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コロナ患者への呼吸リハの有効性を知りたい方!必見!

今回の論文は、2021年2月15日にフリーアクセスとなったフランスからの論文です。

コロナ(COVID-19)における呼吸リハビリの有効性を報告した論文は、症例報告が多く今回のような研究はまだまだ少ないです。

現状における臨床の参考になる貴重な論文ですね。

手探りでCOVID-19患者さんに呼吸リハビリを提供していると思いますが、今回の論文を読んで少しは自信をもってリハビリを行えるかなと思います。


呼吸リハビリテーションは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)に代表されるように急性期から維持期までの患者さんにおいて有効性は証明されています。

今回の研究目的は、重度のCOVID-19患者におけるICU退出後の呼吸リハビリテーションの影響を評価し、ICU退出後の非COVID-19患者と比較することでした。

ポイントはICU退出後というところでしょうか。

呼吸リハビリテーション内容は、呼吸訓練、筋力強化訓練、バランス訓練、可能な場合は歩行訓練、エルゴおよび有酸素運動を現在のATS/ERSに従って行っていました。

結果は、

2群間の年齢、性別、BMIに有意な差はなく、COVID-19患者はより長いICUおよび挿管期間を必要としていた。
COVID-19患者は、非COVID-19患者よりも気道閉塞が少なかった。
COVID-19患者は重度の運動耐容能の低下を有し、運動中に重度の低酸素状態に陥っていた。
そして、呼吸リハビリテーションは、COVID-19患者において優れていた。 
COVID-19患者は、すべての身体的および心理社会的評価において、呼吸リハビリテーション後有意な改善を示した。
呼吸リハビリテーションは、COVID-19患者における6分間歩行距離(効果判定の指標の1つ)が有意に向上した(p<0.001)。(下表)

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(引用元①)
(縦軸が6分間歩行距離、横軸が経過日数。初めの点が、ICU退出時(リハビリ開始時)を示す。1週間ごとに再評価。)

しかし、退院時には、両方のグループが依然として呼吸機能および身体機能に有意な障害を示した。
(引用文献①)

考察の中でも、呼吸リハビリテーションのみの効果でなく、病気の自然回復プロセスにも関連しているとしていました。

確かに、比較的健常な肺の方がCOVID-19に罹患し人工呼吸器管理になるのと、元々肺が悪い方が人工呼吸器管理になるのとでは回復する程度は違うってことですかね。

今回の肺機能からもCOVID-19の肺炎像がキレイに治ってくれた対象が多かったのかもしれません。

もう一つの重要な点は、呼吸リハビリテーションの期間が長い程、身体機能やQOLなどより大きな効果が得られる可能性を示していました。

つまりは、ICU後からの介入ではなく、ICU内からの早期リハビリテーションの重要性や退院後の地域リハの重要性も示しているかと思います。

まずは時期にあわせて標準的な呼吸リハビリテーションをCOVID-19患者さんには提供していきましょう!

また情報は更新していきます。

今のうちにしっかり準備して、さらに効果が出るリハビリを提供するしかないです。

COVID-19患者さんに関わっているのは、医師や看護士のみではありませんよね。

まだまだ集団免疫が出来ていないので、次があります。。。次のパンデミックがいつ来てもいいように備えておきましょう!

COVID-19患者さんのリハビリに従事されている皆さん!これから関わっていく皆さん!
頑張っていきましょう!


最後まで読んで頂き、ありがとうございます!
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また、COVID-19患者へのリハビリの現状を知りたいからは↓を参考にして下さい。

引用元①・引用文献①:
Al Chikhanie, Y., et al. "Effectiveness of pulmonary rehabilitation in COVID-19 respiratory failure patients post-ICU." Respiratory Physiology & Neurobiology (2021): 103639.

ライター:Take。急性期病院で勤務。臨床11年目の呼吸認定理学療法士、呼吸療法認定士、呼吸ケア指導士。


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