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Summer Vacation…あの夏と海…




付き合って間もない2人の最初の夏がやったきた。

夏美と涼太は海へ行こうとしていた。

なつみ「準備はOK!」
涼太「忘れものは大丈夫?」

「うん、たぶん大丈夫」
「じゃ行こうか」
車で海へ向かう二人。時間は昼を過ぎていた。

車内には夏歌が流れている。夏メロを聴きながらテンションも上がり海へ向かうふたり。

「涼ちゃん」
「んっ何?」

「私楽しい」

「うん」
「この先のドライブインへ寄って行こう」
「わ〜い」喜ぶ夏美。

涼太はドライブインへ車を駐車させた。
「8月でシーズンだから混むよな〜」

車を駐車して外へ出るふたり

「うわ〜やっぱり外は暑いな〜」
「車クーラー効いてるから余計に暑いよね〜」

麦わら帽子を被り、涼太と腕組みをする夏美。
「涼ちゃん、ソフトクリーム食べよう」
「おっ、いいね〜」
「涼ちゃん何がいい?」
「俺バニラ」
「じゃ私チョコバニラ」
「すみませ〜ん、バニラとチョコバニラ下さ〜い」
ふたりはベンチに座りソフトクリームを頬張る。
「おいしい?」
「うん」
「涼ちゃんの少しちょうだい」 
「うんいいよ、ほら」
涼太はなつみの唇にソフトを寄せる
「おいしい!」
「なつみのも食べる?」
「うん、あ〜ん」
なつみは涼太の口元に寄せると食べようとした瞬間、ベチャっと口鼻にくっつけた。涼太の口元はチョコバニラでべっちょりとアイスがついた。

「やったな〜」
「ごめんなさ〜い」
なつみはハンカチで涼太の口元のアイスを拭き取った。

「美味しかったね〜そろそろ行こうか」

2人は再び車に乗り込んだ。
車を発進させる涼太

「ねえねえ、海着いたらスイカ割りやろう」

「目隠ししてさ、右右、左左、もうちょい前とか横とかさ、そこだ!とか言って外したり」

「そういうの涼ちゃんと一緒にやりたいんだ〜♪」

ニコニコとした表情の涼太、
「ンフフフ…」と笑いながら聞き入れる涼太
「砂かけ布団したりね、日焼け止め塗りっこしたりだろ」

「そうそう、そういうのしたいんだ〜♫」

「夏の海って感じだよな、そういうの」
「何言ってんのよ、女の子と一緒に海なんて行った事ないくせに〜」
「それ言うなや〜」

それから、2人が海へ着いたのは午後4時過ぎだった。

「わ〜!海だ〜ヤッホ〜!」
はしゃぐなつみ
「涼ちゃん!海海…!」

「あ〜!やっぱり夏は海だねぇ!」
「それビーチ・ボーイズだよ」

白い砂、青い海と空!!燦々と輝く太陽、砂浜には皆キラキラとした水着姿の人達……、そして海の家、これぞ夏の海だ!!

砂浜にビーチパラソルを設置し、折りたたみのチェアを2つ並べた。

「日焼け止め塗ろうか?」

「あっ、お願い〜」

涼太はなつみの肌に日焼け止めを塗りはじめた。

「きやっ、なんかくすぐったい…」

「涼ちゃんにも塗ってあげよっか」

「おー頼むよ」

なつみは涼太の背中に塗り込む。

互いにスキンシップをしたあと、2人は海の家に向かった。

「何にする?」

「あたし焼きそば食べたい」

「すいませ〜ん、焼きそばとかき氷、あとイカポッポ下さい」

「あとラムネ2つ」

かき氷機の回す音、いちごシロップ、メロンシロップを落とすと赤と緑に染まる綿のよう雪氷、さらに練乳を搾り出来上がったかき氷。

「美味しそう!早く食べよ」

「涼ちゃんおいしいね」

「うん」

隣のカップルは熱そうにラーメンを食べている。

「熱そうだね」
「でもうまそう…熱いから美味いんだよ」
「ラーメンにすれば良かった?」
「焼きそばあるよ、どうする?」
「焼きそばでいいよ」
「イカ焼きもある食べる?」
「さっきイカポッポって言わなかった?」
「言った、でも通じたよ」
「イカポッポね」
「イカポッポ、汽車ポッポ」
「鳩ポッポ?」
「ポッポポッポってうるさいな」
「それより夜、テント張って花火しよう」
「あっ、楽しみ〜、」

「よし、じゃ次はスイカ割りやろう!」


「やったやった〜!わーいわーい!」

……………。



涼太はふと気がつくと、海にいた。

あの夏から2年ほどが経った。


なつみは元気でやっているだろうか…


その場所には海はあるのだろうか…


もしそうなら、2人で過したあの夏の日を思い出してくれているだろうか…。


2人で行った海、夏になるとあの頃の思い出が優しく甦る。

毎年2人で行けると思っていた。

大切な人とはいつまでも一緒にいて欲しいと思うものだ。


ふたりは遠く離れていても、気持ちだけは通じ合っていたい。


そんな事を思いながら涼太は、なつみと2人で過した海を見つめ、静かに一人さざ波の音を聴いていた。



Summer…Vacation…あの夏と海…














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