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「明け方の若者たち」(2021) カツセマサヒコ原作

舞台は明大前。
大学のサークルの就職内定祝いで大学院生に一目惚れした主人公。
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」のショートメールから
仲を深め交際へと繋がる。
しかし、その主人公が就職し思っていた社会人生活ではない日々を送る。
彼女がいることで自分を保っていた主人公。
この時点では「花束みたいな恋をした」を匂わせる展開。

かと思いきや一転。
突然彼女からの連絡が途絶える。そのわけは、
遡ること内定祝いの飲み会。
飲み会を抜け出して、高円寺のくじら公園で二人で飲んだ時に知ったのは
彼女は既婚者だったと言うこと。
旦那は海外出張で離れ離れ。
そして好きな旦那の横顔に似ていた主人公に声をかけた。
主人公は好きになってはいけないとわかりつつも、気持ちは抑えられず一線を超えて、どんどん彼女を好きになっていく。
そして二人は半同棲の生活を送るが、
突然旦那が帰省することで、連絡が途絶える。

主人公は彼女で精神を保っていたが、連絡が途切れることによって自分が崩れる。
叶わない恋だとわかっていながらも、わずかな希望を持っていた主人公は崩壊。
それを救ってくれたのは会社の同期。
そして前を向いていく。

理想通りにいかず悩んだり、うまくいかない恋愛経験がある人は少しでも共感できる映画だとは思う。
そこまで悩んでいない自分にとってはあまり刺さらなかった。
自分に置き換えて観る映画ではあったが、振り返ったり思い出すと言う意味では、
自分(22歳)はまだ若く早かったと思う。
30代頃に見返すと面白い映画だとは思う。

彼女の「楽しいこと全部やっとかないと、なんだっていつかは終わるよ。」のセリフ
何気ない若さゆえのセリフだが、
言われた主人公にとっては
「この恋もいつかは終わるんだよ?」と
言われている気分になると思う。とても切ないシーン。

ふたりのシーンの情景から雨がよくカットインしたこと、
主人公と彼女の名前が明記されていないこと、
色々見終わった後に想像できる映画。

主人公と彼女の名前が明記されていないのは、
観た人が自分に置き換えることのできる余白だと思う。

総括して、主人公が気の毒です。



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