【前編】「ゲッター線」とはなんだったのか~「対等な存在」としてあるためのゲッター線考察
何度か考察には記載してきたが、そもそも石川漫画版「ゲッターロボサーガ」ではゲッター線は然程重要ではない。
ぶっちゃけた話、號のラストや真やアークですら作中描写から読み取れる「安定状態であれば人類には理想のエネルギー供給源だが、高エネルギー状態ではとんでもない破壊力をもたらすだけに留まらず、極端になって暴走すると周辺全部食って同化しつくす生命エネルギーの塊(超ヤバい)」程度の理解があれば大筋の読解に問題は無いはずである。
しかしながら巷ではなにかとんでもなく重要なものと勘違いされるだけにのみならず、神だか皇帝だか超越存在だか真理だかなんだかしゃらくせ……なんとも事実関係から微妙な話が多く出回っているようだし、自分の中である程度まとまったこともあり、事実関係、並びにそこからの考察を自分のためにまとめておこうと思う。
いつものことながら嘘を書きたいわけではないので、誤情報や誤認識があればご指摘願いたい。
〖前書き:最重要前提~根本的な物語の論理構造〗
「ゲッター線は神」とか「選ばれた人類が最強」とか「愛された特別な竜馬がなんだり」とか、そもそも漫画では言ってない╱誤読にすぎない思い込み(おそらく川越ゲッターやスパロボ由来)は綺麗さっぱり捨てて読んでください。
ここまでの過去記事を幾つか読んだ方ならご理解いただけると思うのですが、そもそもゲッターロボに限らず石川作品は30年間100冊には渡って
(「神╱超存在」に「選ばれた╱愛された」)進歩して特別な、正当性を持つ自分(たち)は、それ故に劣っている他者を「支配╱統制╱先導」するべき
=極端に単純に言えば、力がある強者なんだから弱者に好き勝手していい
とかいう理屈が悪の持つものです。
これの鏡が「弱者や敗者であることを免罪符や特権として好き勝手していい」になります。
「何らかの絶対的基準を前提に正当性を主張し他者に押し付ける、強制、支配しようとする」と言えばこの二つの論理の本質は同じです。
少なくとも、恐竜帝国も百鬼帝国もアンドロメダ流国も未来人類やゲッターエンペラーも、(後にはこの考えを翔という存在を通して改め和解した)シュワルツすら「ゲッターロボ」というタイトルを通して出てくる敵対者は入る単語すげ替えただけで全部が全部この思想を持っています。
解釈がどうとかいう話以前の単純事実として。
これ故に、主人公達は「○○だからって好き勝手していい訳じゃねえだろ!」と抵抗するのが基本筋です。
同じ理屈で食いあってどっちが独裁者になるかの話ではありません。
(「結果的にそうなってしまった」のはおそらく漫画版デビルマンです)
具体例挙げると「神に選ばれた特別な○○が最強(だから〇〇以外はどうでも良いし、世界は○○に統治=支配されて当然)」とか、「○○総愛されハーレム(努力とかしなくても皆ちやほやしてくれて当然)」とか、そういった主張を考え無しにこのタイトルでやると、本人がいくらどう思おうが自動的にいずれ滅ぶべき悪となります。
(そうならずにそれに近いこと言うのは考えて理屈整理すれば可能だけど。ちな前者例は枚挙に暇がなく、後者例は「ガクエン退屈男」と「バイオレンスジャック」の身堂竜馬が割とモロにこの思考をしているのが粗筋だけでもわかりやすいと思います。自他分離できないままのメンタリティが行き着く先にある具体例のひとつだと思う)
この時点でゲッター線を神や超存在と規定して正当性を主張する、人類に都合良い楽観的、自己中心的解釈は物語の論理構造として破綻する(それやるならいずれ滅ばないと成立しない)のですが、この後に続く考察もそういった解釈(というより原典においては誤読か妄想かなんか)へは配慮皆無な内容となります。
長々書いた末に既存にありがちな誤解釈全否定とか可哀想かなと思って最初に書いている、この文面が私にできる精一杯の配慮です。
一連の内容は「私が」原作の記述と現実世界の論理から「ゲッター線を神や絶対者ではなく、未知や神秘の箱に入れて思考停止し鵜呑みするためのものではなく、ゲッター線をゲッター線として考え、わかるもわからないも受け入れる」ためのものです。
