認知症の評価と介入案
はじめに
「認知症症例への介入は何をすれば良いか分からない」
「認知症に関する知識はあるけど実際には何もできていない…」
国家試験で勉強したのは基礎知識だけで、
具体的にどうアプローチすればいいかなんて教えてはくれませんでしたよね。
僕も同じように悩み、調べる暇もなくただ月日だけが経過していってしまいました。
調べてみると、簡単にできそうな事もあり、
もっと早く調べればよかったと後悔、、、。
この動画を見ているあなたには、
変な後悔をしてほしくないので、
ぜひ最後まで見ていただき、知識を吸収していって下さい。
この動画を最後まで見る事で、認知症の評価から治療案まで理解することができます。
実際に治療効果が出ているモノなので、是非是非活用して下さいね〜。
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ではでは本編に。
本編
■認知症の復習
まずは、認知症の復習から始めましょう。
国家試験で勉強しているものの復習になるので、
懐かしい〜となるかもですが、
しっかり思い出しながら復習しましょう〜。
ではでは、認知症の治療が難しい要因の一つとして、
種類や原因が様々あることが挙げられていましたね。
感染症や炎症が原因になるモノや、
代謝や分泌系が原因になるモノ、
脳血管系に原因があるものなど、、。
その中でも日本で多いものとして、
「アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉型認知症」
が挙げられ、これらはまとめて四大認知症と呼ばれています。
認知症の割合としては、
アルツハイマー型認知症が、全体の約68%を占め、
脳血管性認知症が、約20%、
レビー小体型認知症が、約4%
前頭側頭葉型認知症が、約1%とされています。
また、一応分類分けされていますが、
単に分類するのは困難で、
いくつかの分類が混ざっている事も治療が難しい要因でもあります。
また認知症に対する薬は、分類事に対応した薬で、
一方の認知症には効果があるけど、もう一方には悪影響をもたらす場合もあるので、
薬の効果が出るどころか、症状を悪化させてしまうケースもあるので、これもまた大変ですよね。
そんなところで、四大認知症の特徴を最後に確認しておきましょう。
アルツハイマー型認知症
脳の変化:脳に異常なタンパク質が選まり、脳の神経細胞が変性・死滅して、脳が萎縮していく
障害部位:頭頁葉、側頭菜、海馬
初期症状:もの忘れがひどくなる
特徴:
もの忘れなどの認知機能障害
日時や場所が分からない見当識障害
もの盗られ妄想がひどくなる
怒りっぽくなる
徘徊するようになる
進行度合
記憶障害から始まり、徐々に障害が拡大して
いく
脳血管性認知症
脳の変化:脳梗塞、脳出血、脳
卒中などの脳血管障害によって脳の一部が壊死する
障害部位:前頭葉を中心にさまざまな部位
初期症状:もの忘れがひどくなる
特徴:
認知機能がまだらに低下する
歩行障害
言語障害
嚥下障害
感情のコントロールがうまくいかない
うつ状態
進行度合:
脳血管障害が起きるたびに、段階的に悪化する
レビー小体型認知症
脳の変化:レビー小体という特殊なタンパク質が脳の神経細胞内にでき、細胞が死減する
障害部位:後頭葉
初期症状:
幻覚、妄想
うつ状態
パーキンソン症状
特徴:
認知機能障害
認知の変動
幻覚、妄想
うつ状態
睡眠時の異常行動
パーキンソン症状
進行度合:
調子がいいときと悪いときを繰り返しながら進行する。時々急速に進行する
前頭側頭葉型認知症
脳の変化:前頭葉と側頭葉が募縮する。比較的、若い時期にかかることが多い。
障害部位:前頭葉、側頭葉
初期症状:同じ言動を繰り返す、身だしなみに気を使わなくなる
特徴:
自発性の低下
同じ動作を繰り返す
社会ルールを守らなくな
る
食行動の異常
進行度合:
ゆっくり年単位で進行する
それぞれ確認しておきましょう〜。
■症状別評価と介入
