
圧倒的に敷居の低いイマーシブ体験 ー『第四境界』が開く扉
ある日、いつものようにnoteを見ていたら、「#推したい会社」というコンテストが開催される事を知りました。どうやら、みんなに教えたくなる「好きな会社とその理由」についての投稿を募集するとのこと。
……え、それってつまり、布教活動ってこと?
ということで今回、このコンテストに便乗(?)して、思う存分「推し活」をしたいと思います。
私の推したい会社、それは『第四境界』です。
(会社ではなくゲームブランドですが)
2024年4月から活動を開始した第四境界。活動期間はまだ短いですが、話題の作品をすでに何作も世に送り出し、地上波テレビや雑誌などでも紹介されているほか、芸能界やVTuber業界にもファンが存在します。
テレビ朝日「#パジャピコ」に
— 第四境界 (@daiyonkyokai) July 30, 2024
『#かがみの特殊少年更生施設』が登場しますhttps://t.co/8IaiHBygaV
MCの狩野英孝さんと
ゲストの伊集院光さんにプレイいただきました
放送は本日7月30日深夜0時55分
TVerやABEMAでもご覧いただけます pic.twitter.com/4QKhQjbX6F
作業の合間にやってた謎解きが解けた〜〜〜‼️
— 健屋花那💉💘「Ready Steady」歌ってみた (@sukosuko_sukoya) October 20, 2024
みなさんも第四境界さんのDs試験受けてみてください、超おもしろかったです
第四境界『#人の給与明細』調査完了!https://t.co/r6Q3nINKIw
— 白上フブキ🌽👑1stソロライブ 2/13「 FBKINGDOM “ANTHEM”」 (@shirakamifubuki) July 19, 2024
人の財布が気になってた中、初めて購入した人の〇〇シリーズ🦊✨
どうすれば!?って所もありましたが進むにつれドキドキが加速‼️
気づいた瞬間……うわっ…となりました💦
とても楽しかったです😌✨#人の新作 pic.twitter.com/cakHMis3QG
伊集院光さんや狩野英孝さん、ホロライブの白上フブキさんや、にじさんじの健屋花那さんなど、錚々たる顔ぶれが第四境界作品を楽しんでいます。すごいですよね。
……とはいえ、闇雲に「第四境界の作品は面白いよ!」「すごい体験ができるよ!」と主張するだけでは( ´_ゝ`)フーンと読み飛ばされてしまうことでしょう。彼らの個性や強みは何なのか、お薦めするならどんなポイントがいいのか、しっかりと考察し、根拠を示して伝えてこその布教活動である、と私は考えます。
結論から申し上げますと、第四境界の一番の魅力は
『圧倒的に敷居の低いイマーシブ体験』
である。と、私は考えます。
「圧倒的に敷居の低いイマーシブ体験!? 何それすごい!」と思われた方は(居ないと思いますが)今すぐ第四境界のショップへどうぞ。
というわけで、私がこの結論に至った経緯を、順を追って説明していきたいと思います。真面目な記事なのでご安心くださいね(?)。
※本記事では「敷居が高い」を元来の意味とは異なる使い方をしておりますが、字面とイメージのしやすさからあえて「気軽に行きにくい」というニュアンスで用いております。
※本記事内に第四境界作品に関するネタバレはありません。
1.イマーシブ体験とは
昨年ごろから、「イマーシブ」という単語をよく見聞きするようになりました。きっかけは、おそらく2024年3月に開業した『イマーシブ・フォート東京』ではないかと思われます。
イマーシブ(immersive)とは「没入感のある~」を意味する英単語です。
いろいろと調べてみると、物語や世界観を第三者の目線で眺めるのではなく、自分もその世界に飛び込み、当事者として没入できるような体験が「イマーシブ体験(※)」と呼ばれているようです。
※本記事で述べるイマーシブ体験は、デジタル技術(VR・AR等)を用いた視聴覚的な体験ではなく、構築された世界観・物語への没入を指すものとします。
それでは、イマーシブ体験ができるコンテンツにはどのようなものがあるのか、代表的なものをいくつかピックアップしてみたいと思います。
・イマーシブシアター
客席に座って舞台上の演技を観るのではなく、観客も物語の一部として作品に参加するスタイルの演劇です。一般的な劇場だけではなく、ホテル、倉庫、病院や列車など、さまざまな種類の空間が会場として用いられ、内装や小物類、照明や空調にいたるまで、没入感を高めるための工夫が施されます。参加者は、まるで映画やドラマの世界へ入り込んでしまったかのように、目の前で繰り広げられるパフォーマンスを楽しみます。
最近では、村全体を会場にした公演も登場するなど、その規模や趣向は多様な広がりを見せています。
