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黄金に輝くスーパー

 歩けなくなって初めてのスーパへ買い物、娘が連れて行ってくれた。スーパ日和のまさに秋、風は心地よく、空は天高く、空気が美味しい。思わずマスクを外し、胸一杯に吸い込む。髪は染めておらず短髪の白髪頭が風になびく。あまりにもおばぁちゃんの雰囲気だったら、車イスを押してくれている娘にも申し訳ないから、少しお化粧をした。自画自賛ではないけど化粧がうまい。みるみる変身、どこかのマダムの雰囲気を漂わせる。貫禄のあるマダム。若いときに占い師をしていた。一年も続かなかったけれど、いかにも魔女だと言われ月に40万は稼いでいたけど、忙しすぎて倒れてしまった。
 ですから化粧をしたら別人になるのである。
 娘は一生懸命、車イスを押している。アスファルトの道路だけど段差はある。娘は段差をさけながら上手に押している。やはり娘は細かいところまで気が行き届いている。
 久しぶりのスーパーは黄金に輝いていた。何もかもが。娘は丁寧に(おかん、左だけ見てやといいながら、ゆっくり車イスを押している。ユータンして今度は右だけ見てといいながら、スーパーの導線を行ったり来たりしてすべての場所を網羅した。すべてが新鮮でどれもこれも欲しいものばかりで時間が経つのも忘れてしまっている。あっという間に素敵な時間は終わりをつげた。足もそろそろ痛くなってきている。名残惜しいけど今日はここまで。家に帰り買ってきたおうどんと大好きな鯖寿司を頂く。不思議と娘と食の好みが似ている。娘は私が作るお漬物が大好きでよく食べてくれる。昆布の佃煮も美味しい美味しいと言って食べてくれた。
 子供が三人いて、朝早くから仕事をして、忙しい合間に会いに来てくれる。その気持ちが嬉しく感謝しています。娘には超別嬪さんの子供が三人いて私は正月から会えていないけど、孫の変化に驚いている。あっという間に奇麗になっていっている。もし、芸能界に誘われても、お願いだから断ってくださいね。普通の生活が幸せですので、それが一番心配です。
 また連れてくださいね。

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