<後編>『夫の家庭を壊すまで』が意外な人気?67万サンプルの視聴データを元に、2024夏ドラマの面白かった作品・意外な作品について語ってみた
社内のドラマ好きが集まって、レグザの視聴データを元に夏ドラマについて語る対談の後編です。
意外性のあった夏ドラマについて語ってみた
このパートでは総合ランキングでは上位ではないものの、特定の層に人気があるなど特徴的な夏ドラマについて語ってみました。
毎話大きな展開が合った 『降り積もれ孤独な死よ』
賀澤
ここからは意外性がある「実は面白いドラマ」を語っていきます。まず『降り積もれ孤独な死よ』ですが、これは全体ランキングでは9位ですね。ティーンがめちゃめちゃ低い分、F1・F2・M1・M2が高い不思議な形ですね。
いぬづか
ティーンに見られていた印象があったので、個人的には意外なところです。話的には番組の作りがうまいというか、ちょっと語弊があるかもしれないですけど、面白そうに見せるのがうまい、展開がうまい作品だったと思っていて。それこそ主題歌もいいタイミングで流れたり、構成がうまくて。出演者も吉川愛さんをはじめとして若い層が出ていて、いろんな層に見られてるのかなって印象があったので意外な結果ですね。
賀澤
ティーンはもっと高くてもいいんじゃないかって感じですか?
いぬづか
そうですね、もうちょっとあると思いました。
さやまる
私もこのドラマがすごく好きで、今期は毎週楽しみに見てました。ただティーンのランキングが低いのは私としては納得です。このドラマは漫画原作なんですが、青年漫画の「イブニング」ということと、虐待された子供たちの話で、でもその親たちも実は虐待された過去があって、という虐待の連鎖を取り扱った重たいお話なので。
ただ、毎話大きな展開があったので、サスペンス好きやハラハラドキドキ系が好きな人には刺さると思いました。
学園もので若年層に人気 『ビリオン×スクール』
賀澤
『ビリオン×スクール』は全体ランキングは13位ですね。比較的若い層かつ男女とも人気ですね。
いぬづか
コメディチックというか、ふざけた感じのテンションの部分とシリアスなところと2面性があるドラマだなと思っていて、そのコメディチックなところのボケがしっかり面白いっていうところで、最後まで好きで見ていたっていうところが大きいですね。
話の展開自体も基本ありきたりな部分はありつつも、テンポよく進んでいくので面白かったです。退屈することなく最後まで見れた印象です。若い層に人気なのは山田涼介さんが出てたり、学生役でトラビスジャパンの松田さんが出てたので、そこら辺の需要があったのかなって。
賀澤
M1層もランキングが高いんですが、女性アイドルも出てたんでしたっけ。
さやまる
女性アイドルは出てなかったようなイメージが…。ただ、まず学園ものということと、落ちこぼれクラスの子たちが 山田くん演じる天才教師に導かれ、クラス全体でいろいろぶつかり合いながらのし上がっていくという物語が、ティーンやM1層に受けるのは、まさしくわかるなと思いました。
私もいぬづかさんと同じで、F1層はもちろんSTARTOの松田くんと山田くんの影響かなと思いました。
原作漫画からの女性人気 『青島くんはいじわる』
賀澤
次は『青島くんはいじわる』です。『青島くんはいじわる』は全体ランキングは14位でした。 これは完全に男子は見てなくて女子人気ですね。
さやまる
このドラマは語らせてください!原作の漫画の評判がとても良かったんですよ。今の時代は「めちゃコミック」などで原作を無料で読めるので、そういったサービスから入ってきた若い世代の子もいるだろうし、Snow Manの渡辺翔太さんが出てるので見たという背景もありそうなのが、このティーンとF1・F2に現れていて、F3でガクっと落ちるのはなんとなくわかります。
M3層に響いた『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』
賀澤
『しょせん他人事ですから 〜とある弁護士の本音の仕事〜』は全体ランキングが16位です。これはM3層だけやけにランキングが高くて、あとはあまり高くないですね。ネット民に受けてるように見えますね。
いぬづか
若い層にも分かりやすい内容で、インターネットトラブルを取り上げるドラマだったので、もうちょっと若い層が見ててくれた方が勝手な思いとしては嬉しかったです。反面M3・F3層にも見られているのは意外な部分もありますが、いい傾向だと思います。内容としてもかなり面白かったんですが、放送時間がちょっと早かったので若い子からは見られづらい要因の1つになってるとは感じました。
さやまる
いぬづかさんがおっしゃっていた見たい層に届いてないのは、ネットトラブルに関するいわゆる「わかっているけれどやってしまう」的な、目を逸らしたくなるような心理がありそうかなと思いました。
松本まりか節炸裂のドロドロ系人気作『夫の家庭を壊すまで』
賀澤
『夫の家庭を壊すまで』の全体ランキングは15位で、女性に基本的には人気ですがM1・M2までまあまあ人気ですね。
さやまる
M2のランキングが高いのは松本まりかさんが人気なイメージです。松本まりか節が炸裂してたので。
賀澤
このドラマのドロドロ系は、たしかに女性のランキングが高いだろうな。ティーンもわりと見てるんですね。
さやまる
そうですね。このドラマは復讐劇なんですよね。不倫をした夫の家庭を壊すために不倫相手の息子を誘惑するといったドロドロ系なので、好きな人には刺さるイメージです。
賀澤
なるほど。好きな人が見ていて、番組サマリーを見ると予約消化率の偏差値が62と高いので、本当に録画してすぐ見る人がいっぱいいたようですね。
さやまる
そうですね。もうめちゃくちゃ展開が気になる作品でした。
