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加齢にともなうウエストサイズの増加を抑える食品とは?
歳をとるにつれて気になるのが「腹部の肥満(ぽっこりお腹)」です。
腹部肥満はメタボリックシンドロームや2型糖尿病、心血管疾患の高いリスクと関連していることが報告されています。
これに対して、食物繊維を含む炭水化物の摂取がウエストサイズの変化に影響していることが報告されています。
では、どのような炭水化物の食品が中高年のウエストサイズの変化と関連しているのでしょうか?
2021年5月、この問いの答えとなる研究結果を報告したのがタフツ大学のSawickiらです。
Sawickiらは、Framingham Heart Studyに参加した3,101名(平均年齢54.9±0.2歳、体格指数(BMI)27.2±0.1kg/m2)を対象に調査を行いました
*Framingham Heart Studyとは、アメリカ・マサチューセッツ州Framingham市の住民を対象とした長期にわたる継続的な心血管コホート研究
調査は18年間(中央値)の追跡され、4年ごとに食事調査とウエストサイズを計測しました。
食事調査は炭水化物品質指標(CQI)のほか総食物繊維、穀物食物繊維、野菜繊維,果物繊維,炭水化物/食物繊維の比、炭水化物/穀類繊維の比が計測されました。
炭水化物品質指標は、下記の指標となっています。
・食物繊維の摂取量(g/日)
・グリセミック指数(GI)値
・全粒穀物と全穀物(全粒穀物+精白穀物)の比率、
・固体炭水化物と全(液体+固体)炭水化物の比率
その結果、炭水化物/食物繊維の比率が高いほど、ウエストサイズの増加が大きくなりました。これは、炭水化物に含まれる食物繊維が少ないほどウエストサイズが大きくなることを示唆しています。
また、炭水化物品質指標が高いほどウエストサイズの増加が少なくなりました。さらに総食物繊維、穀類食物繊維、果物繊維の摂取量が多いと、摂取量が少ない場合に比べて、ウエストサイズの増加が少なくなりました。これは、全粒穀物や果物の摂取量を増やして、摂取する総食物繊維の量を増やすことがウエストサイズの増加の抑制ひ寄与することを示唆しています。
これらの結果から、Sawickiらは加齢にともなうウエストサイズの増加(腹部脂肪の増加)を抑えるためには「炭水化物の質」に注目するべきとして、そのためには食物繊維を多く含む炭水化物である全粒穀類や果物を中心に摂取することが重要であると述べています。
全粒穀物とは、精製されていない穀物のことをいい、玄米や大麦(押し麦やもち麦)、オートミールや全粒粉を使用したパンやパスタなどの食品になります。これらは食物繊維を多く含むことから「やせる炭水化物」ともいわれています。これに対して、精製された穀物である白米や小麦粉を使ったパンやパスタは食物繊維が除かれてデンプン(糖質)のみになることから「太る炭水化物」といわれています。
『ダイエットするなら「白米よりも玄米」を食べよう!』
果物は含まれる果糖が気になると思いますが、食物繊維やポリフェノールなどを豊富に含むことから、ほとんどの果物にはダイエット効果を促進する作用が認められています。
『ダイエットするなら「やせる野菜と果物」を食べよう!』
お腹まわりの脂肪が気になりはじめたときには、白米を玄米や大麦、オートミールなどの全粒穀物に置き換えて、果物の摂取量を増やすように食事内容を少しづつ変えてみるのも良いかもしれませんね。
◆ 参考文献