見出し画像

【マンガ感想】『あせとせっけん』には相手に求められる事の充足感が溢れていた。


【はじめに】

 記事に目を留めて頂きありがとうございます。今回は『週刊Dモーニング』にて2018年6月から連載を開始し、『モーニング』に移籍して2021年1月まで連載された『あせとせっけん』を全97話を読み終えた感想になります。

マンガやアニメに感想を書くに当たっての私の考え方などをこちらにまとめていますので一読頂けると嬉しいです。

【こんなおはなし】

 文章書くのが下手くそなので、あらすじはWikipediaから引用しております。

女性から高い人気をもつ化粧品・バス用品メーカー「リリアドロップ」
同社の経理部に勤めるOL・八重島麻子は重度の汗っかきであることがコンプレックスで、制汗や消臭に気を使う日々を送っていた。

そんな麻子はある日、同社の商品開発部に勤めるプランナー・名取香太郎から「君のにおいを嗅ぐとインスピレーションが湧く」と言われ、新商品開発のためにとにおいを嗅がれることとなる。

当初は香太郎の行動に困惑してばかりの麻子だったが、自身を必要としてくれる様子から次第に惹かれていき、香太郎もまたにおいを通して麻子に惹かれ、2人は交際を始める。

Wikipediaより引用

 いくつかの漫画掲載サイトで読めますので参考に1つあげておきますね。(LINEマンガはこれを書いている今日現在で26話まで無料です。)

【感想】

◆とても素敵な純愛作品です。

 まず、ここだけは真面目にはっきりと主張しておきたい部分なんですが、この漫画はとても素敵な純愛作品です。

 タイトル、あらすじ、KCのカバーイラストから、どうしてもフェチズムに特化した感じの作品と想像されるかもしれません。

 また、ドラマ化もされたものの、出来上がったドラマは原作でデリケートに扱っている部分を誇張した感じになっていて、私は1話の前半で投げ出してしまいました。(ドラマは冒頭しか見ていないので評価は出来ませんが、私は生理的にダメでした。)

 ですが、この漫画は自分の体質にコンプレックスを持つ女性が、それを受け入れてくれる男性と出会ったことで、過去に受けた心の傷と向き合い、恋愛経験を経て女性として魅力的になっていく物語です

◆コンプレックスごと求められる。

 香太郎は愛情表現の他、仕事に直結する形でも麻子の香りを求めます。

 それ故に、読者のレビューでは漫画じゃなかったら犯罪者とか、普通にセクハラとか言われちゃってます。まぁ、現実だったらしゃーなしとは思いますけどw

 でもさ、結局のところ、自分自身が嫌いなところも含めて自分を求めてくれた香太郎に対して、麻子がどれだけ嬉しいかってところが大事だと思うわけです。

 麻子は幼い頃から汗っかきな体質にコンプレックスを抱えていて、それが原因で辛い虐めにあっていた訳で、そのコンプレッスの部分も含めて自分を求めてくれた事が泣くほど嬉しかったはず。

 突然ですけど、私は吃音(言葉が上手に出ず、どもってしまうやつです。)もちで、小さい頃、ニワトリ(ココココって鳴くから)とか言われて馬鹿にされていた時代があったんですよね。(色々頑張った結果、今はあまり目立たなくなりましたが)

 社会人になった時、上司に吃音と関連付けて頭の回転が早いとか、手先が器用だとか褒めて貰ったことがありまして、なんだか吃音も含めて認めて貰った感じがして凄く嬉しかった思い出があります。だから、麻子の気持ちは凄くわかる。

 自分を必要としてくれる人と出会えるってのはものすごく嬉しい。そんな麻子の感情が作品の節々で表現されていて心が暖かくなります。

◆欲しいものが欲しいと言える。

 麻子はコンプレックスから自己肯定感が低く引っ込み思案で、欲しいものがあっても素直に欲しいと言わないし言えない。

 作中で麻子の弟が勤務するレストランで、弟からパンのおかわりを進められるが、香太郎のパンを貰うと伝える。

 この言葉を受けて、弟が香太郎に姉の思い出を香太郎に語る。

これを小さい事だと思わないで欲しい、すごく重大な事だと香太郎に伝える。

麻子の心の変化や、香太郎へどれだけ心を許しているかが物凄く伝わってきます。

かなり前半のシーンだけど、すごく心に残っているシーンです。

◆不器用で重いがどこかで見たことがある恋愛シーン

 香太郎も麻子も20代後半の社会人ですが、どちらも恋愛功者には描かれていません。

 今まで恋愛経験の無い麻子は当然として、香太郎もイケメンオーラを出しつつ、色々おぼえたての高校生の様な感じを出したりするのが初々しい。

 時に、相手の思いを過剰に受け取ってしまい、自分で自分を束縛する様な対応をしてしまったり、些細な出来事に嫉妬してしまったりと、少し重いと感じる恋愛ムーブを出したりします。

 でも、思い出すんですよね。自分にもそんな時代もあったなーとか、もはや子持ちの既婚者で忘れかけてますけどw。

そんな2人がお互いの本音を打ち明けながら距離を縮めていく姿に共感しました。

◆家族になるということ

 作中、社会人である2人の恋愛には、結婚という共通のゴールが見えてきます。

 そこには親と対面するといった最初の壁があり、とある理由から、香太郎は自分の親を麻子に合わせる事に不安を感じています。

 比較的前半のくだりですが、2人の関係に大きな影響を与えるシーンだったので、詳細はネタバレになるので書きません。

 現実にもあるよな。。。とか考えさせられるシーンでした。(感動は保証します)

【さいごに】

 作品自体は新作という訳でも無く、読んだのは1年くらい前なんですけど、なんだか急に読み返したくなったんですよね。

 ラブコメ好きな私の中でも、特に好きな作品の内のひとつです。

 今回は随分と真面目に書いてしまい、ほかの感想文とも色が違う感じでかなりキモイですが、作品のジャンルや作品への関わり方で熱量が違ってくるってことなんでしょうね。

 好きが強い作品ほど感想って中々書けなくて、かなりカロリー消費しましたw

お付き合いありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集