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次世代QAに贈る、お薦め書籍7選!!

こんにちは!QAエンジニアの入間川です。
株式会社COMPASSという小中学生向けAI型教材「Qubena(キュビナ)」を開発・提供する会社でプロダクトの品質保証を担当しています。


はじめに

この年末年始みなさんはどの様に過ごされましたでしょうか?
私はこのまとまったお休みを利用して、Qubenaで5教科を勉強している小中学生の子供たちに負けじと今自分が学びたい5教科を設定して勉強をしてみることにしました!

5教科の勉強で使用した書籍7冊が、次世代プロダクトの品質保証を担うQAの皆様に大変お薦めしたい内容でしたのでご紹介したいと思います!ご興味があればぜひ手に取ってみて下さい!

設定した5教科

今回は下記のような5教科を設定してみました!
日々のQA活動の中でスキルアップが必要だと感じたものや、今後必要になりそうなもの、プロダクトや開発プロセスの品質をさらに高い視座、広いスコープで見るために知りたいと思ったことなどを選定してみました。

教科1:品質/テスト技術
教科2:数学
教科3:データ集計・分析/GAS(GoogleAppsScript)
教科4:リーダーシップ
教科5:思考法

教科1:品質・テスト技術

1. AIソフトウェアのテスト――答のない答え合わせ [4つの手法] 

QAはプロダクトの変化に追随して「どう品質を保証するか?」を常に考えていく必要があります。COMPASSではAI型教材を開発していますが、AIプロダクトは従来のテスト手法の様に入力→出力があらかじめ仕様として決まっている機能に対してのテストが必ずしもできる訳ではありません。そのようなプロダクトのテストを行うためには、AI技術の理解や、新たなテスト手法を知る必要がありました。

この本では、メタモルフィックテスティング、ニューロンカバレッジテスティング、ロバスト性の担保、学習モデルの網羅検証といったAIソフトウェアの品質担保の為に適用できるテスト手法について、基礎理論や簡単なPythonプログラムの実行で実際に出力結果をテストしながらの学習が進められます。難しい内容が続きますが、馴染みの深い従来のテスト手法と比較しながらの各章の導入もあるので、その部分だけでも面白いです。

読み進める中で、基礎理論の理解には数学の学習が必要と感じましたので、 微分、ベクトルについて高校数学に戻って学習を始めています!

書籍情報
佐藤 直人 (著), 小川 秀人 (著), 來間 啓伸 (著), 明神 智之 (著)『AIソフトウェアのテスト――答のない答え合わせ [4つの手法]』(リックテレコム、2021)

2. 品質重視のアジャイル開発: 成功率を高めるプラクティス・Doneの定義・開発チーム編成

アジャイル開発の基礎から、アジャイル開発に最適な品質保証のあり方・手法について取り上げられています。一定の品質のプロダクトを短期間で繰り返しリリースするには、従来のウォーターフォールモデルのように後から不具合を出して修正するのではなく初めから品質を作り込む、という姿勢で臨む必要があります。

弊社でも週1でのリリースを継続していますが、アジャイル開発の中でチーム全体で目指す品質保証の姿のイメージを持つ際に大変参考になりました。品質バックログの完了を示すdone定義、開発時に自動計測するメトリクス、品質ダッシュボードへの集約、QAの振る舞い方などこの本から得たエッセンスを現場でも適用していけるように工夫していきたいと思います!

書籍情報
誉田 直美 (著)『品質重視のアジャイル開発: 成功率を高めるプラクティス・Doneの定義・開発チーム編成』(日科技連出版社、2020)

教科2:数学

3. チャート式 基礎と演習 数学Ⅲ

教科1でご紹介したAIソフトウェアのテストを学ぶにあたり、ディープラーニングの仕組みとそのテスト手法を理解する上で数学の理解が必須でした。
参考書を探してみましたが、チャート式シリーズの中でも基礎から学習ができる白チャートを使用することにしました。自分が高校の時は黄色チャートの数Ⅲ・Cを使用して勉強していましたが、今は数Cが無くなっているようです。大学で画像処理を学ぶ際には数Cで学んだ行列計算が役立ちました。

この休みでは特に微分法について学ぶ必要があったため、微分法の章からちょっとずつ解き始めています。随分と久しぶりに数学を勉強し直していますが、積分や極限など懐かしい分野も出てきて楽しくなってきたので、数学は今後も継続して勉強していきたいと思います!

書籍情報
チャート研究所 (編さん)『チャート式 基礎と演習 数学Ⅲ』(数研出版、2018)

教科3:データ集計・分析/GAS(GoogleAppsScript)

弊社QAチームでは不具合分析を行っています。
不具合分析については下記note記事でご紹介しています!

分析を行っていくにあたり、集計・分析そのものの手法や、Excel、スプレッドシートのデータの扱い方、分析結果の適切な表現の仕方等、改めて学ぶ必要があると感じました。

4. Excelピボットテーブル データ集計・分析の「引き出し」が増える本

毎週のリリースでの新規起票や過去蓄積分で不具合データ自体はたくさん存在していますが、分析を目的としたピボットテーブルの効果的な利用法やドリルダウン、ダイス分析、スライス分析といった分析手法を知らずにデータを扱っていたため、大変参考になる本を見つけることができました。
実データに対しての具体的な操作方法や分析の考え方を身に着けたい場合にお薦めです!
引き続き手を動かしながら引き出しを増やしていきたいと思います!

