自宅で生活するための認知症に対する介入案|2023.8.31配信予定
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はじめに
「訪問リハビリ患者で、認知症があって何をすればいいか迷っている」
「認知症症例の生活を見据えた具体的な介入案がわからない」
認知症というだけで、
生活が困難と考えてしまうのは大きな間違いです。
認知症症例でも、適切なアプローチを選択できれば、
在宅復帰が可能になる確率はグンと上がります。
知識がないと、患者様の人生を閉ざしてしまう事にもなりかねないので、
この動画でしっかり確認しておきましょう。
在宅生活の実際から、評価、介入案まで、
この動画一本で説明しちゃいます。
中途半端な知識は凶器になりかねないので、
しっかり最後まで確認しましょう〜。
またこの動画は、
「エビデンスベースで考える認知症リハビリテーション」
という書籍をもとに、自分の知見や考え方も交えて、
分かりやすく説明しているので安心してください。
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ではでは本編に。
本編
■在宅と認知症の実際
訪問リハビリやデイサービスで、
私たちセラピストが利用者様に関わる時は、
一般的に介護保険下で、サービスを提供することになりますよね。
介護保険は、自立支援や重度化防止といった理念を抱えているため、
身体だけでなく、生活や社会に向けた介入が必須になることは当然かと思いますよね。
ところが、実際フタを開けてみると、
身体機能維持のためのサービスの提供になっていることが多く、
他職種や家族と協力した自立支援ができていない事が、現在課題として挙げられています。
筋力が維持できればいい、転倒せず生活できればいいも大切ですが、
利用者様が、少しでも在宅生活を自立して行えるような、
働きかけも大切って事ですね。
特に認知症をもつ症例では、
認知機能の低下や、BPSDの出現により、
自分の役割や存在意義を失ってしまい、
ただ生かされている状態になってしまう事も少なくありません。
BPSDっていうのは、認知症の中核症状以外の症状でしたよね。
中核症状は、脳の細胞が壊れその役割が失われることで起こる症状で、
記憶障害や失語、失行、失認、見当識障害、実行機能障害などが該当します。
そしてBPSDは、中核症状に、
周囲の環境や対応、性格やストレスが影響して出現する行動や心理状態で、大きく4つに分類されます。
活動性亢進
焦燥性興奮、易刺激性、脱抑制、
徘徊や攻撃的行動などの異常行動など
精神症状
幻覚・妄想、夜間行動異常など
感情障害
不安、うつなど
対人関係の障害
自発性や意欲の低下、情緒の欠如、
不活発、周囲への興味の欠如など
中核症状との大きな違いは脳機能の障害ではなく、
本人を取り巻く環境や人間関係が大きく影響している事ですね。
そんなBPSDですが、
適切に介入する事で、症状が改善する事が、
日本以外の国でも報告されています。
もちろん日本でも報告はされていて、
「日堂的物事への関心の増加」
「夜中に起きだす回数の減少」
「昼間の臥床時間の減少」
「興奮の減少」
「徘徊の減少」
「介護拒否の減少」
「食事拒否の減少」
など、 BPSD の改善が多くあげられています。
こんなに効果があるのに、なぜ困っている人が減らないのか分かりますか?