言えば「後年になり神とされてしまったものの神性を手加減容赦なくひんむいて私が立ってる地面に叩き落とす」見方によっては暴力的なことを書き連ねる予定です。
政治思想も宗教も私には知ったことではなく、この記事では極力客観的な考察を旨とする以上それは一切考慮しません。
以上ご理解の上、お読みいただきたいです。
〖考察対象と注意点〗
・あくまでも「原典におけるゲッター線」の考察とする
このため、謂わば二次創作となる、ダイナミックプロ未監修派生作品群は全て考慮に入れない。
どのような作品であれ、二次創作は「その作者の原作解釈」を前提とするものであって、その二次創作設定を原作とごっちゃにする、まして二次創作から原作に当てはめようとするなど、はっきり言ってナンセンスだと私は判断している。
先に原作を自分なりに理解してから二次創作の解釈に入るのが物の順番というものだろう。
また、ここで考察した原典におけるゲッター線についての諸々を鵜呑みにして、そのまま未監修派生作品に持ち込むことも推奨しない。
未監修派生作品は根本的な論理筋からひっくり返っている可能性が非常に高いものも複数存在するため、本当にそうであるのかは各作品で改めて検証し直す必要があるだろう。
私は未監修派生にはそこまでする熱意が無いので各自で頑張ってほしい。
・考察対象は漫画版ゲッターロボ、ゲッターロボG、ゲッターロボ號、真ゲッターロボまでの「ゲッターロボサーガ」、並びにゲッターロボアークなどの石川先生が描かれたもの、次いでゲッターロボとゲッターロボGについては企画書が同一であったと目されるためGまでは東映版も考察対象とする
*東映版號については未見のため保留
・石川先生が作者ではないがダイナミックプロ公式監修やそれに近いであろう作品については
ゲッターロボ飛焔、ダイノゲッター→周辺証拠等としては扱う(上記よりも優先度や重要度を一段下げる)
小説スーパーロボット大戦(企画から関わっている団先生の著作)→同上
ゲッターロボダークネス→未読のため基本触れない
*石川先生の他作品については考慮しない
「ゲッターロボサーガ」と「虚無戦記」は繋がっていない、という話が複数資料に存在する。
また、石川先生の認識として「ゲッターロボサーガ」は完結していた。
以上の二点から、シリーズ内で基本情報は揃っているはずだと判断し一切の考慮に入れない。
・作品以外での発言(インタビューなど)については、原作者となるダイナミックプロ関係の方、東映版無印Gに関わった方のもののみを対象とする
石川漫画版ゲッターロボサーガ本文参照や引用→eBooks電子書籍版
それ以外の場合は別途記載する。
【イメージ元考察:根底にあるもの】
まず始めに、考察対象の記述などからゲッター線はなにをイメージ元としていたのかを記載、考察する。
注意頂きたいのが「ゲッターロボ」というシリーズ作品は1974~2003年まで断続的に連載・放映された作品であって「2024年現在とは技術研究進度が異なる」こと(この辺は厳密にやると1974年当時との調査比較することになり、私個人の手に負えなくなるので敢えて突っ込んで調べていない所もある)、並びにこれは推測ではあるが
そもそもがGまでなら10歳前後対象、以降にしても精々一般青年向け対象の漫画であった=描いてある内容としては義務教育+アルファ(調べればざっくりわかる程度の各種基礎知識)程度で読めるようにしているはずである。
「必要ない情報は削れ、必要な情報だけいれろ」とはなに書くにしても言われることだと思うし。逆に作品上必須知識があるなら作中でせめて取っ掛かりは開示していなければいけないはずである。(まあ、その辺万人ができる訳じゃないけども)
なので、あえて現実世界の技術面についてなど深掘りは基本的にしていない。根本的に架空エネルギーであるし。
①.原子力→放射線
これに関しては異論を持つ人は少ないだろう。
きちんと説明するととても時間と文章量を取られるため、必要であろう部分を雑にではあるがまとめる。
重ねて言うが我ながらすさまじく雑にまとめるので、誤認識や正確ではない書き方などもあるかと思う。信頼できそうな資料など適時目を通していただきたい。