書籍情報
木村 幸子 (著)『Excelピボットテーブル データ集計・分析の「引き出し」が増える本』(翔泳社、2018)

5. GoogleAppsScript実践プログラミング

弊社ではプロダクト開発ユニット全体でAsanaというタスク管理ツールを使用しています。全チーム横断でAsanaで不具合起票を実施しているため専用のバグ管理・分析ツールなどは使用せず、Googleスプレッドシートにプロジェクト情報を週に1度社内ツールで自動出力してから集計、分析を行っています。
この社内ツールはGoogleAppsScriptを使用しているため、不具合集計・分析の自動化を進める為にはこの分野のスキルアップができるとより良いと感じました。この本でまずは基本的な使い方を知りましたが、そのうちピボットテーブルを操作して自動集計などもできたら良いなぁと思っています。こちらも引き続き手を動かしながら引き出しを増やしていきたいと思います!

教科1でご紹介したアジャイル開発の品質保証を行なっていく上でも、リアルタイムでの不具合情報収集、分析結果の品質ダッシュボードへの連携は必要と考えています。今現在は手動で集計している箇所が多いので、集計・分析にかかる工数を限りなく削減して効率化を図っていきたいです!

書籍情報
今西 航平 (著)『GoogleAppsScript実践プログラミング』(秀和システム、2020)

教科4:リーダーシップ

6. EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ

Apple,Amazon,Googleといった海外の一流テック企業の優れたプロダクトリーダーシップを構成する重要な習慣や行動が紹介されています。
特にプロダクト・エンジニアリング・デザインのリーダーやマネージャーの方が対象読者となっています。
コーチング、人事、プロダクト戦略・ビジョン、チームトポロジー、ビジネスコラボレーション etc…とQAが普段見ているスコープからはかなり広いと感じるトピックが取り上げられていますが、プロダクトやプロセスが抱える品質の課題を突き詰めていくと最終的にはこの本で取り上げられている範囲に行き着くかと思います。
出荷を見送る判断はリリース前の不具合の有無だけに限った話ではありません。「安定した出荷を妨げる障害を取り除き、解決していく」という広い意味での品質活動に今後は目を向けていくことも次世代QAには必要ではないかと考えました。
また、プロダクトやドキュメントなどの「アウトプット」そのものから「アウトカム」へ目線を移動させる、このプロダクトによって顧客への価値提供が本当にできているか?という所までまだまだ自身やチームとして考慮が及んでいないという気づきもありました。

戦略的コンテキスト、ビジネス、アーキテクチャとの整合性を考慮しながらチームをEMPOWERしていくリーダーシップのあり方を知り、視野の広がりや面白さを感じました。
QAの皆さんはもちろん、プロダクトに関わる全ての職種の方々へぜひ一読をお薦めしたい内容となっています!

書籍情報
マーティ・ケーガン (著), クリス・ジョーンズ (著), 及川 卓也 (その他)『EMPOWERED 普通のチームが並外れた製品を生み出すプロダクトリーダーシップ』(日本能率協会マネジメントセンター、2021)

教科5:思考法

7. イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」

取り組むべきイシューの見極め、ストーリーラインの組み立て、絵コンテづくり、分析、アウトプットとシャープに問題解決を行う際の具体的な考え方が紹介されています。

QA活動の中では一番近いところでは不具合分析で実践をしていけそうです。不具合分析では、品質課題の抽出を行い、開発・テストチームへフィードバックをしています。プロダクト開発を行っていればもちろん課題は出てくるため、今までは出た課題全てに対して施策を検討し対応しようとしていたのですが、限られたリソースの中でプロダクト品質を最大限向上させるには「本当に着手しなければいけない問題は何か」を見極めることがまずは重要であると学びました。

教科3ではデータ分析をExcelやスプレッドシートで実現する方法について勉強しましたが、この本で紹介されているようなシャープな視点で課題の見極め、ストーリー・絵コンテを前提に、実データを扱っていけるとより良いと思いました。今現在の不具合分析の流れを今後再検討していく際にはこの本から得たエッセンスを取り入れて行きたいと思います。また、チームを横断したプロセス改善に取り組む際にも、この考え方を役立てて行けるように訓練していきたいと思います。

書籍情報
安宅和人 (著)『イシューからはじめよ──知的生産の「シンプルな本質」』(英治出版、2010)

おわりに

冬休みのオリジナル5教科学習で使用した7冊をご紹介しました!
AIソフトウェアのテスト、アジャイル開発、不具合分析、リーダーシップ、問題解決の思考法など、次世代QAとしてキャッチアップする必要がありそうなテーマをうまくピックアップできたのでは。。と思っています!(テスト自動化についてはまた別記事でご紹介したいと思います!)

教科1〜3に関しては、年明けからの実際のQAチーム活動の中ですぐに実践を繰り返して行けそうと感じました。実務に繋がる良いインプットができたと感じています。
教科4,5に関しては、より広い視野でプロダクト・チームを捉えることや、チームを横断した品質課題の解決法を考えることといった、より難易度の高い業務を推進できるQAへ成長していくためのエッセンスを得ることができました。このカテゴリのインプットは中長期的に継続していければと思います。

休みに入る前にふと思い立ったこの勉強企画でしたが、想像以上に楽しんで 取り組むことができました。また定期的にオリジナル勉強企画を設定してnote記事でご紹介していきたいです。
今回取り上げた教科1〜5に関連するおすすめ書籍があったら教えて頂けると嬉しいです!

最後に、COMPASSでは様々な職種で採用活動を積極的に行っています!
ご興味のある方はぜひご連絡ください!

COMPASSの公式noteです。こちらもぜひご覧ください!

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