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【ハンピンソンによる骨接合術後の理学療法案】大腿骨頸部骨折・大腿骨頸部・ハンピンソンの特徴からアプローチ案まで|2022.11.14配信

本ブログはYouTubeの台本を、そのまま掲載しています。分かりやすいオリジナルイラスト付きで確認したい方は、YouTubeKindleで確認してください。


はじめに

😖

「PTに必要な大腿骨頸部骨折の基本的な特徴がわからない、、、」

「ハンピンソンによる骨接合術の特徴や理学療法介入が分からない、、」


大腿骨頸部骨折は、理学療法士として働く中で、


避けては通れない程、よく担当する症例です。


どこかで、PTに必要な基本的な知識に触れておかないと、


一生、不安の残る治療をする事になり、


時には、同僚に差をつけられ、


時には、後輩に馬鹿にされる事も考えられます。


でも、大丈夫です。


この動画を最後までみる事で、


超基本的な、基礎知識は押さえる事ができるので安心してください。


そして、実際にこの動画で説明した知識で、


臨床や後輩指導が捗った実績もあります。


「りはメモ」の簡単な活動内容は、こんな感じになります。

(興味のある方は、動画を止めてご確認くださいませ。)


・臨床で悩んでいるPT、

・同僚と差をつけられて悩んでいるPT、

・後輩指導がうまくいかなくて悩んでいるPT

・に向けてリハビリの基礎知識を整理して詳しく、分かりやすいオリジナルイラストを使って説明しています。


有益な情報を見流したくない方や、応援してくださる方は、


是非、チャンネル登録やいいねをお願いします。


ではでは、本編に進みましょう〜


本編


大腿骨頸部骨折の特徴


まずは、PTとして「超最低限」押さえておくべき、大腿骨頸部骨折の特徴について説明していきましょう。


ズバリ、、、、


「骨癒合に不利な条件が整いやすい」


という事です。


言い換えるなら、


骨がくっつきにくい状況になりやすい、という事ですね。


理由としては、主に次の2つが挙げられます。


✅栄養血管損傷の危険性が高い事

✅荷重が加わりやすい部位である事


まずは、栄養血管損傷の危険性が高い事について。


はじめに、大腿骨頸部栄養する血管について確認していくと、


なぜ栄養血管損傷の危険性が高いのか?が理解しやすいと思うので、


栄養血管の、簡単な解剖から説明していきましょう。


栄養血管がなければ、骨折を修復するための栄養が充分に得られず、


骨癒合が進まないので、しっかり確認しましょう〜。


登場する栄養血管は、次の3つ。


  • 上支帯動脈

  • 下支帯動脈

  • 大腿骨頭靭帯動脈(円動脈)