https://www.rerf.or.jp/about_radiation/basic_radiation_information/
そもそも、放射線とは高エネルギー電磁波の総称である。
そして、放射線は日常生活にも存在している。
というより、そもそも太陽が「核融合反応」によって膨大なエネルギーを生成して輝いてて、その時にも放射線は発生する事から宇宙から常時降り注いでいるものでもある。
ゲッター線も宇宙から常時降り注いでいる放射線の一種であることは作中から読み取れる。
*地下に放射性物質の塊(例えばプルトニウムとかラジウムみたいな)があってとかいうものではない。そもそもゲッター線の根本的な発生源は一貫して地球外部に存在している
勘違いしている人も多い部分なので明記するが、そもそも放射性物質から生じる放射線というものは「一定の閾値以上でないと健康被害に至らない」。
存在するだけで人体に有害であるというなら我々は一人残らず死滅していなければおかしい。何せ放射性物質からその辺の食べ物にすら含まれているし、放射線も太陽光と一緒に降り注いでいる、言えば「光」全体がそうで、具体的に言えば紫外線も放射線の一部である。
医療利用しているものがレントゲン、エックス線などであって、これも一定の閾値以上でなければ健康被害はないために使用されている。
ゲッター線というものもこれらと非常に近しい特徴を有している。
そして、これら放射線と密接に関係するのが原子力研究となる。
チェルノブイリへの言及といい、ここで想定されているものは原子力発電所事故であろう。
ここで原子力研究の根本に戻ろう。
大まかに「核分裂反応」と「核融合反応」をベースとしたものが知られている。
この二つ、混同されることも多いがそもそも原理が異なる。そしてそれぞれを兵器利用╱平和利用(主に発電など)した技術がある。
核分裂→原子爆弾╱原子力発電
核融合→水素爆弾╱核融合炉(現在実用化はできていない)
これは今後の話に非常に重要になるので頭に置いてほしい。
ここに関しては特に核分裂の方の研究の過程と東映版1話などに見られるゲッター線研究の歴史過程の一致が存在する。
核分裂反応の研究は兵器利用目的で原子爆弾が開発され、その後平和利用として原子力発電の研究が進む。
ゲッターロボという機体も、
・ゲッター線研究は30年前から早乙女博士が行っていた=第二次世界大戦中からの研究である可能性
・本来のゲッターロボは兵器を搭載している→後に宇宙開発用に転用された可能性が高い
*ただし、これはあくまでも東映版での設定であって、漫画版では「ゲッターロボ」1巻冒頭の限り、以前から早乙女博士や風巻博士(漫画で一番最初に恐竜の犠牲者となり食い殺される博士)は恐竜帝国の襲来を予期し、それを認知している人類は自分達だけではないと語る。
宇宙開発の名目でゲッター計画が進められているが、早乙女博士はその襲来を予期して完成を焦っている描写があり、竜馬スカウトまでも349人にダメ出しして落としている以上、物語開始のかなり以前から「恐竜帝国の侵略に抵抗するための防衛戦争になる」ことを前提に政府までも動いていたと思われる。
と、なると、おそらくは「原案部分には明記がなかった」部分であるために東映版と漫画版で不一致が起きている可能性が高い。
さて、ここまでの説明と作中描写であるならば、漫画版號でのインパクトに残る描写や日常的に私たちが持つイメージ(思い込み)の話から、原子力の中でも「核分裂」をベースとするものと思う人はいると思う。
正直に言うと恥ずかしながら、私はゲッター線を重要視していなかった上に自分の原子力に対する無知と思い込みでずっとそこをきちんと疑っていなかった。(なんかわからんがそういうもんなんだなで流しきっていた)
しかし、実際のところは原子力は原子力でも「核融合」の方が重要ではなかっただろうか。
②.太陽光発電
ゲッター線に関しては特にGまでは漫画版、東映版共通して「原子力発電」(核分裂反応)では説明がつかない描写が多数存在する。
これらは「太陽光発電」がイメージ元だからではないだろうか。
先に記載したが、ざっくり言えば「光」も「放射線」の一部である。
1970年代初頭、安定したエネルギー供給は各国の課題となっていた。