ではでは具体的な評価方法について説明していきましょう。
認知症の症状は多種多様なのですが、
様々な要因によって、脳部位のダメージが加えられ、
そのダメージを受けた脳領域に応じて、
症状がでてくると考えると、
臨床像がイメージしやすくなります。
要するに、認知症は、
脳のどこがダメージを受けているか?で症状が変わると言う事ですね。
さらにダメージを受けている部位を特定できれば、
対応も考えやすいと言う事になります。
認知症でダメージを受けやい部位は、ざっと7つ。
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● 前頭前野
● 海馬
● 左側頭葉
● 右側頭葉
● 頭頂葉
● 後頭葉
● 運動野
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それぞれ、説明していきましょう〜。
● 前頭前野
前頭前野が損傷されている認知症の特徴は、
空気が読めない、落ち着きがない事になります。
そのため、空気が読めない、落ち着きがないなどの症状が見られた場合、
前頭前野の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、前頭前野が司っている役割は、こんな感じ。
・集中する
・思考する
・創造する
・判断する
・行動や感情をコントロールする
・他人とコミュニケーションを取る
・記憶する
・予測をする
・やる気や意欲を出す
評価はこんな感じ。
▶︎五十音反応検査
指示:
今から五十音をランダムに読み上げていきます。「あ」が聞こえたら、手を叩いてください。
手順:
下記五十音をランダムに読み上げていく。
「い、き、あ、う、し、す、あ、あ、く、け、こ、い、あ、き、あ、け、え、お、あ、あ、あ、く、あ、し、せ、き、あ、あ、い」
判別:
2つ以上間違えたら、前頭前野の機能低下を疑る。
介入としては、計算問題が最適になります。
やや複雑で時間のかかる難易度の問題を用意しましょう。
数字をひらがなで表記したり、2桁の計算にしたりと調整できるとよいですね。
計算問題によって、前頭前野への血液量が増加し、
前頭前野の脳細胞が活性化します。
● 海馬
海馬が損傷されている認知症の特徴は、
聞いた事をすぐ忘れる事になります。
そのため、何度も同じ事を尋ねられる、迷子になってしまうなどの症状が見られた場合、
海馬の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、海馬が司っている役割は、こんな感じ。
・短期記憶
・記憶の重要度の振り分け
・情報の選択
・空間把握
評価はこんな感じ。
▶︎即時記憶検査
指示:
今から3つの言葉を言うので、すぐに繰り返して下さい
手順:
下記の単語を読み上げていく。
「さくら、ねこ、電車」
判別:
一つ以上間違えたら、海馬の機能低下が疑える
介入としては、記憶の入力と想起が行える課題を用意しましょう。
情報を記憶に留めて、すぐに取り出すといつた訓練がいいですね。
9枚くらいの写真を、数十秒で覚えてもらい、
その後、紙に書かれている言葉から、
写真の物の名前を想起してもらいましょう。
記憶の入力と想起課題によって、海馬が活性化します。
● 左側頭葉
左側頭葉が損傷されている認知症の特徴は、
会話の内容が理解できない事、文字が読めない事になります。
そのため、会話の理解ができていない、言葉が出ない文字が読めない書けないなどの症状が見られた場合、
左側頭葉の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、左側頭葉が司っている役割は、こんな感じ。
・言語の理解
・言語の表出
・言語の記憶
・文字の理解
評価はこんな感じ。
▶︎言語指示実行検査
指示:
今から私の言う通りに行って下さい
手順:
下記の文を読み上げる
「左手で紙を取って、その紙を半分にちぎって下さい。そして私に渡して下さい」
判別:
一つ以上間違えたら、左側頭葉の機能低下が疑える
