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植物の世界での薬効を考える:けやきその3
虫を呼び寄せ、虫を遠ざけるというのが薬になる?
みなさま、明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
そして、2025年がみなさまにとって少しでも味のある良い年になりますよう
お祈りいたします。
さて、植物の世界での「薬効」について、その薬効を持っているであろう
けやきの話も3話目になりました。
これまで2回のお話をまとめると、
けやきの枯れ枝には、3種類の役割の異なる物質が含まれていて、
1つは枯らしたい枝に虫を寄せる物質
2つ目は孵化した虫を三木から枝先へ遠ざける物質
3つ目は枯らしたい枝の根元と幹、もしくは太い枝とを分ける
隔壁の役割を持つ物質で、
枯れ落ちた枝には1つ目と2つ目の物質が残されていてるんじゃないかという
考察です。
この考察は枝削りをしている時に考えたものですが
これを考えた1年後。
枝の削りかすを1年間も捨てずに保管しておいた理由については
自分でもよくわかりません。
強いて言えば、何となく「良い物」のように思えたからかな。
ま、変人ですからね。私。
それよりも、この枝の削りかす。
1年間一度も虫が湧かず状態に何の変化もなかったんです。
むしろ、こっちに興味が湧きます。
自然の中では鰹節虫とかシロアリとかカビとかが枯れ枝をはみます。
それが家の中であってもこういった虫や菌が沸いても
不思議はないのに、それらが全く現れません。
例えば、杉やヒノキなどの針葉樹であれば
防虫成分が含まれていることは知られているので理解できますが、
ケヤキに何らかの薬効があるという話は聞いたことがありません。
翌年の初冬に、思いつきで始めたリフォレスター1号器にこの枝の削りかすを
入れたことから考察はさらに深まることになりました。
リフォレスターと名をつける前の施策段階で、
花切り干しの野菜くずとたまごの殻が予想よりはるかに早く分解し、
その分解の速さに面白さを感じ始めた頃、
乾いた繊維なら何でも分解できるのか試すために
マカダミヤナッツの殻や、銀杏の殻を入れてみてそれも良い感じに
分解するので、楽しくなって1年前に削ったけやきの枝の皮も
入れてみたんです。
この辺のことは以前記事に書いているので
今回は改めて書きませんが、
そもそもリフォレスターで再生している土には
微生物の効果か、コンポストに沸くような虫が発生しません。
それにしても、虫やカビが出なさすぎ。
その、虫やカビが出なさすぎる土は
微生物の効果があったとしても、植物がよく育ちすぎるんです。
プロトタイプリフォレスターの土では、
とにかく過去最高で、デスベランダを1年間ずっと緑化でき、
トマトや豆など収穫までできる奇跡を起こしました。
2年目の冬、リフォレスターと名をつけ、2号器を作り、
こちらにはけやきの皮は入れずにおきました。
するとこの2号器の土自体は同じく良いものができはしたのですが、
アブラムシがつきやすく、植物もやや軟弱な感じに育ちました。
リカバーとして、土の表面にけやきの皮を敷き詰めると
若干アブラムシがつきにくくなり、害虫が減ったことで植物も
丈夫に育ちます。
減るだけなので、いなくなるわけではないんだけれどもね。
薬と毒は紙一重?
農薬のように劇的な変化や効果がないとしても
何らかの効果があって、どうやらそれはケヤキの皮にあるらしい。
けやきの皮に含まれている物質が虫を呼ぶものと
虫を遠ざけるものだとしたら。
若干でも虫が野菜から遠ざかる効果があるのだとしたら
けやきの皮に含まれる物質は、野菜にとっての「効果のある薬」
「薬効」になっているのではないかと思うのです。
はぁ、やっとつながりました。
植物にとっての「薬効」という考え方は
このけやきの皮に含まれる謎の物質から始まるわけですが、
「いや、植物に薬なんておかしいだろ?」
って思われるかもしれません。
でも、植物にも結構薬は使われていて、
それは病害虫の予防や対策の薬だったり、植物の活力剤だったりします。
でも、そういう薬の数々の多くは戦後研究開発されたもので、
それ以前は鯨の油や除虫菊、タバコの煙、針葉樹の松明の煙などが
主な農薬だったようです。
そして気になるのがそういった「農薬扱いされていない」
「植物のための薬」です。
落ち葉は堆肥で薬?
けやきの枝の皮に虫を寄せたり、虫を遠ざけたりする物質が含まれたとして
この枯れ枝が含まれるのが落ち葉堆肥。
「落ち葉堆肥」というだけあって肥料扱いなのですが、
少し角度を変えて考えると、
落ち葉というのは、虫食いはあっても、
全て虫に食われずに晩秋になるまで木の上に残っていた葉であり、
それ以上はくわれなかったはでもあります。
植物の戦略として、自身が生産した葉や枝は、
真冬に根元を守るための防寒の役割と、
自身の栄養を葉で生産して根元に落として虫などに分解させて
栄養分として再吸収するための自己生産の材料でもあります。
紅葉するまで虫に食われないように
また、多くは病気にかかることがないように
微量の抗体や防虫の物質が含まれていてもおかしくありません。
つまり、主に紅葉樹の落ち葉堆肥は、堆肥としての栄養だけでなく
ある程度の防虫抗菌作用も認識はされていなくとも
あったのではないかと思いますし、今もあるのだと思います。
それが「落ち葉堆肥」をふんだんにすきこんだ畑の野菜は
丈夫で美味しいと言われる根拠の一つではないかと思うのです。