そして1973年10月、オイルショックが起きる。ゲッターロボの企画を立てていた時期と被るだろう。
現実世界では74年から「サンシャイン計画」というプロジェクトが起きた。
太陽光発電、太陽電池はそれ以前には実用化がされていた。
これらの時代背景からも、太陽エネルギーをモチーフとした可能性は高くはならないだろうか。
=核融合炉(仮)と太陽
巨大ロボットを動かすための高エネルギー発生源として「核融合炉」ないし、その核融合によって生じたエネルギー(太陽エネルギー)を収集、増幅して実用化した装置(太陽光発電だし、結果として核融合炉同等のエネルギーを所持する炉心)を想定したのであれば、先に上げた「原子力→放射線」と「太陽光発電」は「太陽」というキーワードで綺麗に結び付く。
核融合反応は太陽の莫大なエネルギー源となる反応であり、それゆえ「核融合炉」は「地上の太陽」とも言われるのだから。
*自分で確認ができないためメモ程度になるが日本における人型ロボットものと言えば外せないであろう「鉄腕アトム」でも「核融合」と言及があった様子
*もしゲッター炉が核融合炉そのものであったとしてもその原理上、核分裂では起きる分裂連鎖による「暴走」は起きず、高レベル放射性廃棄物も生じない
特にGまでのゲッター線の描写であれば、こちら(核融合と太陽)の方が中心になっていると考えた方が整合性は全体的に取れていないだろうか。
*この辺で少々気になることとしては敷島博士の存在があり、「第二次世界大戦中から武器の研究者で、昔は水爆(=水素爆弾、核融合反応の爆弾であって核分裂反応による原子爆弾ではない)の研究までやらされた」「早乙女博士だけは敷島の力を認めてくれた」こともある。(「ゲッターロボ」2巻170頁)
また、これらからそもそもゲッターロボ自体が太陽のオマージュやメタファーも含んでいたとすれば、
(上と同じで太陽エネルギーを集めて同等の力を手に入れたロボット、こう書けばこれも「地上の太陽」であろう)
必殺技に突然の太陽ネーミングが入ることなども説明はつく。
ゲッタードラゴンの「シャインスパーク」では、機体自体が輝き
(「発想はアレですよね、ソニック・ブームです」と東映版GのDVDBOXブックレットインタビューで原案者の一人とも言えるだろう菊地忠昭=団龍彦さんは話されていたが、実のところは「太陽風」が元ではなかっただろうか)
漫画版G最終話の後年追加分では何故か太陽を背にして使いきったはずのエネルギーが復活する。
これはゲッター線と太陽エネルギーは本質として同じエネルギーであったためではなかろうか。
(そう思って見ればゲッタードラゴンの頭部デザインは太陽っぽくもある)
真ゲッターロボの「ストナーサンシャイン」は文字通り小さな太陽のような球体エネルギーを打ち出すし、
思い返せば東映版におけるゲッタービームは「赤」が中心であるのも不思議ではなくなる。ついで「白」なのも光としては一般的な描写だろう。
「白」と言えば、これは意図的かどうかわからないが、初代ゲッターロボ並びに真ゲッターロボでは各ゲットマシンが赤白黄というのも、太陽光のイメージ色っぽくなかろうかと思ったりはする。人物のパーソナルカラーは三原色とロマンアルバムで東映スタッフが語っていたのに、どうして隼人だけ白くなったのだろうと疑問だったのだが。
なによりも、これであるならば「ゲッターロボ號」はいったいどんな機体であったのかが明確になりもするだろう。
ゲッターロボ號は「ゲッター線を使用しない」機体であり、「プラズマエネルギー」で動いていた。
太陽はプラズマで構成されている。
「プラズマエネルギー」とは、「人工的なゲッター線≒核融合反応による太陽エネルギー再現」ではなかっただろうか。
そうであるならば、あの機体も「地上の太陽」であっただろう。(太陽エネルギーを外部から取り込む╱内部で生成するの違いはあれども)
ゲッターロボはゲッター線に本質があるのではなく、「三つの心を内包した地上の太陽」であることに主眼があったのならば、あれも「ゲッターロボ」で間違いはないだろう。
(號チームの青赤緑も「光の三原色」で混ざると白になる=彼ら自身もまた「光」であろうし)
