世界の七不思議系のドラフトゲームについて
始めに
みなさんこんにちは。レグルスです。
結構記事書いてるのにおかしいなぁと思ったらサークルの方であげてました。
ぜひそっちもよろしくお願いします。
今回は、複数枚のカードから1枚をピックするタイプのドラフトゲーム(ブースタードラフト)についてTweetを見かけて色々考えたので書いてみました。
世界の七不思議等のゲームについて知らなくてもいいよう割とかみ砕いて書いたので長くなってしまいました……。
世界の七不思議/7Wondersとか結構好きなんですよね
※BGA(ボードゲームアリーナ)でそれなりに遊んでいます。
※私の知っている限りですが複数枚のカードが回ってきて、1枚選んで残りを渡すゲームには
世界の七不思議
It’s a wonderful world
スシゴー
国産だとイアルへの道などがあります。
アグリコラの職業・小進歩カードやテラフォーミングマーズ/異世界ギルドマスターズでも同じようなことはします。しかし、ゲームの中心に据えられているわけではないので一旦考えません。2つの街の物語のように更に特殊な物も一旦無視します。
問題点
まず悪いところやよく指摘される問題点を挙げます。
➀インタラクション(他のプレイヤーとの相互関係)が薄い
②「お仕事」を押し付けられる
③手なりで打つしか無いと感じることがある
➀インタラクション(他のプレイヤーとの相互関係)が薄い
これに関しては一部同意できます。
左右を見る余裕がある → 「強いインタラクションを感じる」
見る余裕が無い→「環境に流される」
ためです。
例えば世界の七不思議では軍事(隣と比べる数値)と科学(セットコレクション)の奪い合いがあります。
奪い合いとはいっても、基本的にはLose-Loseとなっており、過剰に争わないのが理想です。
下家(しもちゃ、麻雀用語で次手番プレイヤーを指す)に回したく無いから取る、カット(キーカードの妨害)という明確なインタラクションがあるわけです。
ただし、このインタラクションが発生するには「カードプールをある程度把握していること」が必要となります。
世界の七不思議を使って具体例を挙げます。
3人プレイの場合、緑の科学のカードは全て1枚ずつです。もちろんこの「写字室」というカードも1枚しかありません。
これは4人プレイだと2枚になります。1世代が6手番のゲームにおいて、1枚の妨害と2枚の妨害では負担が違います。(カードの枚数が人数によって細かく決まっており、人数が変わればもはや違うゲームになります)
そうです。カードプールの把握によって「ここは他人に回さない方が良いかも?」と考える余地が増すのです。むしろ最初からそれを考えるのは無茶という物です。つまりドラフトゲームにおけるインタラクションはプレイヤーに対する要求が大きくなりかちです。
※覚えてから楽しさが増したのでオススメです。みんなもたくさん遊びましょう‼︎
②「お仕事」を押し付けられる。
「お仕事」とは、自分だけ損をしてトップを叩かなければいけない状況などを指して使われる用語です。
これはインタラクションが薄いという問題の裏返しです。
例えばスシゴーは点数計算が単純で、他人の需要もある程度読めます。
プリン(最下位のみ減点)やさしみ(セットコレクション3枚10点だが2枚以下は0点)などがあります。
他人の需要が分かりやすいということは、妨害もしやすいということになります。そこで自分はいらないけど他人に取らせないためのカット=お仕事が発生しうるのです。
プレイヤーに対する要求知識が少ない代わりにドラフトによるインタラクションが濃くなり、問題点になるかもしれません。
※短時間ゲームであり、時計回り、半時計回りが変わるゲームなので許容されているように見えます。
〈小話〉
➀インタラクション(他のプレイヤーとの相互関係)が薄い
②「お仕事」を押し付けられる。
この二つを上手に回避したなと感じるのがit’s a wonderful worldです。
1.収入による拡大再生産を中心としており、挽回が効きやすい。
2.同じカードが多く、、また同名カードを獲得することが出来る。
3.リサイクルによって資源を得ることがある程度必須になっている=いらないカードを取る前提のドラフトができる。
カットを強いられてもそれで自分だけが損する形になりにくいのです。
また、各資源の生産量を比べるというおまけのインタラクションがあり、「へー、そんなにその色伸びてるんだぁ」と他人を確認するタイミングがあります。とはいえ次に続く問題の特徴を最も受けています。
↓
③手なりで打つしか無いと感じることがある
これについて考えてみましょう。本題までが長かった……
手なりで打つということは、つまり計画が立てられていないということですね。自分が1枚目に取ったカードがどのような影響を与えるのかイメージしにくい。
