7.全日本脳内自分反省会選手権大会優勝
優勝してしまった。夢の話ではない。今回は脳内の話だ。
ぼくは以前、「悪い癖:どうしてずっと忙しいのか」という記事を書いた。参考の為にURLを載せておこう。
なぜかTo do リストが増え、そのうえ気持ちもなんだか忙しない、そんな状況を分析した記事だ。手前味噌で申し訳ないが、なかなかおもしろいことを書いている。特に重要だと思われる部分を抜粋しよう。
無意識の思考場所。それが、ぼくにとって、全日本脳内自分反省会選手権大会になってしまった。挙句、優勝してしまった。もう何も考えたくない。意味もなくSNSを巡回し、音楽あるいは動画の音声に耳を傾けながら、本を開き文字の形を目で追い掛けている。もちろん本の内容はまったくと言っていいほど頭に入ってこない。
あるいは違うことを無理やり考える。一連の記事もそうだ。忘れる為に書いている節がある。しかも強迫的に、大学からの帰宅途中、電車の中、それなりの音量で音楽を聞きながら。そうでなければ似たようなテーマで毎日書くことはなかなかできないだろう。
「ケンカもできない」で最近新作に手を付けられていないということを書いた。「書く」というのは、ものすごく内向きな作業だと思うーー脳内自分反省会で優勝するくらいにはーー。今年に入って、書くことができなくなったが、文章量は違えど、ここ一週間くらいで急に書けるようになった。この理由はなんだろう。
おそらく周期的なものだと思う。この半年間なぜか気分が高揚していたのかもしれない。だから書けなかった。そして最近何となく気分が沈み出して、書けるようになったーーなんと最悪な理由だろうかーー。最近はコミュニケーションのことばかり書いているが、もともとこの一連の記事の目的は「ぼくにとってのブレーメンを探すこと」であった。
これまで「幸せな気持ちになったら作品が書けない」という強迫観念が確かにあった。しかし、最近、この「呪い」を解いて、つまり「幸せになったうえで」、作品を書けるようになったらいいなと思うようになった。ぼくにとってのブレーメンは「幸せ」の象徴だった。だからブレーメンを目指さなければいけないのだ。だから、一連の記事はコミュニケーションの話題へと移っていったのだ。
今は書かずにはいられないのだ。これまで何度もこういうことがあった。突然、積んでいるエンジンの馬力が変わり、新作をものすごい速さで書き下ろしたり、毎日何かしらの記事を投稿したりできるようになる。ぼくはこれを「発作」と呼んでいる。しかし「発作」が起こっている間の作品や記事ーーこれまで書いてきたもののほとんどがそうなのだがーーは、内側に閉じこもりながらもーー書くことに没頭しながらもーー、すべて外側、つまり他者とのコミュニケーションを志向していた。まさに「引力」と「斥力」である。
ぼくが今、フロイトの「メランコリー」を研究している理由もこの点に尽きる。フロイトにおける「メランコリー」は、大切していた人や物の喪失を経験することで、それに向けていた心理的なエネルギーが自我に回収されることで起こる。そのとき外側を志向している「生の欲動」は内側に転換することで「死の欲動」へと変化する。その結果、自分で自分を攻撃することになる。ゼロイチではなく、度合いの問題だが、やはり脳内自分反省会はその最も分かりやすい例かもしれない。
このような特徴から、メランコリーは「自己愛的な病」と言われる。だから独りでは「人は友情を育むことも、恋愛も、そしてケンカすらも満足にできない」(「ケンカもできない」)のだ。
今は、このメランコリーの呪い、つまり自分を内側へと引っ張っていく「引力」のようなものを振り払う為に研究している。だから、ぼくにとって「研究と創作活動は地続き」(「これからやってみたいこと」)なのだ。
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