それは適切な介入ができていないから、
そして介入する気がないからだと思います。
もちろん精一杯、向き合っているセラピストもいるかもしれませんが、
この人は認知症だから、もう何をやってもダメだ、
となっているセラピストも多いのではないでしょうか。
あなたがもし在宅に関わるサービスで働いていたり、
もしくは担当している患者さんの中に、認知症を抱えている症例がいる場合は、
この現状を受け止め、次の章から説明する内容をもとに介入してみましょう。
もしかしたら、目の前の患者様の人生を大きく変える手助けとなるかもしれません。
■必要な評価
ではでは評価方法について、説明していきましょう。
ここで説明するものは、
忘れがちな評価や、特に重要な評価を抜粋しているので、
他にも必要な評価があるよ!って思う方もいるかもしれませんが、
ご愛嬌ください。
ではでは、ざっと9つの評価があります。
HDS-R
DASC-21
DBD
身体機能評価
ADL評価
興味関心チェック
生活歴
Zarit短縮版
家族からの情報収集
ですね。それぞれ説明していきましょう。
●HDS-R
改訂長谷川式認知症スケールとも呼ばれる評価バッテリーで、
簡易的に行えるので、使った事がある方がほとんどなのではないでしょうか。
「年齢、見当識、3単語の即時記銘と遅延再生、計算、数字の逆唱、物品記銘、言語流暢性」
の9項目からなる30点満点の認知機能検査で、
点数が20点以下の場合、認知症が疑える評価になっています。
感度は93%、特異度86%と報告されています。
評価用紙はこんな感じ。
●DASC-21
DASC-21は、
高齢者の「認知機能」と「生活機能」を評価し、
認知症の検出および重症度を判断するためのスケールになります。
正式名称は「地域包括システムにおける認知症アセスメントシート」で、84点満点の評価になります。
「記憶、見当識、問題解決判断力、家庭内・家庭外のIADL、身体的ADL」に分類された、
21項目について各1~4点で評価し、
合計点が31点以上になると認知症を疑えますね。
31点以上の場合はさらに、
遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体的ADLに関する項目の点数から、
認知症の重症度(軽度認知症、中等度認知症、重症度認知症)を評価し、
遠隔記憶、場所の見当識、社会的判断力、身体的ADLの項目がすべて1点または2点の場合は、軽度認知症と判断できます。
●DBD13
DBDは、認知症の周辺症状(行動・心理症状)を鋭敏に感知できる評価尺度として作成されました。
その後、より簡易的に活用できるように短縮したものが、
DBD13で、13項目からなる評価になります。
こんな感じですね。
また、DBDの13種類の項目には、
それぞれ認知症に伴う周辺症状(BPSD)の程度等との関係性があるので押さえておきましょう。
1は記憶障害を反映しており、軽度から中等度の認知症で観察される。介護者を最も悩ませる行動障害のひとつである。
2は記憶障害と一部取り繕い反応を示している。
3はアパシー4および6は睡眠障害の存在を示す。
5 および 9は興奮や易怒性の現れであったり、自信のなさの裏返しであったりする。
7と8は多動で、背景には不安や常同行動の要素がみられる。
10は時間の見当識障害と同時に、実行遂行障害と自己評価の障害を反映している。
11 は病識のなさ自己評価の障害、12 は実行遂行障害、記憶障害と同時に潜在的な不安が観察されることがある。
13 は多動や実行遂行障害、時には興奮や易怒性が背景に存在することがある。
総合得点や、各項目の得点の変化を評価するのに活用できると良いですね。
●身体機能評価
可能な範囲で、筋力、可動域、痛み、フィジカルアセスメントなど評価しましょう。
課題の解決や、推論の際に必要な情報になります。
●ADL評価
現在行えているADL能力の評価を行いましょう。
FIMの項目を参考に評価を進めると良いかもしれません。
また、1日のタイムスケジュールなども押さえておけるといいですね。
●興味関心チェック
日本OT学会が出している、
興味関心チェクシートを活用し、
その人の興味関心を確認しましょう。
あらゆる事の動機付けになる確率が高いので、重要な評価になります。
回答が難しい場合は、
項目の事柄を実践してみて、
対象者が楽しそうに実施するか、イキイキと実施するかで判断していくのも良いでしょう。
評価用紙はこんな感じになります。
