【男料理馳走帖⑤】揚げ物を平らげる元気と揚げ物文化の変化
最近はフライとか天ぷらなどの揚げ物は沢山食べられなくなった。いい油でカラッと揚がった揚げ物はビール(今はノンアル、残念!)に最適だし、ふっくら炊き立て白ご飯の最高のお友であることは間違いない。
最近は自宅でフライや天ぷらをやらないお家が増えているようだ。油を大量に使うので、危険だったり、後片付けが面倒と言うのが遠因と思われる。
その昔、親父が都会へ単身赴任してきて、一年間一緒に暮らしたことがある。男二人だったので、曜日によってメニューはほぼ決まっていた。一人だと食事は簡単に済ませるのだが、もう一人いるとそうもいかない。揚げ物も一週間に一度くらいはやっていた。
と言ってもトンカツや鶏のから揚げ、野菜やエビの天ぷら、たまに小鯵のから揚げなんかも記憶にある。
揚げ物は難しい。特に天ぷらはお店のようにサクッとはいかない。油の温度調整や衣の粉と水の配分量など、あの頃ネットやアプリがあればもっとましなものができたと思う。
しかし、冷たくなったお惣菜の売り場の天ぷらよりも、揚げたての天ぷらが食欲をそそったのは言うまでもない。
電子レンジは発売当初は結構高価で温める機能しかなかった。本当に社会に普及していくのは1980代以降だったと思う。
昔はみんな揃って出来立ての温かな食事をするのが一般的だったというこだ。その後社会や家族の変化に伴いばらばらに食事をとることも多くなり、チンの音は一気に広まってゆく。
今は総菜の揚げ物もロースターで加熱すれば、それなりに美味しく頂ける。その気になればフライヤーはしっかり温度調節もできるし、衣となる粉類も目的に合わせて多種多様、冷凍食品で揚げるだけのものや油を使わないノンフライヤーもある。揚げたてのから揚げやコロッケを食べ歩くことも可能だ。
抹茶塩で頂く春の山菜や夏野菜の天ぷら、身のふっくらしたアジフライにジューシーなカキフライ、桜エビと玉ねぎのかき揚げはうどんの上、ロースのトンカツはカレーの上だぁ。
脂っこいものをガンガン頬張っておられるご高齢の方をお見掛けすると、不思議と勇気をもらえる今日この頃。
【REG's Diary たぶれ落窪草紙 3月14日(木)】