【読み切り小説】闇の帰還

2024年12月6日 11:39

田中玲子は、静かな郊外の家で一人暮らしをしていた。彼女は地元の図書館で司書として働き、平穏な日常を送っていた。しかし、その日常はある日、不可解な手紙の到着で一変した。

「私の秘密を知りたければ、夜の公園に来てください。」

手紙にはそれだけが書かれていた。差出人は不明だったが、玲子は興味を引かれてしまった。彼女は大胆にも、手紙に書かれた指示に従い、公園へと向かった。

夜の公園は静まり返っており、灯りは少なく、不気味な雰囲気が漂っていた。玲子は不安を抱きながらも進んでいくと、突然後ろから声が聞こえた。

「玲子さん、お待ちしていました。」

振り向くと、そこには見覚えのある男性が立っていた。彼はかつて玲子が関わった事件の容疑者だったが、証拠不十分で釈放された男、山田一郎だった。

「あなたが手紙を？」玲子は驚いて尋ねた。

山田はにやりと笑いながら答えた。「ええ、全て計画通りです。あなたをここに誘い出すために。」

玲子の心臓は激しく鼓動し始めた。「何が目的なの？」

山田はポケットからナイフを取り出し、冷たい目で玲子を見つめた。「あなたが私を疑ったせいで、私は全てを失った。だから、あなたに同じ苦しみを味わせるつもりだ。」

玲子は逃げようとしたが、山田に捕まえられ、絶体絶命の状況に追い込まれた。しかし、その瞬間、公園の灯りが一斉に点灯し、数人の警察官が現れた。

「動くな、山田！」警察官の一人が叫んだ。

山田は驚き、ナイフを取り落とした。玲子は警察に保護され、安堵の息をついた。

「どうしてここに？」玲子は警察官に尋ねた。

警察官は微笑みながら答えた。「実は、あなたの手紙を見て不審に思った隣人が警察に通報してくれたんです。おかげで、間一髪であなたを助けることができました。」

玲子は涙を浮かべながら感謝の言葉を口にした。「ありがとうございます。本当に、命の恩人です。」

こうして玲子は無事に家に帰ることができた。しかし、その夜、家に戻った玲子は、自分の部屋に置かれたもう一通の手紙を見つけた。

「ゲームはまだ終わっていない。次はもっと面白くなるだろう。」

いいなと思ったら応援しよう！