介入としては、
言語処理の課題を行って行きましょう。
バラバラにした文節を並び替えて、文章を完成させる課題とかがおすすめになります。
言語に関わる課題をこなす事で、
左側頭葉への血流が増加し、脳細胞が活性化します。
● 右側頭葉
右側頭葉が損傷されている認知症の特徴は、
物品の認知ができない事、物品の理解ができない事になります。
そのため、箸が用意されても使えない、ハサミの使い方を忘れてしまっているなどの症状が見られた場合、
右側頭葉の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、右側頭葉が司っている役割は、こんな感じ。
・物品の認知
・色彩の認知
・音や音楽の記憶
評価はこんな感じ。
▶︎物品認知検査
指示:
今から私が指差す物品の名前と使い方を答えて下さい
手順:
下記の写真をランダムに指差していく
判別:
一つ以上間違えたら、右側頭葉の機能低下が疑える
介入としては、
机の写真、椅子の写真、急須の写真、湯呑みの写真など、ペアで使うものの写真を用意して、
そのペアを回答してもらいましょう〜。
物品認知課題を行う事で、右側頭葉の血流量が増加し、活性化されます。
● 頭頂葉
頭頂葉が損傷されている認知症の特徴は、
自信の怪我や痛みに気づけない事になります。
そのため、火傷をしても厚さに気がつかない、怪我をしても痛みを感じないなどの症状が見られた場合、
頭頂葉の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、頭頂葉が司っている役割は、こんな感じ。
・体から送られてくる情報の統合
・形や質感、重さなどを知覚として理解
・位置の把握
・方向感覚の維持
・図柄や立体などの構成
評価はこんな感じ。
▶︎立体認識検査
指示:
立方体のブロックはそれぞれいくつありますか?
手順:
イラストを見せて、答えてもらう。
判別:
一つ以上間違えたら、頭頂葉の機能低下が疑える
介入としては、図形の模写がおすすめです。
空間の認知機能に関する課題を行う事で、
頭頂葉への血流が増し、活性化します。
● 後頭葉
後頭葉が損傷されている認知症の特徴は、
徘徊する事、迷子になる事になります。
そのため、徘徊している、迷子になるなどの症状が見られた場合、
後頭葉の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、後頭葉が司っている役割は、こんな感じ。
・視覚情報を処理し理解する
・視覚的な記憶の形成
・外界情報を側頭葉や頭頂葉に送る
評価はこんな感じ。
▶︎図形一致検査
指示:
同じ模様の図形を線で囲んでください
手順:
図形の書かれている紙を用意して、線を引いてもらう
判別:
一つ以上間違えたら、後頭葉の機能低下が疑える
介入としては、視覚情報を正しく理解する課題が良いでしょう。
さかさに書かれている文字を答えてもらったり、
上下逆さまになっている同じ写真を選んでもらう課題を行いましょう。
後頭葉の活性化が見込めます。
● 運動野
運動野が損傷されている認知症の特徴は、
歩こうとしない、体を思うように動かせない事になります。
そのため、行動量の低下や、動きのぎこちなさなどの症状が見られる場合、
運動野の障害を疑いましょう〜。
ちなみに、運動野が司っている役割は、こんな感じ。
・運動の指令を出す
評価はこんな感じ。
▶︎運動記憶検査
指示:
今から私が行う動きを覚えて下さい。私が動き終わった後、同じ動きをして下さい。
手順:
①→やってもらう→②→やってもらう→③→やってもらうの順で進めましょう。
①右手を上げる→左手を上げる→両手を上げる
②右足を上げる→右手を上げる→左手を上げる
③両手を上げる→左手を上げる→両足を上げる
判別:
①②③通して、3つ以上間違えたら運動野の機能低下が疑える
介入としては、指示に合わせて、運動を実行する課題を行いましょう〜。
旗揚げゲームとかがおすすめですね。
