものだ。日本語では「理想郷」と訳されるが、日本人はこの時代、まだ「理想」という語を持ち合わせていなかった。日本語の言葉として概念化され人口に膾炙するまでには、明治時代に哲学者の西周が"idea"の訳語として創り出す