見出し画像

優しいおかき🍘

駅前ファミマのレジ。
「お次の方どうぞ」小柄なお爺ちゃん店員さんだった👴

…スローだ🐢ちょっと急いでいるんだけどな💦

でも何か違う。ただスローなわけではない。
体ごと斜めに曲げて、一見したら商品を放り投げているように見える。お客さんによってはクレームになりそうだ。
後ろがつかえ始め、焦っているのが伝わってきた😢

手を見て気がついた。
関節リウマチだった。

ちょっと複雑な気持ちになると同時に、懐かしい記憶が蘇った🧠

小学校中学年まで、珠算塾に通っていた🧮
夫婦で経営している珠算塾だった。お婆ちゃんの家🏠という言葉がピッタリのアットホームな場所だった。

主に奥様が子供達に指導していた。ご主人は普段は違う仕事をされていて、たまに顔を出すこともあった。
家では「女の先生」「男の先生」と呼んでいた。
男の先生はソフトな喋り方で、とても仲の良いご夫婦だった。
やり取りを見ていて、子供ながらに温かい気持ちになっていた🫶

女の先生はかなり指が変形していた。関節リウマチを患っていた。
「痛くないの?」と私はよく聞いていた。
「痛いけど、薬飲んだら大丈夫。グーチョキパーは出来ないけど、そろばんは弾けるんだよ」と言っていた。
本当に速いスピードで玉を弾いていて、魔法使いみたいだなと思った🧙

珠算塾というのは、子供にとっては決して面白い場所ではなかった⤵️
親が熱心だったのでそこそこ期待には応えたつもりだが、実はしんどい習い事TOP1だった💔

他の生徒は1時間だったが、親が仕事帰りに迎えに来る都合で私は2時間枠で取っていた。
友達とバイバイするのに自分だけあと1時間も残らないといけないという不満…😑

そんな気持ちを察してか?他の子がいなくなったタイミングを見計らって、女の先生は席を立ち、おかきを持ってきてくれるようになった🍘

曲がった指で、ポン!とおかきを3個ほど机に直置きしてくれた🫠

え?!机にそのまま置くの?!せめてティッシュの上じゃないの?!
最初はビックリした🫨
でも、子供ながらにそこは突っ込んではいけないような気がした。

女の先生が席を立つとおやつがもらえるのでは?
とワクワクするようになった。
そんなことを考えている時点で全然集中していない🙄

単に電話がかかってきたり(黒電話を見たのはこの珠算塾が最初で最後だった)、お手洗いで席を立っただけのパターンもあり、そんな時私はおそらくがっかりした顔をしていたのだろう⤵️
真面目ちゃんぶっても、大人はお見通しだ。
「今日はおかきないよ!ほれ!おやつはいいから!やーるーよ!」とポンと机を叩かれたこともある😗

私が高校生の時、女の先生はリウマチの合併症で亡くなってしまった。
ある日、庭で一人水撒きをしている男の先生を車越しから見かけた。
久しぶりに見た男の先生の背中がとても小さく見えた。

…そんな優しく切ない記憶が一瞬にして蘇った。

「お客さん、お客さん!お支払い方法は何にされますか?」

店員さんに催促され、ハッと我に返った⚡️

急いでいたはずなのに、結局自分がボーっとしてしまって電車を1本乗り過ごしてしまった🚃💨


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?