いぬづか
TVerでも話題になってましたね。
賀澤
この作品は意外と隠れた人気作でしたね。深夜ドラマの中では1番ランキングが高いぐらいですね。ドロドロ好きにはたまらないみたいな。
賀澤
ファン層グラフを見ると同じくドロドロ系の『スカイキャッスル』が確かに出てますね。
さやまる
『あの子も子ども』もドロドロで、『どうか私より不幸でいて下さい』もドロドロですからね。
いぬづか
傾向が典型的ですね。
賀澤
『完璧ワイフによる完璧な復讐計画』もそうですね。
さやまる
もうまさにですね。『顔に泥を塗る』もめっちゃドロドロ系なんでわかりますね。レグザに「ドロドロドラマパック」を作りますか(笑)。
サクサク見られた 『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』
賀澤
『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』はF1層だけぼっこり低くて、あとは同じぐらいって感じですね。 F1層が見ない要素でもあるのかな。
さやまる
小芝風花ちゃんは女性向けの化粧品のCMに出てるので、F1層にそんな悪いイメージはないとは思うんですが、 ちょっと不思議ですよね。ただ、亡くなった方のご遺体を家族の元にお返しするってテーマなので、F1層からすると例えば仕事で疲れてるのにそんな暗いテーマは見たくない、とかありそうですね。
逆に言うと男性の割合が高いのは大島優子さんとか小芝風花ちゃんファンの影響もあるかなと。F2・F3はSnow Manの阿部亮平さんの人気がありそうですね。
賀澤
このドラマの番組サマリーを見ると、予約消化率の偏差値が割と高めで60近いので、好きな人は次が気になって見てましたと。
さやまる
でもこのドラマは1話完結型なんですよ。なので次が気になるというより、1話完結だからこそサクサク見れるってこともあるのかなと思います。
賀澤
ファン層グラフは、『マル秘の密子さん』や『ギークス』にも近いですね。
さやまる
『ギークス』は同じく警察ドラマですね。
個人的に推したい夏ドラマを語り合う!
このパートでは総合ランキングは度外視して、自分たちが面白いと感じる、最後までみたドラマの中から気になるドラマのランキングや傾向について語りあいました。
どんなテンションでも楽しめる『ギークス 〜警察署の変人たち〜』
賀澤
まず『ギークス 〜警察署の変人たち〜』です。性・年代バランス グラフは平坦で、だいたいランキングは8位ぐらいですが、F1層がちょっとランキングが上がってるかな。
さやまる
F1層が好きなのはわかります。 このドラマは仕事とプライベートを完璧に分けたい3人の女性警察官の物語で、これも1話完結で事件を解決していくお話しです。定時で必ず仕事を終え、中華料理屋さんで事件についてお喋りをしてそこから事件を解決していくといった感じで、その中で恋愛要素はほぼ無いんですけれども、それが逆に良かったのかなと。
『降り積もれ孤独な死よ』や『海のはじまり』はグッと心を持っていかれるものがあるんですけど、『ギークス』は恋愛要素もハラハラ要素もなく、ちょっと軽めなコメディ要素もあり、でもスルっと最後に事件は解決しますよってテイストだったので、どんなテンションでも楽しめる作品として私は重宝してました。
若年層にも見てほしい『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』
賀澤
『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』はNHKで3話ものでしたよね。これは全体ランキングでは20位でした。男女とも年齢層高めのF3・M3が特に人気ですね。
いぬづか
内容的に個人的には若い人に見てほしい内容で、漫画原作なんですが、精神的な病に関するドラマです。それに対処していくところが緻密に描かれていて、取材も細かくやられてるので、センシティブな情報を扱うドラマだからこその学びもあるし、見やすい部分があると思います。
NHKドラマはかなり好きでいつも注目していて、直近のNHKドラマの中でも話題にもなったのもありますし、個人的にもかなり面白かったなと注目していた作品です。
賀澤
ぜひ見てほしいって感じですね。
いぬづか
若い層に特に見てほしいです。
賀澤
でも若い層ではあまりランキングが高くないんですね。
★いぬづかの夏ドラマ ベスト1
いぬづか
私は『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』がベスト1ですね。
さやまる
中村倫也さんがすごく役柄に合ってましたね。
いぬづか
そうですね。めちゃくちゃ合ってました。
さやまる
中村倫也さんの魅力が炸裂してるなと思って。
いぬづか
そうですよね。中村倫也さんのファン界隈でも話題になってましたね。
親子で見られた『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』
賀澤
『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』は全体ランキングで23位ですね。
ティーンとF3に人気があるので『スカイキャッスル』と似たような感じですね。F1とM1・M2あたりは低いですね。
いぬづか
これがティーンに見られてたのは驚きな部分があって。さっきの『Shrink(シュリンク)―精神科医ヨワイ―』もこのドラマもNHKドラマだったんですけど、NHKドラマってあまり若い層に見られている印象がなかったので、何きっかけでティーン層が見るようになったのかは気になるポイントです。
賀澤
中身的には面白い感じでしたか?
