一番シンプルな論文の読み方|ネタバレ読書のすすめ
論文を読むとは?
学者は論文を読むことになれているので、大学ではこういう課題がよく出されます。
しかし、先生にとっての普通は学部生にとっての普通とはかけ離れています。
大変な思いをしながら自分なりに内容をまとめて行くのですが、手ごたえのない結果に終わることがしばしばありました。
今思えば、論文の読み方を教える前に論文を読ませるのが酷というものです。
一つ押さえておくだけで、論文を読むのがすごく楽になる方法があります。
ネタバレしてから読むことです。
論文は文学や芸術ではないので、ネタバレを知ったからといって価値が損なわれることはありません。むしろ、理解できずに終わることで、価値が損なわれます。
私はいつも、ネタバレしてから論文を読んでいます。
一般的な論文の構成
論文は基本的に、
という構成になっています。
それぞれに何が書いてあるのかというと、以下の通り。
はじめに:この論文を書く目的と方法
本論:「はじめに」で予告した方法を用いてがんばって論じる
おわりに:この論文で何を主張してきたかの総括
簡単に言うと、〈はじめに〉には筆者が何を論じようとしているのかが書いてあります。〈おわりに〉には、筆者が導き出した結論が書いてあります。
筆者の目的と結論を知ってから〈本論〉を読むと、かなりスムーズに進みます。
何故ならオチを知っているから。
結論を知ることだけが目的ではない
重要なポイントなのですが、論文は"結論の内容"だけで成立するものではありません。
それは妥当な結論なのか? 導き出すまでの過程に問題はないのか? 独りよがりの結論になっていないか?
検証する一つのサイクルが、"論文を読む"ということ。
結論だけ知ったところで、論文を読んだということにはならないわけです。
例えば、以下のような構成の論文があったとします。
トンデモ論文ですが、例だと思ってお読みください。
このトンデモ論文を〈本論〉から読み始めると、突飛で脈絡のない展開に翻弄されて、おそらく途中で挫折します。
何をしようとしているのか理解できない場合、読解するのに時間がかかりますし、筆者の言わんとするところを取り違えると、せっかくの努力も無駄になります。
これを〈はじめに〉〈おわりに〉〈本論〉の順で読むとどうなるか?
筆者が何をしようとしているのかが分かって、だいぶ楽になるはずです。
上記の論文の場合、"米を食べると人は死ぬ"という論文の結論そのものではなく、その論文を見て自分はどう評価するのか? ということが論文読解の本質です。
「論文を読んできてください」の背後にある意図
先生が言い渡してくる課題の背景には、「あなたはその情報をどのように評価するのか?」という問いがあります。
内容の要約だけでは十分ではなく、自分をその議論の中に位置づけるような立ち位置が求められるわけです。自我を出した積極的な読書とでも言うのでしょうか。
論文を読むのは実りある行為です。
内容を咀嚼して自分のものにするためのノウハウの1つとして、ぜひネタバレ読書を試してみてください。