【地形】近い将来、海水浴はできなくなる?
海水浴の砂浜のお話について、地理トークします。
どうも皆さまごきげんよう、
地理教員のあちゃちゃです。
勤務校の地理総合の授業が、大地形まで終わりまして、
2学期の冒頭から小地形を扱う予定です。
毎年、小地形の授業はじめに、地形に関心を持って
もらうために海水浴のお話をするのですが、
今回はそのお話を少ししてみたいと思います。
地理がご専門の先生方や地理マニアの方からしたら、
『なんだ、そんな当たり前の話か✋』
と言われそうですが、
その場合はこちらの記事はお捨て置きください。
海水浴といえば・・・
海水浴と言えば、何と言っても
夏のビーチ(砂浜)ですよね。
湘南のビーチで海水浴、、、なんて、
一度は憧れませんでしたでしょうか。
あちゃちゃも、昔(10代の頃)は、
可愛い彼女を作って海水浴行くぞ!!!
と意気込んでおりました。
(意気込むだけならあちゃちゃでもできる)
しかし、現実は甘くなかった。。。
なかなか彼女が出来ず、
友人たちも海水浴してウェイウェイしているような
パリピな人間というよりも真面目な友人が多く、
海水浴は長年持ち越しになっているわけです(笑)
そんな中、先日ニュースで、
20年前と比較して、海水浴場の閉鎖が相次いでいる。
との報道がありました。
海水浴場は、海の家での喧嘩や、
飲酒による危険な遊泳など、
トラブルと隣り合わせのところがあります。
こうした理由から閉鎖するところも多いのですが、
それよりも、地理的に心配な点があるのです。
消滅する砂浜海岸
ある調査によると、海水浴場になる「砂浜海岸」の
砂浜の砂が、どんどんと減っていっています。
中には、砂の量が半分程度にまで減少してしまった
砂浜海岸もあります。
なぜでしょうか。
外的営力とは・・・
そもそも、海岸の地形を生み出すのは、
外的営力という力のおかげです。
この外的営力について説明すると、
太陽によって温められ、蒸発した陸地や海上の水分が雨となって
山のあたりで降ると、この雨は山肌を伝って河川になります。
河川には、河川の3作用というはたらきがあり、
侵食・運搬・堆積の3つのはたらきをするわけです。
これらの作用によって地形を作り出す力が外的営力です。
(※ザックリ説明です。)
河川の3作用
侵食は、流水の力で山肌の土砂を削り取って様々な地形を生み出します。
谷がVの時に削られたV字谷や
河川の両岸が階段状になる河岸段丘などがその例です。
削り取られた土砂は下流に押し流されて行きます。
このはたらきは運搬と呼ばれます。
運搬された土砂は、下流で積もります。
このはたらきを堆積といいます。
・山の麓にある扇状地、
・河川の周囲にある微高地の自然堤防、
・河口付近にある三角州などが、堆積によってできた地形です。
海まで出た土砂はどうなる・・・
さて、では質問です。
三角州でも堆積せず、海まで流れてしまった土砂はどうなるでしょうか。
正解は、沿岸流と呼ばれる潮の流れに沿って、
海に砂浜を作って行くのです。
例えば皆さんがよく知る神奈川の大都市、
「横浜」は、この作用によって横に伸びた
砂の地形(砂州という)があったことが由来です。
つまり河川の運搬してきた土砂が砂浜の砂のもとだったのです。
河川が作る砂浜と現在の問題点
ところが、近年ではゲリラ豪雨などの異常気象による洪水や、
猛暑による水不足を防ぐため、河川のあちこちにダムが
作られるようになりました。
また、宅地化の進展で河川の目前まで住宅地が迫っているため、
河川を管理する国や自治体はすぐに護岸工事をしてしまいます。
河川の近くに住む人にとっては治水の点から
喜ばしいことではありますが、一方で、
護岸工事によって侵食出来なくなった河川が
やっと削り取った土砂はダム底に沈むようになった。
もともとあった砂浜の砂は海流によって削り取られて
いくので、もうこうなったら減少の一途です。
こうした理由から、日本各地で、
砂浜の減少が報告されるようになったのです。
わたしたちの暮らしや安全も大切ですが、
自然が作り出す地形をどのように守っていくのか。
その両立が今後の課題になってくると思います。
砂浜がなくなる前に彼女ができますように・・・(涙)
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