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【マンガ感想】『ねずみの初恋』彼女が許されないヒロインでも許せる誰かが許してあげて欲しい。
【はじめに】
記事に目を留めて頂きありがとうございます。今回は2023年11月から『週間ヤングマガジン』に連載中の『ねずみの初恋』を現在公開されている55話まで読み終えた感想になります。
マンガやアニメに感想を書くに当たっての私の考え方などをこちらにまとめていますので一読頂けると嬉しいです。
【こんなおはなし】
文章書くのが下手くそなので、あらすじは漫画掲載サイトから引用しております。
ヤクザに殺し屋として育てられ、人の愛を知らずに育った少女、ねずみ。
何も知らない普通の青年、碧(あお)。
二人は恋に落ち、共に暮らし始めるが、魔の手はすぐそこまで迫っていた‥‥。
あまりに残酷で、あまりに切ない、初恋の物語。
既刊4巻のほか、各種漫画掲載サイトで数話無料で読めます。あらすじに興味があれば最初の数話だけでもご覧になってください。
【感想】
◆殺しが生業(だった)の主人公を許容出来るのか?
社会的にどうとか、現実的にどうなのとか、そこの話では無くて、漫画ってジャンルとしてどう見えるかな?。。。って話になります。
そもそも、私の様な一般人があーだこーだと倫理をかざせる話ではないので、『漫画の世界だからこんな感じかな』くらいの感覚で聞いてください。
例えば、ストーリー的に、昔は殺し屋やってましたけど、今は殺さずですみたいな人物が主人公の作品
『サカモト デイズ』とか『ザ・ファブル』とか『るろうに剣心』とか
あるいは、時代背景的にそれも止む無しする作品
『キングダム』とか『地獄楽』とか
あるいは、現在進行形でも『法で裁けない悪を』みたいな大義名分を背景にしている作品
『リコリス・リコイル』とか『シティーハンター』とか
考え方だったり、作品の色でぼかされたり、何だかんだと知らない内に許容してしまってる作品って結構あるじゃないかと思ったりします。
また、そういった作品なら許容できる方という方はそれなりに多いのかとも思います。
ただ、この物語はその境界線から大きくはみ出しています。
それを踏まえて、以降は作品の感想を書いていきますので、心に何かしらの傷があり苦しいと思った方は、ここで止めて戻られてください。
◆ねずみと物語の始まり
彼女は殺し屋を生業としています。
幼い頃からヤクザの道具となるべく、人としての感情を与えられない生活を強いられた結果、まるで羽虫を駆除するかの様に無感情で人を手にかけます。
私の感覚的には『空のメモリーカードに殺人術だけ書き込まれた少女』みたいなイメージですね。
作中、『男3人』と『母親と幼子』をターゲットとして天秤にかけた時、男3人を手にかける方が難しいと口にするシーンがあるんですが
彼女がどの様に育てられたかを知る上で胸を締め付けられる様なシーンでした。
この作品は、そんな彼女が主人公の碧に一目惚れされ、愛を注がれることで色々な感情が芽生えていく物語(なんじゃないかなぁって思ってるんですけど、なんかすっきりしない伏線が作中のあちこちにあります。)です。
◆碧という男
ねずみに一目ぼれして、一世一代の告白をした結果、何とかそれが叶って同棲までしちゃう行動力をもった青年。単純な印象としては
心優しい好青年だけど欲望に真っすぐで発想がぶっ飛んでいる。
こんな感じです。
なんせ、ねずみとの生活を守る為に自ら殺し屋として生きていく事を決め、最終的にはねずみを縛っているヤクザ達を殺す野望を持っている。
何か心が壊れている様な感じがしないでもない、優しいんだけど危うい人物として、私の目から見ると怖い主人公です。
◆この漫画で興味を感じている部分
2人が殺し屋である事を除けば、2人の恋愛模様は恋愛初心者そのものです。
ねずみに至っては、恋愛知識はもちろん、カラオケなどの娯楽施設にも知識はなく、初々しくそれを体験する姿は可愛くすらある。
作中でお互いを求め合う2人の姿は微笑ましく、時に激しく描かれている様に見える。。。と、同時にぼんやりとした疑念も抱いてしまう。
ねずみにはもちろん、実は碧にもつらい過去があり、そのあたりが作中でも伏線として描かれているので、現状、恋愛感情として描かれているものが、一般的なラブストーリーで描かれるそれなのか今一つぼやけている様に感じます。
もちろん勘繰り過ぎなのかもしれませんけどね。
殺し屋である2人が普通の恋人同士として添い遂げられるのか
明確な伏線と、ぼんやりとした伏線が今後どのように交わり、作品がどの様な結果にたどり着くのか?
そのあたりを思い描きながらこの漫画を読み続けています。
【さいごに】
ラブコメ的な作品が好きな私ですが、何だかんだと雑食なので、サスペンスやミステリー、アンダーグラウンドな作品も鑑賞します。
とはいえ人が亡くなるシーンは本当につらくて、そんなシーンに出くわすと、心が回復するまで時間を要するタイプです。
この作品にハッピーエンドってあるのかな?。とか考えつつ、最後を見届けないまま放置することが出来ないくらいまでは読んじゃったので、このまま読み続けようと思います。
ただ、少なくともねずみは快楽殺人者ではなく、それを抵抗なく実行するための道具として無感情に育てられた存在なんですよね。
願わくば、凄惨な伏線回収がありませんように。