元来太陽の性質を持つなら、他者が絶対神と崇めるなり自称すれば太陽神と繋がりのある存在にもなるだろう。
(なお、石川作品で神とか仏を筆頭に超越存在を自称するものは、ほぼ敵対者となる。そうなるのが当然だの運命だの自分は悪くないだのと正当性を唄うと100%と言っても良い)
日本の天皇(エンペラー)は天照大神を由来とするはずである。
(日本における皇家は正確には祭祀者、巫女とか神主とか=人間であって神そのものではなかったはずだが。日本の神は一神教的な考え方や概念では基本的に無いだろうし)
また「アーク」の梵字は大日如来を表すそうだが、日本では神仏習合によって天照大神と大日如来は同一視もされた。
ゲッター1系列が太陽であるなら、
地球や人類はその庇護において育った子供と解釈
→子供である未来人類が親を神格化して自己判断を放棄し鵜呑みの依存状態(余談となるがエンペラー出現前から他星を「植民地」にしていたのが先で、その後にエンペラーが現れて未来人類がそれを神格化しているという順番もあの存在を考察する時には重要ではなかろうか)、歪んだゲッターエンペラー(親)は子供を完全支配下に置いた
→拓馬の母と拓馬の関係性と結果的にかなり近い
ことも気になる。
その図は親(太陽)から自立しようとした「ゲッターロボ號」と反対となることも。
ゲッター線のモチーフが核融合と太陽エネルギーであれば、無印からアークまでのこういった描写に整合性の取れる説明ができるのではなかろうか。
③.漫画デビルマンの「神の力」のオマージュ
デビルマンをプロットレベルに落として反転し、肉付けし直しているのがゲッターロボではという考察は以前まとめた。
この中で「神の力」もそもそも核兵器のイメージがあったという永井先生のインタビューに触れた。
「神の力」が核兵器=核分裂反応を利用した原子爆弾であるなら、その逆転として核融合反応によるエネルギーが出てきてもおかしくはないのではないかと思う。
少なくとも最終的なゲッター線が「原子力」に関わりがあるだろうというのは、ここまであげた作中記述の他、後年追加された恐竜帝国や百鬼帝国のエピソードからも伺える。
前者ではマシンランドウで「反マグマ炉」「原子炉」、後者では最終話追加分の百鬼羅王鬼で「放射能値」「熱」という記載がある。
どちらも「原子力」と関わりのあるエネルギーを使用していると読み取れる。
「ゲッターロボ」は「デビルマンの反転」である考察を前提とするなら、本質的に敵の使う力と主人公側が使う力は同じである可能性が高くなる。
「同じ原子力であるが原理は反対になる」太陽エネルギーと核融合を主人公側に、核分裂を敵側に配置したのかもしれない。(反マグマ炉というのも引っ掛かるところで、太陽と並べた地球の核にあるマグマを「星の核となるエネルギー」と解釈すれば同質で、そこから逆転させて取り出すみたいなニュアンスを感じる)
【イメージ元まとめ】
ここまでの話を順番整理して推測込みで書くと
企画時点で「漫画版デビルマンの反転世界と物語」をベースにゲッターロボが詰められていった。(根拠:作中プロットなどからの状況証拠積み重ねの結論のため先の記事参照)
「神の力」≒原子爆弾(核分裂反応)↔核融合反応≒太陽
というイメージ変換、当時の社会情勢も背景に
ゲッターロボは太陽光発電をモチーフに「太陽エネルギー」を収集・増幅して核融合反応同等のエネルギーを動力源とする事となった。
「核融合炉」同等の性質を持ちながら、厳密にはそのエネルギー源の元自体は外部に求める形である。
*プロセスとしては、
初代:ゲッター線を収集する→太陽電池
G:増幅装置の話が明確に存在しているため、収集したゲッター線同士かゲッター線と既存のなにかを(核)融合させエネルギーを取り出す→太陽電池(収集装置)+核融合炉(増幅装置)
といった理論に近かったのではないか。
同時にゲッターロボは「三つの心を内包する地上の太陽」(太陽のメタファー)ともなった。
これらがそこかしこに散見される太陽、太陽光発電との繋がりとなっていった。
悪辣に言えば、Gまでは「太陽エネルギーに依存╱搾取していた」という視点も存在する「地上の太陽」ゲッターロボをもう一度動かすとなった時に、「人力だけで自立する機体」を模索するのも不思議ではないかもしれない。(親からの自立と言い換えても良いかもしれない)
