土作りで麹菌、納豆菌、乳酸菌は最強なのかを考察する?
リフォレスターではカルス-NCRと鶏糞の微生物を推奨するけど
これまでも、何度も書いてきているように、
鶏糞に含まれる微生物とカルスに含まれる麹菌が
最強の微生物というわけではありません。
ベランダで土作りから野菜栽培までの一連のサイクルを
無理なく回していくことができるのように考えた結果、
ベランダではカルスと鶏糞が最適だったというだけなんですね。
なので、これを家庭菜園や農業でそのまま再現しても、
同じ結果を期待するのは難しいんです。
難しいと言っても、特性を知れば応用は全然できると思いますけど。
ということで、今回は最近話題になっている
麹菌、納豆菌、乳酸菌最強説についてお話ししてみたいと思います。
長くなりそうなら何回かに分けて書くかも。
なお、麹菌は単独の菌を指しているのではなく、乳酸菌も含まれるので
ここからは、麹菌と納豆菌とさせていただきます。
麹菌、納豆菌の特性は軍隊ありに似たところがある
サブタイトルでゾワっとした方ごめんなさい。
普通のありんこでも良いんですが、
圧倒的に数が増えると他を寄せ付けないようなところがあるので
軍隊ありを引き合いに出させていただきました。
リフォレスターでの数々の実験で、
特に昆虫クラスの虫は微生物多めの土を極端に嫌う傾向があるのは
わかっていました。
耐性とまで行かなくても、アブラムシでさえ微生物は苦手なようで
とにかくリフォレストが完了したばかりの土を入れた鉢には寄りつかない
という感じです。
とは言っても、限りなく寄り付きにくくなるというだけで
別途アブラムシ対策は必要なのですが。
ともかく、昆虫たちにとって麹菌類や納豆菌の細かさと量は
人がありんこに感じるゾワゾワと同じ効果があるようなんです。
農薬代わりに水にといた麹菌や納豆菌は使えるっちゃ使えるけれど
では、虫除けに菌類を使えるかといえば、そう簡単な話ではありません。
菌水自体、人にとっては化粧水の材料になるくらいなので
納豆臭いのは別として体に害はないどころか、
言ってみれば天然化粧水みたいな有用なものですが、
問題はこ菌水の寿命が極端に短いことにあります。
というのも、麹菌も納豆菌も基本的に光を嫌う傾向があり
太陽光が長く当たるとあっさりさようならになってしまうからです。
滅するのではなく、乾燥した途端風で飛んじゃう方が多いかも。
なので、農薬がわりに使えるかといえば、
木酢液とは比べ物にならないくらい効いてる時間は短く、
また、雨にも弱ので、農薬には全くなりません。
ただ、虫にも危機探知能力や記憶能力はあるので、
「あそこはヤバい😨」、「ゾワゾワするやつがいる」と
警戒するようになって、近寄りにくくなるかもしれませんが。
そのせいか、黒いアイツは相当弱っていたので、
農薬的な効き方ではなく、やはり精神的にくるタイプなのかもしれません。
虫に精神性があるかは謎だけど。
個人的には
今増殖しているカメムシに菌水を試してみたい気持ちはありますし、
今年はハダニ対策にリフォレストした土の中の微生物を使って
防虫実験をしてみるつもりです。
今は黄アゲハの幼虫がいるのでやりません。
カルスが開発されるまでは麹菌や納豆菌が微生物資材として注目されなかったわけ
ここで改めて昔から麹菌類が畑の資材として
認知されてこなかった謎について考えてみたいと思います。
そもそも麹菌類(納豆菌も含めちゃいますね)は土の中にいて、
主にはアブラナ科の植物の根に付きやすい傾向があり、
そのため日本各地には塩を使わない菜ものの発酵漬物が伝わっていたりします。
この漬け菜に関連して、農家の言い伝えとして
早春から春の菜花(アブラナ科の総称ツィての菜花)の残渣、
つまり、食用にできない葉や茎、根の部分は
土にすき混むと土が良くなるので良いというものがありました。
これは、麹菌類の存在は認知されていないものの、
経験的に麹菌類の有用性については認識があったことを示しています。
納豆菌に関しては歴史はそれほど古くはありませんが、
やはり、わらずと納豆の納豆を取り除いた後の藁は農業用に
土にすき込むと良いというのも麹菌類と同じ認識だったのだと思います。
そこまでなんとなく良さはわかっているものの、
微生物資材として注目されなかった理由は
麹菌類や納豆菌が食に関して人にとって
有用であったことはもちろんですが、
やはり一番大きな問題は菌の特性を明らかにできない事情があったことと、扱いがなかなか難しかったからではないでしょうか。
”日本人の魂”の秘密は門外不出
その事情とは、ズバリ、”酒”、”味噌”、”醤油”の製法にあります。
この3つの食品は味噌こそ自宅で作れるようにはなりましたが
基本的には蔵元の専売となっています。
仮に種麹を農業用に使いたいと考えても、
種麹自体専門の職人が作っており、
製法も素人が簡単にできるものではありません。
また麹の良し悪しが製品の優劣や味、風味を左右するわけなので
広大な畑に撒くなんてとんでもない暴挙ではありました。
ですから漬け菜に乳酸菌が多く生息しているとわかっても、
資材として有用な微生物を使用することは
長くはばかられたのかも知れません。
現代では醸造用アルコールを使い限りなくお手頃にしたお酒もあり、
種麹の重要性を日常で感じることは
少なくなってしまっているのかもしれません。
だからこそ、ほとんど禁忌を破っているような
カルスーNCRの販売も可能になったといえるかもしれません。
カルスに関しては、本来もっと早くに開発されていてもおかしくなかったし
もっと早く世に出ていれば、特に自然農法を目指す人には
大きな救いの一つになったのではないかと思います。
しかし、実際に麹菌や納豆菌は扱いが難しい
しかし、農業用微生物資材カルスーNCRであっても
実際には麹菌や納豆菌と同じく使い方まで簡単とは言えません。
それは麹菌、納豆菌、カルスの微生物が、”生き物”だからです。
例えば化成肥料なら畑に撒く、あるいは埋めるだけで養分の補給という
目的を達成することができますが、
微生物の場合、
一旦撒いて、その後トラクターなんかで微生物資材を土に漉き込むだけで
勝手に土の中で増殖できるわけではありません。
増殖させるためには微生物の餌も一緒に土に入れてやる必要がありますし、
基本的には餌を与えると土の中の温度と湿度が上がってしまい、
場合によっては撒いた種が蒸れて腐ってしまったり、
新しい芽がのぼせて萎れてしまうこともあります。
そういう意味で適切な使い方を
簡単に広めることが難しかったのかと思います。
実際、カルスも使うタイミングを間違えるとタネの蒸れ萎れを起こす危険はあります。
先に紹介した菜花を土に漉き込む知恵に関しては、
これも微生物の働きをうまく利用したもので、
気温の上下が激しく目まぐるしく天候の変わる春。
まだ花の残る時期に土へのすき込みを行うことで、
微生物が菜花を分解し発する熱を利用して
特に気温が下がり季節外れの霜が降りるような日も
土の表面温度を下げることなく、バイオガスの膜で作物の霜害を防ぐことができる先人の知恵だなと思います。
やっぱり長くなってしまったので、続きは次回に。