●生活歴
今までどうやって生きてきたのか、
生活してきたのか確認しましょう。
本人から聞いてもOKですし、
家族から聞いてもOKです。
その人の自伝を書くつもりで、
聞くのも良いかもしれません。
●Zarit短縮版
Zarit短縮版は、介護負担を定量定期に評価するためにZaritが作成され、
より簡単に評価できるように、短縮版として編集された評価になります。
身体的負担、心理的負担、経済的負担を総括して、
介護負担を評価できます。
●家族からの情報収集
家族から本人がどのように見えているかの評価を行いましょう。
ご自宅での様子や、自宅で行えている事、
介護状況など、確認できるといいですね。
■介入案
ではでは介入案について説明していきましょう。
ポイントは、
①生活の何が障害されているか分析する事
②本人の「できる事」「したい事」を評価している事
③本人の「できる事」「したい事」を実現するための具体的なプログラムの提案ができる事になります。
評価して介入案を考える際には、
この3つを忘れないようにしましょう〜。
ここではおすすめのか介入案を4つほど説明しますね。
●生活に結びつく単純作業
●家族へのアプローチ
●日課ノート
●応用動作・家事動作
●生活に結びつく単純作業
家事動作などの自宅で行える動作につながるような動作を、単純化して実施しましょう。
例えば、
洗濯なら、まずは洗濯後のタオルを干す、
食器の片付けなら、まずは食器拭き、
その他にも、雑巾縫いやメモ用紙を切り揃えるなどですね。
工程が複雑ではないモノで、本人がよく行っていたモノを選択できると良いです。
また声がけする時は、
一度にたくさんは伝えず、
1つずつ工程を伝えて混乱を防ぐようにしましょう。
食器拭きなら、
「まずはタオルを持ちましょう」→「食器を取りましょう」→「食器を拭きましょう」みたいな感じですね。
●家族へのアプローチ
次は家族へのアプローチ。
生活の中で長い間接するのは、家族なので、
家族の本人への接し方でも本人の状態が大きく変わります。
家族は本人が何もできないというマイナスなイメージを持っている事が多いので、
今できている事や、できるようになっている事を、その都度伝えていきましょう。
在宅生活を充実させるには、家族の協力が必要です。
家族が一緒に前を向いてくれないと、
一緒に買い物に行ったり、一緒に家事を行うのも難しくなってしまいます。
家族の認知症への理解や、本人への理解を促すためにも、
適切なフィードバックを家族に行うようにしましょう〜。
●日課ノート
単純作業がある程度できるようになってきたら、
日課ノートをつけてもらいましょう。
やった事を記載していくことで、
記憶の促しや、物事の想起が行えます。
また日付や曜日も記載する事で、
見当識も養う事ができます。
また読んで思い出せると、
本人も自分はこんなにできていると、肯定感が上がりますし、
家族もやっている事が可視化され、理解しやすくなります。
●応用動作・家事動作
単純作業や日課ノートの継続により、
動作が円滑に行えるようになってきたら、
応用動作・家事動作に移りましょう。
単純作業で工程を分けて実施しているので、
比較的簡単に行えるはずです。
いきなり応用動作・家事動作にチャレンジすると、
出来ないが本人にインプットされ、
得意な動作が嫌な動作に変わってしまう事があるので、
必ず単純作業の工程を経てから応用動作・家事動作に移るようにしましょう。
おわりに
プロなんだから言い訳するな!
これは、新卒で最初にチームを組んだ先輩OTに言われた言葉です。
まだ右も左もわからない1年目の僕が、
なんでそんなこと言われないといけないのか分からず、
正直腹が立ったけど、正論でもありました。
今の時代、厳しい言葉をかけてくれる先輩は減っています。
陰湿ではなく、後輩の本当の成長を願って
言葉をかけてくれる先輩は大切にしないといけないですよね。
そして、恩返ししたいなら、
知識を見につけて、自分が成長すし、
それをさらに後輩に伝達していくしかないとも思います。
結局は勉強しないといけないのですが、
なかなか継続できないという方は、
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ではでは、また次の動画でお会いしましょう〜。
今日も最後まで見てくださりありがとうございました〜。
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