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【ラーメン物語】#9『ラーメンとカツ丼』




男「お世話になりました」

刑務官「うむ、しっかり頑張るんだぞ、もうここへは戻って来るなよ…」

「はい、時間は掛かるかもしれませんが、頑張りますっ!」

「よし!元気でな…」

「はい、本当にお世話になりました…」


深々と頭を下げる男は刑務官との別れを惜しんだ。

刑期を終えた男は久しぶりのシャバの空気を味わった。


男は罪を償い務めを全うしたのだ。


男は刑務所の門から出ると両親が迎えに来ていた

「お帰り、良かったな予定より早く出て来られて」

「うん、迷惑をかけてしまって本当に申し訳ない」

「まあ、人間誰しも消したい過去が一つや二つあるってもんだ」

「体調はどうなの?」

「問題ない、かえって健康になった」

「腹へってるだろ、なんか美味いもん食べに行こう」

俺と両親の3人は近くの食堂へと向かった


久しぶりの外でのメシだった、僕らが言うシャバめしってやつだ

映画のように頼んだのはラーメンとカツ丼、そして瓶ビールだ。

映画では美味そうにビールを飲んでいたけど
、実際は刑務所生活で3年間せっかく禁酒できていたのでアルコールを飲みたいとは思わなかった。

むしろこのまま酒を止めたいくらいだった。

だが親父は出所祝いでビールでもてなしてくれてるのだから、一杯くらい飲まなくては…。

「皆で乾杯しよう」

3人は軽く乾杯、という素振りを見せ乾杯した


「あ〜旨いな〜今日は特別に旨いな」親父は言うけれど、内心はアルコールが体に入る感覚は違和感があった。

「うん、旨い」

お世辞で言ってしまった、お袋は見抜いていた。

「無理して飲まなくていいのよ」

「大丈夫だよ」

「はい、お待ちどう様…」

着丼だ、ラーメンとカツ丼だ。

まさに映画のワンシーンのようだ。
名俳優のように美味そうに食べたいものだったが、刑務所の極道めしになれてしまうと、シャバめしは味が濃くて塩っぱく感じた。

こんなに食べれるだろうか……心配をよそに私はラーメンをすすりながらカツ丼を食べ進めた。

ラーメンとカツ丼の相性は正直悪かった、同じ醤油同士の味付けなので、醤油醤油で味が喧嘩してしまい、2つは同じ味になってしまっている、味噌ラーメンにすれば良かった。少し後悔した。まあシャバめしとしてはそれで良いのかもしれない、もう2度と過ちを犯すな、後悔するなと、このラーメンとカツ丼が教えてくれているようだった。

映画のようには食べる事は出来かったが、

親父が用意してくれた席で食べた、このラーメンとカツ丼は私にとって忘れられない味になった。



そして、私の人生は新たにスタートを切ったのだった。



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