上支帯動脈は、大腿骨頭の外上方2/3の領域を栄養する動脈で、


SRA:superior retinacular artery


と略称で呼ばれるので、覚えておきましょう。



下支帯動脈は、大腿骨頭の内上方1/3の領域を栄養する動脈で、


IRA:inferior retinacular artery


と略されるので、コチラも覚えましょう〜。


大腿骨頭靭帯動脈(円動脈)は、大腿骨頭靭帯(円靭帯)付着部周辺の領域を栄養する動脈で、


TA:teres artery


と呼ばれます。押さえておきましょう。


ちなみに、上支帯動脈と下支帯動脈は、


大腿深動脈の分枝である内側大腿回旋動脈から分岐します。


大腿骨頭靭帯は、閉鎖動脈の分枝である寛骨臼枝から分岐して、大腿骨頭動脈を貫通し骨頭へと進入します。


それぞれ、確認しておきましょう。


さて、この中で大腿骨頸部骨折に深く関わるのが、上支帯動脈。


上支帯動脈は、大腿骨頚部後外側の骨上を上行して、


関節軟骨縁直下から骨頭内に進入します。


大腿骨頭頸部骨折ではこの部分が、損傷される事が多く、


その影響は、上支帯動脈まで及び、動脈の損傷を招きます。


ちなみに、下支帯動脈は、


大腿骨頚部の、内側の骨と平行に走る被膜が形成する


Weitbrecht靱帯の中を通って骨頭の後内側へ進入し、


骨折転位が大きくなるとこの靱帯とともに損傷されます。


上支帯動脈は大腿骨頭の広い範囲を栄養しているため、


この動脈の血行が途絶すると、残る下支帯動脈と大腿骨頭靭帯動脈だけでは血行を代償することができず、


その灌流域である骨頭荷重部を中心とした骨頭の陷没変形が生じます。


この陥没は、late segmental collapseとも呼ばれ、


その発生率は、ガーデン分類ステージⅠ・Ⅱで約10%、


ガーデン分類ステージⅢ・Ⅳで約20%と言われていますね。


ざっくりまとめると、骨折部位付近に、大腿骨頸部を栄養する動脈が通っていて、


骨折と一緒にその動脈も損傷されやすく、


また他の動脈による代償もされずらい事から、栄養血管が損傷される危険性が高いという事ですね。


次は、荷重が加わりやすい部位である事について。


こちらは、視覚的に見て分かりやすいかと思いますが、


大腿骨頭は前捻角と頸体角を持っているため、


上部の体からの重さが、大腿骨頸部に加わりやすくなっています。


骨癒合しようとしている時に、立位で体重がかかると、


真っ先に骨折部位でもある、大腿骨頸部に重さが加わり、


骨折の治癒が遅くなりやすい原因になります。


以上の二つの面から、


大腿骨頸部は、「骨癒合に不利な条件が整いやすい」、


つまり、骨がくっつきにくい状況になりやすい、といえます。


大腿骨頸部骨折術後は、比較的早く荷重をかけられるケースが多いですが、


骨癒合しにくい環境が整いやすいという事を念頭において、


介入を進めるようにしましょう。



大腿骨頸部の力学的特徴


つぎは、大腿骨頸部の力学的特徴について。


こちらも、大腿骨頸部骨折の介入をする上で、


PTとして知っておくべき、基本の基本の知識になるのでしっかり押さえておきましょう〜。


先ほどもちらっとお話ししましたが、


大腿骨頸部は、前捻角や頚体角を持っているため、


力学に負荷の加わりやすい部位になっていましたよね。


実はそれを補う様に、特徴的な骨梁構造を有していて、


それにより、ある程度の負荷が加わっても、簡単に損傷しないように補完されています。


ポイントは5つの骨梁群よる骨梁構造で、覚えておくべき5つの骨梁群はこんな感じ。


  • 主圧縮骨梁群

  • 主引張骨梁群

  • 副圧縮骨梁群

  • 副引張骨梁群

  • 大転子骨梁群


主圧縮骨梁群は、


頚部内側骨皮質(Adams弓)から骨頭の上内部に広がるとされています。


略称で、PC(principal compressive group)と呼ばれるので、覚えておきましょう。


主引張骨梁群は、近位骨幹部外側骨皮質より弓状線を描きながら頚部を通過し骨頭の内下部に向かいます。


略称は、PT(principal tensile group)ですね。


副圧縮骨梁群と副引張骨梁群は、主圧縮骨梁群と主引張骨梁群を補強する骨梁群として、


小転子レベルの内側および外側骨皮質から中央に向かいゴシックアーチ状の内部構造を形成します。


略称は、それぞれ


副圧縮骨梁群→SC(secondary compressive group)

副引張骨梁群→ST(secondary tensile group)


になります。


大転子骨梁群も、主圧縮骨梁群と主引張骨梁群を補強する骨梁群として存在していて、


主に大転子部に広がっています。


T(gratr trochanter group)と略称で呼ばれるので覚えておきましょう〜。



これらの5群が、お互いに交差して、力学的強度を増す網構造を形成していて、


それにより、大腿骨頸部の弱さを補っています。


主圧縮骨梁群・主引張骨梁群・副圧縮骨梁群に囲まれている部分は、


網構造が弱く骨粗鬆に伴う大腿骨頚部骨折の好発部位となり、


この部位は、Ward’s triangle(ウォード・トライアングル)と呼ばれるので、ついでに覚えておきましょう。


ハンソンピンによる骨接合術の特徴と理学療法案


ではでは、ハンピンソンによる骨接合術の特徴と、理学療法案について説明していきましょう〜。


まずは、ハンピンソンによる骨接合術の特徴について。


ざっとこんな感じになります。


・術前の可動域の獲得が見込める

・関節周囲組織への侵襲がほとんどない

・関節の知覚受容器が温存されやすい

・早期の荷重訓練が可能


・人工骨頭や髄内釘と比べて、ズレのリスクが高い

・骨頭内のフックの部分が破損すると、関節面穿通し股関節に痛みを訴える場合がある


ちなみに、大腿骨頸部骨折の術式の簡単なイメージはこんな感じ。


人工骨頭置換術

ーTHA

ーBHA


骨接合術

ー髄内釘(γネイル、プロキシマルフェモラルネイル等)