手だけでなく、足も参加させることで、
難易度調整しましょう。
運動野の活性化が見込めます。
■内臓評価と介入
なんで、内臓機能の評価と介入が必要なんだ?って感じですよね。
認知症の原因のうちの1つは、脳細胞へのダメージですが、
内臓の障害があると、
そのダメージが回り回って、脳細胞にまで及ぶ可能性があるので、
内臓系にも、視野を広げるのが大切になります。
「脳腸相関」という言葉が、あるように、
脳と、内臓の関連は、
古くから考えられてきていることなので、
しっかり押さえておきましょう。
認知症で特に関わる臓器は、
●十二指腸
●肝臓
●腎臓
●肺
になります。
それぞれ、説明していきましょう。
●十二指腸
十二指腸の主な役割は、
胃から送り込まれた食べ物を、さらに消化したり、分解することでしたね。
十二指腸の機能が低下しているかどうか、次のチェックリストで確認しましょう。
2項目以上当てはまれば、
十二指腸の機能が低下している可能性が疑えます。
□食後満腹感が2時間以上続く
□便秘と下痢を繰り返す
□油の多い食事を摂ると、下痢や疲労感などが起きる
□慢性的に体が疲れる
介入としては、おへそを手のひらで30秒間圧迫しましょう。
食後を避けて、1日3回程度行うのが良いですね。
十二指腸に間接的に刺激を与えることで、
働きを活性化させます。
●肝臓
肝臓は、主に代謝機能、解毒機能、胆汁合成機能の3つの機能を有していましたよね。
肝臓の機能が低下しているかどうか、次のチェックリストで確認しましょう。
2項目以上当てはまれば、
肝臓の機能が低下している可能性が疑えます。
□健康的な食品をとっても体がだるい
□風邪をひくと治るのに5日以上かかる
□油の多い食事を食べると体が辛くなる
□3種類以上の服薬を半年以上続けている
介入としては、右寄りのみぞおちを、
手のひらで30秒間圧迫しましょう。
少し圧迫しづらいので、
背もたれのあるところで実施するのがおすすめです。
胸郭がかるく軋む程度の圧迫が意識できると良いですね。
1日3回程度行いましょう〜・
肝臓に間接的に刺激を与えることで、
働きを活性化させます。
●腎臓
腎臓の最大の役割は、尿を作ることですね。
腎臓の機能が低下しているかどうか、次のチェックリストで確認しましょう。
2項目以上当てはまれば、
腎臓の機能が低下している可能性が疑えます。
□手と足などの末梢部が冷たい事が多い
□風邪をひきやすい
□目の周りが黒ずんでいる
□慢性的な腰痛がある
介入としては、第10肋骨の下方付近を、
背部から手のひらで30秒間圧迫しましょう。
左側の腎臓の方が、高さが若干低いので、
左側は少し低めの位置で圧を加えましょう〜。
テニスボールなどを使って圧迫してもOKです。
こちらも1日3回程度行いましょう〜。
腎臓に間接的に刺激を与えることで、
働きを活性化させます。
●肺
肺の役割は、酸素を取り込み、二酸化炭素を体外に出す事。
肺の機能が低下しているかどうか、次のチェックリストで確認しましょう。
2項目以上当てはまれば、
肺の機能が低下している可能性が疑えます。
□猫背もしくは、前屈みで座っている時間が長い
□口呼吸している
□歩く以外の運動頻度が、1週間で1回以下
□万歳をすると胸部が引っ張られる感じがする
介入としては、剣状突起から、
肋骨に沿わせた部位に、30秒間圧迫を加えます。
こちらも1日3回程度行えると良いですね。
肺に間接的に刺激を与えることで、
働きを活性化させます。
おわりに
臨床はさらに楽しくなります。
勉強して成果が出ると、
ある程度、臨床は楽しくなってくるけど、
どこかで喜びが足りなくなります。
でもそのまま学びを続けて、基礎が固まっていき、
応用した治療や、訓練メニューを自分で考えられるようになると、
臨床がさらに楽しくなる瞬間が訪れます。
ここまでくると、結構無双できます。
とは言っても継続って大変ですよね。
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