理学療法士からみた靴の選び方と履き方
今回は、患者様がリハビリを行う時に履いている靴について着目していきます。
理学療法士は歩行などの動作を見る専門家です。
専門家の目線から、ここでは靴の構造から考えた、靴の履き方や選び方をご紹介致します。
靴はなんでもいいわけではない
皆さん、臨床の場面で患者様の靴に着目したことはありますでしょうか?
よく見てみると、サンダルだったり、踵を踏み潰していたり、足のサイズに合っていなかったり、色々と問題が見つかってきたりしませんか?
ある研究では、裸足や靴下と比較し、適切な靴を使用した場合は転倒リスクが低いという報告もあるそうです。
患者様の中でも、膝や腰の痛みの原因や、転んでしまった原因などは、もしかしたら合わない靴を履いているからかもしれません。
おさえておくべき靴の構造のポイント
靴を選ぶ時に見ておく靴の構造はこれ!
・踵がしっかり覆われているか
・踵を覆っている部分の硬さ
・靴底が柔らかすぎてグニャッと曲がらないか
踵がしっかり覆われているか
踵の形に合わせて靴の踵部分がしっかり踵を覆っているか確認します。
もちろんサンダルやサイズの大きい靴などは踵と靴が合っておらず、歩行周期のロッカー機能に影響を及ぼすでしょう。
踵を覆っている部分の硬さ
踵の形を保護するため月形芯(つきがたしん)と呼ばれる補強材が、入っているかどうか確認します。
踵の硬さが後足部の安定化に関連しています。
後足部が不安定であれば、立脚初期から影響が出ることは明らかです。
踵の部分を左右からつまんで押して、踵がつぶれないかどうか確認しましょう。
靴底が柔らかすぎてグニャッと曲がらないか
靴底にはシャンクと呼ばれる固い素材が入っています。
これは靴底の形を保つために使用されているもので、革靴などには鉄製のものが使用されていることが多いそうです。
このシャンクがそもそも入っていない靴は、靴底のアーチも保たれません。
シャンクが入っていて、MTP関節のところで蹴り出しの時に足趾伸展ができるような靴を選びましょう。
靴の履き方
①踵にしっかりフィットするように履く。
②靴紐やマジックテープを”足の甲から土踏まずを靴と固定するようなイメージ”で留める。
①の場合、よくつま先をトントンして靴を履くことがありますが、踵をトントンしながら履いた方がよりフィットします。
②に関しても、靴紐やマジックテープを緩めないでそのまま脱ぎはぎしていると、足にフィットしていない状態で歩いていることになります。
本来ならば、履く時は、靴紐やマジックテープを緩めてから履き、留めなおします。
靴の選び方
理想の靴は、以下の4点です。
・踵を補強する月形芯が入っている
・シャンクが入っている
・中敷が取れる
・靴紐やマジックテープで調整できる
また、自分の足に合っているか確認するには以下の3点です。
・中敷をとり、踵に合わせて大きさを確認
・足先の余裕は1cm程度とする
・歩いた時やつま先立ちした時など、MTP関節と靴の前足部の曲がる部分が合っているか確認
患者様と一緒に靴を買いに行くのは難しいと思うので、上記の注意点を伝えてみるのも良いかもしれません。
また、福祉用具の中の靴を選ぶとき、可能であれば、業者に数種類持ってきてもらい、実際に履いて歩いてもらって評価するのが理想です。
まとめ
・適切な靴を履くと、転倒リスクが下がる
・スポーツシューズのような、踵や靴底の補強、靴紐やマジックテープでの調整が可能な靴が理想
・靴を履く時は踵で合わせて紐やテープでしっかり固定する
靴は身近にありすぎて、軽んじてしまっている方が多くいると思います。
体を地面から最前線で支えている部分なので、私たちの生活において重要な役割を果たしていることは間違いないでしょう。
少しでも足元に着目して頂けたら幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。