天は人に富を与えるのではなく、人の『職業』に富を与える。実語教とは何か?

福沢諭吉が「学問のすゝめ」で引用していた「実語教」とは、江戸時代に書かれた教訓集であり、人々の道徳的な指針として広く読まれていました。

この書は、人間が学ぶことの重要性を説いており、「人学ばざれば智なし、智なき者は愚人なり」という有名な言葉を含んでいます。これは、知識を得ることが人間を賢明にするという考えを示しており、福沢諭吉はこれを引用して、学問の重要性を強調しています。

「実語教」は、当時の日本社会における身分制度や職業に関する見解も提供しており、学問を通じて個人が社会的地位を向上させることができるという考え方を示しています。福沢諭吉は、この教えを基に、自己改善と社会進出のための学問の重要性を説いたのです。

福沢諭吉自身も、幕末から明治にかけての変革期において、教育と啓蒙のために尽力しました。彼は、西洋の知識を取り入れ、日本人に実用的な学問を勧め、近代化への道を切り開いた人物として知られています。彼の思想は、日本の近代化と教育制度の発展に大きな影響を与えました。

「学問のすゝめ」は、福沢諭吉の代表作として、今日でも多くの人々に読まれ、学びの大切さを伝え続けています。。

「実語教」とは、平安時代末期から明治初期にかけて普及した初等教科書で、主に庶民のための教訓を中心に構成されています。

この教科書は、仏教思想を基にしながらも、儒教の教えを取り入れた内容となっており、96句の五言詩で構成されています。

教訓の中には、「山は高いから立派なわけではない、樹がしっかり育っている山が立派」「金持ちだから立派なわけではない、智恵のある人が立派な人」といった、財産よりも知恵や徳を重んじる考え方が示されています。

また、「宝石も掘り出して磨かなければ光りません、輝かなければ石と瓦と同じです」「学ばなければ智恵を持つことはできません、智恵を持ってない人を愚人と言う」といった、学問の重要性や努力の価値を説く句も含まれています。

さらに、「財産は貧しくなると無くなります、学んで得た智恵はなくなることはない」というように、物質的な富よりも精神的な富を大切にする教えが込められているのです。

この教科書は、その後の日本の教育に大きな影響を与え、特に江戸時代の寺子屋で広く用いられました。著者は不明ですが、弘法大師の作とも言われています。。