世界の七不思議では文明によって「Wonder」に必要な資源と初期資源が違います。これはある程度の方針を作りますが、時代3のカードに必要な資源を把握したり、軍事の枚数をちゃんとカウントしない限り「手なり」になることは否めません。
スシゴーはカード種別が少ないのでこのカードが回ってくるといいなぁと祈りながらピックをします。(そして大体残りません)
他人の見ている手札によってそのカードの価値が変動するので、やはり「手なり」になることは否めません。
It’s a wonderful worldではカードピックが終わってから建築予定にするかリサイクルするかを選べます。
リサイクルという要素でカードを捨てることが前提となっており、あまり予測は出来ません。また、カード枚数が多く、ゲーム中見ないカードも多いです。また、他のカードで代替出来ることが多いので見てから考えるのが主流になります。
つまり、「手なり」のピックでも他の要素が面白いというゲームがデザインされているようです。
「じゃあその時に来たカードからなんとなく1枚選ぶゲームなの?」
これに関しては概ねYesと答えます。
そして、綿密に計画を立てることが出来ないからこそ面白いのです。
少々長くなってしまいましたが今度は良いところを挙げます。
良いところ
ドラフトゲームの良いところはざっくり2つ。
➀プレイ時間が短くなる
②予想と確認の試行回数が多い
➀プレイ時間が短くなる
プレイ時間に関して、ゲームの最小区分を考えれば概ね正しいと言えるでしょう。ターン制のゲームで4人が4手番を3ラウンド行うとゲーム全体の手番数は48です。
世界の七不思議でいえば、3人でも7人でも6手番を3ラウンドなのでゲーム全体の手番数は18です。1人の手番数が減っても総手番数が減っていますね。
1手番の重さがゲームによって圧倒的に違うので比較はしにくいですが、全く同じゲームであれば同時処理の方がプレイ時間は短くなります。
②予想と確認の試行回数が多い
これがドラフト部分を楽しいと感じる一番の理由だと思っています。
カードの価値が変動し、後でもっとこうしておけば良かったと考えられるのです。
「いや、この手が最良だった」とか、「自分が選んだ行動のおかげで勝てた」というような確認が何度もなされます。同時処理ならではのプレイ時間の短さがこの仕組みを支えています。
予想が当たることは気持ちがよく、外れると不快です。これらのゲームでは明確に「外れ」を認識することがあまりなく、あったとしてもゲームの終盤になります。
「もうどうしようもない感」を感じずに最後まで楽しめることが多いと考えています。
※ちなみに、勝利点(固定値)のカードしか無いドラフトを行うと最も大きい数字をとるだけのクソゲーになります。
「ドラフトゲームは複雑なのが多すぎる!」と思っても許してあげてください……
まとめ
ここまで長々と書いてきましたがまとめます。
悪いところ
➀インタラクション(他のプレイヤーとの相互関係)が薄い
②「お仕事」を押し付けられる。
③手なりで打つしか無いと感じることがある
良いところ
➀同時処理が可能でプレイ時間が短くなる
②予想と確認の試行回数が多い
長期的に綿密な計画を立てて遊びたい方は世界の七不思議くらいゆとりの少なめのゲームか、公開情報の多い他の重量級ゲームが向いているかもしれせん。
「勝ったら自分のおかげ。負けたら運のせい」というスタンスで柔軟に計画を変えながら遊びたい人や、他人を見ないで遊び、最後に他人と比べたい人にオススメですね。
※私は完全ソロプレイの紙ペンゲームを大勢でやるのが好きです。自作品もそんな感じ。
意識的な棲み分けがなされれば「このゲームって何が面白いんだっけ?」と感じる不幸な人が減ると思います。
また、厳しめのドラフトゲームほどカードプールを知り、周りを見て遊ぶととても楽しいです。
つまり、2回目からが本番なことが多いです。世界の七不思議とか、ぜひ何度か遊んで欲しいなぁと思います。
終わりに
ここまでお読み頂き本当にありがとうございます。コンペに出した作品がドラフトを中心に据えたゲームということもあり、2年近く色々と考えていたので熱くなってしまいました。
少しでも面白いこと考えてるなぁとか思って頂ければ嬉しいです。また、これを機に世界の七不思議とかスシゴーとかで、遊んでみようかなという人がいるとなお嬉しいです。
BGA(ボードゲームアリーナ)で無料で遊べますのでぜひ。
※追記
Power9Gamesさんの過去記事。
私よりもよっぽどちゃんとドラフトの分類が書かれています。
執筆:レグルス
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