母との2回目の対面は相変わらず無意識だった
こうして母との久しぶりの対面は
無意識のうちに終わった
祖父はその2人の正体について何も語らず
私も問うことはなかった
不定期に届く荷物は
相変わらず
「親戚のおばさん」
からのものであり
私は祖父と2人の
静かでほとんど会話のない生活を
粛々と続けていた
次に母に会ったのは
中学校の修学旅行の時だった
京都奈良に行ったのだが
初日の夕食後
夜の男子の部屋に行く予定に
友達と盛り上がっていた時
担任の男の先生が私を呼びに来た
もうバレたのか
まだ何もしてないのに
と
驚きつつ先生の後をついていくと
旅館の玄関に着物姿の上品な女性が立っていた
その人が前に家に来た女性とは
全く気がつかず
立ち尽くす私に
担任の先生が妙に優しい声で
お前も大変だったな
明日の自由行動は
一緒にいていいからな
と言った
何の事か全くわからずにいたところ
その女性は深々と先生に頭を下げていた
その後
何を話したのか
さっぱり覚えていない
自由行動の行動予定を聞かれ
どこでも全部案内する
と言われた事と
何だかとても良い匂いがしていたのを覚えている
翌日自由行動では
4人一つのグループだった
朝から昨日の女性が旅館に来て
全員タクシーに乗せられた
あちこち連れて行ってもらい
解説もしてくれて
ランチもスイーツもご馳走になり
同じグループの仲間からは
めちゃくちゃ感謝されたが
私自身なぜその人が
突然現れて
そんなに良くしてくれるのか
さっぱり思い至らず
戸惑うばかりだった
帰る頃に
ひょっとしてあの人が…
と
思ったが
だったらそうだと言わないのは不自然だろう
と思い直し
違うんだろうな
と
すぐに打ち消していた
今ならすぐにそうとわかるが
その当時の私ときたら
世間知らずの
相当察しの悪い子供だったのだ
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