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【怪談】誰も来ないキャンプ場〜恐怖のソロキャンプ



明日は待ちに待った休日、私はソロキャンプに行くのが楽しみで仕方なかった。

私の場合、明日休日の場合は前乗りで夜から現地入りするのが常だった。

あれは12月の半ば、雪もちらつき凄く寒く、キャンプ場には私の他には誰もいませんでした。場所はあえて言いません。

その場所は結構穴場で、あまり人が来ないのです。なぜかと言えば、その昔この辺りである事件が起きたからだった。

そんな事は気にしない私は程よい場所にテントを設営、ペグダウン。寒いのでストーブを焚いて暖をとりながら、ガスコンロで調理したおつまみで熱燗をちびりちびり一杯やっていた。う〜ん至福の時間!!

しばしの時が経ち、時計は午前0時を過ぎた真夜中、辺りは真っ暗で静かにゆっくり時間は流れていた。

私はランタンの灯りで本を読んでいた。
その時でした、テントの外から、ザッザッザッとまるで人がこっちへ近づいて来るような足音がしました。

んっ?他のキャンパーでも来たのかな、と最初は思い、特に気にする事なくまた本を読み続けました。

ところが、またザッザッザッと足音が聞こえるのです。

またかと思い、そのまま放置。自分の世界に没頭しました。

その後は足音はしなくなり、そろそろ眠くなってきたので私は寝る事にしました。

そして私は寝袋に包まり、眠りにつく頃でした。

すると、またテントの外からザッザッザッと足音が聞こえてきたのです。

またか、と思いそのまま目をつぶって眠りに続けると、今度は複数人の足音が聞こえてきたのです。

ザッザザザ……、なんだっ!と思いながら、早く去ってくれと思った。

しかし、だんだんとその複数の足音は近づいてきて、しかもその足音は四方八方から、まるで私のテントを取り囲むように近づいて来るのです。

そしてそれらの音は私のテントの前まで来たのです。

もう取り囲まれた。

もう逃げられない、どうしよう、ですが外を見ようとも思いませんでした。怖いというより眠かったし、いい感じに酔っていたので見ようとも思わない。

そして足音はテント前で止まった、完全に取り囲まれてしまった状況。

ランタンの灯りは消していたので、辺りは真っ暗で何も見えない。

次の瞬間、なんとテントの入口のジッパーというかチャックというか、下ろす音がしたのです。

ええ、マジかよ!


つまりテントの中を覗かれている状況。私はその時、反対側を向いて寝ていたので、開けた相手の顔は見えなかったのですが、早く去ってくれと思うしかありませんでした。


そして、入口ジッパーをまた上げられ、


足音が遠のいて行く音……私は、

「ああ、やっと行ったか…」

と安堵し、ジッパーの方を振り返り見ると、、、、、



不気味にニヤッ、と笑う男の顔がジッパーの隙間からこちらを覗き私を見ていたのだ!!………。


本来なら絶叫し、恐怖に慄くのだが、肝心な時に酔っぱらい状態の俺(^_^;)…だった為、その後の事など覚えておらず記憶にない…。
おいっ!
(特に何もされなかった)




気がつくと朝だった…。


辺りには何もなく、誰もいなく、いつものキャンプ場に戻っていた。


一体、あの複数人の足音と不気味な男は何が目的で近づき、そして覗き、私を見ていたのだろうか、、、今となっては知る由もない……。


しかしその後、今度こそあの覗いた奴の正体を突き止めてやろうと思ったのだが、それから何度かあのキャンプ場でソロキャンプを行ったが、あの足音を聞くことも、覗かれる事はなかった、あの時の一回だけだったのだ…。もしかしたら幽霊!それともただの変質者の覗き魔だったかは結局分からなかった…。

というよりもそんな恐怖体験をしたのもにもかかわらず、その後何度も行った俺が一番恐ろしいのだが…。

誰も来ないのには理由があって、もしかしたら他のキャンパーも同じような目に遭っていたのかもしれない。それともただ単に不人気だから誰も来ないキャンプ場なのかは不明である。




        終



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