太陽はプラズマで構成されている。核融合反応もこのプラズマ状態と密接に関係がある。
「ゲッター線≒太陽エネルギーを人工的に再現する」のがプラズマエネルギーで、それを動力源(プラズマ炉=核融合炉)とすることで、完全に自立した「三つの心を内包する地上の太陽」を目指したのが「ゲッターロボ號」ではなかったろうか。
原子爆弾のオマージュではないか、と感じていた描写の多く、具体例をあげれば武蔵の最後なども厳密に言えば「水素爆弾」ではなかっただろうか。
純粋な核融合反応のみによる実用化は兵器(純粋水爆)にしろ発電(核融合炉)などにしろ2024年現在でも実用化には至っておらず、現実から参考にできるものは原子爆弾(核分裂反応)並びに起爆に核分裂反応も利用する水素爆弾程度である。
核融合反応によるエネルギー生成では原理上核分裂反応とは異なり連鎖反応での暴走は起きないとされているが、もし、核融合反応の連鎖や連続による暴走が起きた時、どのようなことが起きるのかは、正確にはいまだ誰も知らない。
このため早乙女研究所での事故でも「同じ原子力であるが反対の原理となる」核分裂による原子力発電所事故がモチーフのひとつと置かれた可能性はないだろうか。
実は、最初から最後まで「ゲッター線」とは「核融合エネルギー」「太陽エネルギー」のオマージュであり、それを突き詰めた結果として號以降の描写があったのではないだろうか。
→「核分裂エネルギー」と「光子力エネルギー」
主に號以降、核分裂エネルギーと取れる描写が作中存在することについてはもうひとつ可能性はある。
漫画版號はゲッターロボGの後に、グレンダイザーを介してマジンガーシリーズとゲッターロボシリーズが交差した結果が反映されているのではないか、と以前記事にまとめた。
これを切っ掛けとして、ゲッター線に光子力エネルギーが混じってしまったのではないかという可能性である。
マジンガーZはデビルマン、またその原型となった「魔王ダンテ」からも影響が見受けられる作品である。
少なくとも「神の力」=核分裂反応の直接的、正位置的翻案は元々はこちらだったのではないだろうか。
この「同じながら鏡あわせの力」を取り込んだ事で、双方が反映されることになった、という可能性はあると思う。
っていうか、疑って調べてみたらあまりにも直接的に出てきたから吃驚だよ……そりゃ、それを発見したおじいちゃん(アインシュタイン入ってそう)のお顔は怖くなるし「神にも悪魔にもなれる」はずだし桜多先生の漫画版マジンガーシリーズが漫画版デビルマンの理屈でお噂には予々の話にもなるだろうよ……。
しかし個人的には
「神の力」=核分裂と核融合等も含めた「原子力」そのもの
核分裂→「光子力エネルギー」
核融合→「ゲッター線」
として、後年最終的に二つのライン(世界)と整理されたのではないか、という感触が強くもある。
後編でまとめるが、どうもゲッター線は核融合と太陽からのイメージ連鎖で不思議パワーの諸々についても概ね説明できてしまいそうなんだよな……。
もしこうであるなら
どの程度信頼できる情報なのかは不明だがスパロボにおいて「マジンカイザーにゲッター線が関係してる」みたいな話もちょっと納得はできて
二つに分かれてた大枠では同質の両極の力が合わさって、「神の力」に戻ったか、それと同レベルの超エネルギーに変化╱進化した、みたいな話でないのかなと思わないでもない。
〖前編の終わりに〗
ここまでがそもそものイメージ元の考察となる。
おそらく制作者側はこれを前提に色々なものを考えたのだろうという土台でもある。
自分で考えたい方は、この先別記事にする予定の後編を読まずに漫画版と東映版だけを片手にこの仮説の考証を行ったり、この仮説をベースに號以降に何故ああいった描写になったのか自分で考えてみてほしいとも思う。
後編ではこれらをイメージ元と「仮定しての」(あくまで個人考察であって公式ではなく真偽不明だが、これが自分の考えるものの中では一番整合性が取れると判断したので結果を一時仮定する)ゲッター線が持つふしぎぱわーの内訳とか解釈を思い付く限りでつらつらと記載する予定である。