いぬづか
中身もそうですね。もともとBSプレミアムで放送して大きな反響があったのでNHK総合でも放送が決定した作品のようです。内容もかなり個人的には面白かったです。コメディチックな感じでもありつつ、シリアスな面もありつつでした。
賀澤
なるほど。グラフを見るとF1層がすごく低いよね。
いぬづか
F1層がかなり見てないので、ここら辺はもうちょっと個人的には深掘りしたい部分ですね。
望月
ティーンが高いのは、原作者の岸田奈美さんがよくバズるからかもじゃない?
賀澤
なるほど、SNS拡散で知ることはあるかもしれない。ネットで知って見ようかなみたいな。
いぬづか
SNSフックは確かにありそうですね。
さやまる
F3層に引っ張られてのティーンもありそうですよね。
いぬづか
そうですね。確かに親子・家族の話なので、母親と子どもで一緒に見るのもありそうですね。
登山趣味層に響いた『マウンテンドクター』
賀澤
『マウンテンドクター』は全体7位です。M3F3層が高く、山ノボラーがいそうな層かな。
さやまる
そうですね。ロケも長野でされていて、アルプスを題材にしてるのでM3が高いのはわかります。
賀澤
登山趣味の人が見てる?
さやまる
はい、F3が高いのもわかります。実は『マウンテンドクター』は一般的に言う視聴率だと6位に入ってるんですよ。
賀澤
こちらのランキングだと7位でちょっと下なんですね。
さやまる
『マウンテンドクター』は、フジテレビの『海のはじまり』の放送直後なので、同じチャンネルをつけて続けて見ている場合や、『海のはじまり』の目黒蓮さんと同じグループの向井康二さんが出てるのも影響しているのでは、と思います。
酒飲みにはたまらない『晩酌の流儀3の場合』
望月
個人的な興味で『晩酌の流儀3』はどうですか?
賀澤
ティーンが明らかに低いのはお酒飲めない層だからですね。F1もあまりお酒飲まず晩酌って感じでもないのか。 男子は晩酌に引っ張られ、女子も年齢層が上がると見ている感じですね。
賀澤
番組サマリーを見ると、3話時点残留率がとても高いですね。人気が伺えます。
望月
ファン層グラフで『量産型リコ』や『錦糸町パラダイス』に反応があるのはテレ東ドラマの相関ですね。
賀澤
テレ東ドラマ好き層がいるのかな?
望月
テレ東ドラマ好きな人はいますよ。うちがそうなんでね。
男性にドストライク 『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』
望月
『量産型リコ -もう1人のプラモ女子の人生組み立て記-』はM2が高いですね。プラモってことと主演が乃木坂46の与田さんなので男性陣のランキングが高いですね。
賀澤
F1層は最下位ですね。男子寄りですね。
賀澤
ファン層のグラフは、『晩酌の流儀3』とめっちゃ近いので、男子で酒飲みってところでしょうか。プラモでテレ東で。
望月
すいません、僕です(笑)。
賀澤
望月さんドンピシャのドラマですね(笑)。
さやまる
あと『晩酌の流儀3』のようなグルメドラマで、主演が栗山千明さんっていいな〜と思いました。
いぬづか
見ちゃいますもんね。
さやまる
今回は、自分が見たドラマを他の方々がどう見ていたのか、どういう傾向があるのか、という視聴データを見られてとても楽しかったです。秋ドラマもワクワクする作品がいくつもあるので、また視聴データを見るのを楽しみにしています。
賀澤
みなさん本日はありがとうございました。
最後に
レグザの実際の視聴データを元に、夏ドラマの面白かった作品や意外な人気作について、参加者も楽しみながら語りました。ドラマの視聴データの分析自体が目的ではなく、分析は面白いドラマや意外な発見を見つけるための補助線なので、この記事を通して「見てみようかな」と思うドラマが1つでも見つかれば幸いです。
夏アニメ作品についての対談はこちら