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筋トレの効果を最大化する「トレーニングの順番」を知っておこう!


 筋トレによる効果には主に筋肉を大きくする「筋肥大」と、筋力を強くする「筋力増強」があります。現代のスポーツ科学は、この2つの効果を最大化させるための方法論を明らかにしつつあります。

 筋肥大の重要な要素は「トレーニングの総負荷量」で、これは負荷量(強度)、回数、セット数の総量であり、その中でも特にセット数を増やすことが効果的にとされています。
筋トレの効果を最大化するトレーニング要素の最新エビデンス

 さらに、インターバル時間、運動速度なども筋肥大の効果に影響します。その公式は次のようになります。

 筋肥大の効果 = トレーニングの総負荷量(負荷量×回数×セット数)× インターバル時間 × 運動速度 × 関節可動域 × 収縮様式 × 週の頻度

 一方、筋力を増強するためには「高負荷」のトレーニングが不可欠です。筋肥大は負荷量よりもセット数が重要ですが、筋力増強では高負荷が特に重要な要素とされます。
筋トレの効果を最大化するトレーニング要素の最新エビデンス

 さらに、運動速度、週の頻度が筋力増強の効果に影響します。

 筋力増強の効果 = 高強度の負荷 × 運動速度 × 週の頻度 

 このように、筋トレの効果を最大にするためには、トレーニングの要素を最適に組み合わせる必要があります。
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 では、トレーニングの順番にも、筋力増強や筋肥大の効果を高める最適な順番があるのでしょうか?

 トレーニングには、一つの関節だけを動かす「単関節トレーニング(SJ)」と、複数の関節を動かす「多関節トレーニング(MJ)」が存在します。例えば、アームカールはSJの一例、ラットプルダウンはMJの一例と言えます。

 アメリカ・スポーツ医学会(ACSM)は、SJとMJを組み合わせてトレーニングすることが筋トレの効果を高めるとして推奨しています。しかし、どちらを先に行うべきかについての明確なエビデンスは示されていませんでした(ACSM, 2009)。

 そして近年、この問題を解決する最新のメタアナリシスが報告されたのです。  

*メタアナリシスとは、これまでの研究結果を統計的手法により全体としてどのような傾向があるかを解析するエビデンスレベルがもっとも高い研究デザイン。

 今回は、トレーニングの順番が筋力増強、筋肥大の効果に与える影響について、最新の研究報告をご紹介しましょう。



◆ 筋力を強くしたいトレーニング種目を「先」に行おう!


 2021年、ロンドリナ州立大学のNunesらはトレーニングの順番が筋力増強や筋肥大に与える影響について質の高い11の研究報告をまとめて解析したメタアナリシスを報告しました。

 被験者は筋トレ経験者と未経験者を含む268名で、トレーニング期間は平均9週間(6~12週間)でした。被験者はSJ→MJグループとMJ→SJグループに分けられ、トレーニングの前後で筋力増強と筋肥大の効果を分析しました。

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