ーピン固定(ハンソンピン、CCHS等)

ープレート固定(Ωプラス、トロキャントリックプレート等)


THAは、臼蓋側にカップを、骨頭側に人工骨頭を置換する手術で、


BHAは、骨頭側に人工骨頭を置換する手術になります。


髄内釘は、γネイルやプロキシマルフェモラルネイル等が該当し、


大腿骨骨幹部の髄腔内に、「ネイル」と呼ばれる筒状の金属(髄内釘)を打ち込み、


さらに大腿骨転子部から大腿骨頸部に向けて「ラグスクリュー」を打ち込み骨折部位を接合する手術になります。


ピン固定は、ハンソンピンやCCHS等が該当し、


大腿骨転子部から大腿骨頸部に向けて、「ピン」を打ち込み、


頸部内に打ち込まれたピン先から、フックを出し、


そのフックを使って、骨折した頸部と転子部を寄せて骨接合を行う手術になります。


プレート固定は、Ωプラスやトロキャントリックプレート等が該当し、


大腿骨転子部から大腿骨骨幹部の外側にかけて、


金属の板(プレート)を沿わせ、


そのプレート越しにスクリューを打ち込み、骨折部を接合する手術になります。


ではでは、これらの特徴をもとに、理学療法案を考えていきましょう。


基本的な考え方は、医師の指示のもと早期離床して、積極的に活動度を上げていく感じです。


合わせて、なぜ今回の受傷に至ったかを確認し、再受傷の予防も行えるといいですね。


大まかな流れを説明するので、参考にしてください。


術前リハビリテーション

術後リハビリテーション


術前リハビリテーションの方針は、次の4つ。


・総腓骨神経麻痺の予防

・深部静脈血栓症の予防

・廃用性筋萎縮の予防

・疼痛コントロール


具体的な介入案としては、


・ポジショニング

・大腿四頭筋の等尺性収縮

・足関節の底背屈運動


などが挙げられます。


円滑な術後リハに繋げられるよう、介入を進めましょう。


お次は、術後リハビリテーション。


大きく、「術翌日〜1週程度」「術後1週〜術後4週程度」に分けて考えるといいでしょう。


「術翌日〜1週程度」

「術後1週〜術後4週程度」


「術翌日〜1週程度」の時は、


・術後リハの導入

・総腓骨神経麻痺の予防

・深部静脈血栓症の予防

・廃用性筋萎縮の予防

・早期離床


をリハビリの方針として介入を進めましょう。


具体的な、訓練案としては、


・ポジショニング

・大腿四頭筋の等尺性収縮

・足関節の底背屈運動

・離床

・荷重訓練

・歩行訓練


などが挙げられます。治療後の体の状態は、個人差がかなりあるので、


医師に負荷量を確認して、訓練を進めるのがいいですね。


次は、「術後1週〜術後4週程度」。


この時期のリハビリの方針は、


・積極的な術後リハの実施

・筋力や筋持久力の向上

・基本動作の再獲得

・日常生活動作の再獲得

・疼痛のコントロール


になります。


具体的な訓練内容は、こんな感じ。


・関節可動域訓練

・筋力増強訓練

・荷重訓練

・バランス訓練

・歩行訓練

・基本動作訓練

・日常生活動作訓練

・持久力向上訓練

・物理療法


加えて、退院前までに受傷予防に向けた試みを行えるといいですね。


環境調整や、バランス能力向上などなど、


なぜ今回の受傷に至ったかを確認し、再受傷予防に努めましょう〜。


おわりに


1日たった10分だけでも、コツコツと勉強する習慣をつけると、


人生が変わるはずです。


いきなり、毎日1時間勉強する必要はありません。


なんなら、1日1分でもOK。少しでいいので、


情報に触れる習慣をつける事で、臨床の悩みが減り、


後輩指導や日々の治療が、スムーズに行えるようになるはず。


ではでは、今日の動画のまとめです。


簡単に復習できるよう、この動画を最後まで見てくれた方限定で、


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ではでは、また次の動画でお会いしましょう〜

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