イマーシブシアターは、演者の誘導によってある程度順を追って物語を体験するものと、会場の空間内を観客が自由に動き回って探索できるものに大別され、中には参加者の行動によって物語が分岐するマルチシナリオを採用している公演もあるようです。
冒頭で挙げた『イマーシブ・フォート東京』は、このイマーシブシアターの日本初の常設店舗です。
・マーダーミステリー
殺人事件を題材にした体験型の推理ゲームです。複数人の参加者が集まり、事件の容疑者や探偵などのキャラクターになりきって推理や会話、調査を行います。事前に配布されるキャラクターシートには、自分に割り当てられた役がどのような人物か、どんな秘密を持っているのか、他の登場人物とはどんな関係性なのか、などが事細かに書かれていて、参加者はその指示に従ってキャラクターを演じます。犯人役になった人は、もちろん自分が犯人であることを隠し通さなければなりません。
マーダーミステリーは、通販等でシナリオを購入し、仲間内や参加者を募ってプレイする方法と、定期的に店舗公演を行っている専門店へ行き、そこへ集まった人たちとプレイする方法があります(店舗公演は完全予約制がほとんど)。また、マーダーミステリーの手法をベースに、出演者が台本無しの即興劇を繰り広げるというテレビ番組も放送されています。
・リアル型脱出ゲーム
自分自身が物語の主人公となって謎を解き、様々な閉鎖された空間から時間内に脱出することを目的とした、体験型ゲームイベントです。数名のグループで決められた部屋から脱出する"ルーム型”、複数チームが広い会場で同時に脱出に挑む"ホール型"、ドーム球場や遊園地を貸し切って行われる”スタジアム型”など、大小さまざまな規模で開催されています。
ルーム型の脱出ゲームなどは、常設店舗が全国各地で展開されています。
もともとはインターネット上で遊べるコンピュータゲームだった「脱出ゲーム」を、生身の人間で遊べるようにしたのがこのリアル型脱出ゲームだと言われています。おそらく国内で一番メジャーかつ、歴史の古いイマーシブ体験なのではないでしょうか。
※『リアル脱出ゲーム』はSCRAP社の登録商標なので、その他の団体が開催するイベントも含める意味でリアル”型”としました。
さて、イマーシブ体験のできるコンテンツを3つほど挙げてみました。ジャンルや形態は様々なれど、共通して言えるのは「非日常を体験できること」「体験するのが自分自身(一人称視点)であること」ではないでしょうか。また、いずれのコンテンツにも歴史があり最近始まったものではありません。それらに共通する要素として、イマーシブ体験という表現が使われ出したのではないかと考えます。
2.ARGとは
第四境界が手掛けるのは、ARG(代替現実ゲーム)というジャンルの作品です。このARGもイマーシブ体験のひとつです。その歴史は古く、世界初のARGは2001年に映画「A.I.」のプロモーションとして行われた「The Beast」だそうです。
では、ARGがどのようなコンテンツかというと、その定義はかなり幅広く、一言で言い表せるものではありません。
映画の予告編に存在しない人物の名前がある
トレーディングカードの謎を解くと制作者が行方不明だと判明する
呪いに巻き込まれた女子高生たちがYouTubeで視聴者へ助けを求める
なんと、すべてARGの導入部分です。
見てわかる通り、映画、トレーディングカード、YouTubeと、媒体は全く異なりますが、これらは「ラビットホール」と呼ばれる物語世界への扉です。そこへ足を踏み入れたプレイヤーは、いろいろな体験を通して非日常の世界へと没入していきます。
ちなみに、Wikipediaには次のように記載されています。
代替現実ゲーム(だいたいげんじつゲーム、英: alternate reality game)は、日常世界をゲームの一部として取り込んで現実と仮想を交差させる体験型の遊びの総称である。
インターネット、テレビ、雑誌、ラジオ、ポスター、映画、FAXサービス、携帯電話、携帯ゲーム機など様々なプラットフォームの一部もしくは全てを通して提供される断片的な情報を、不特定多数のプレイヤーが協力して情報を主体的に集めながらゲームの進行へ影響を与えることで、1つの大きなストーリーが明らかになってゆくという特徴を持つ。
ひとつ例を挙げると、2024年の2月~3月にかけて開催された「Project:;COLD 2.0 ALTÆR CARNIVAL」では、次のようなイベントが行われました。
・YouTubeの生配信で謎解きタイムアタック
・LINEを利用した一人一回の謎解きガチャ(全100問)
・参加者によるLinuxサーバーへのハッキング
・全国各地のカプセルトイに封入された20枚の紙片を集める
・実際に行われた架空の人物のサイン会に参加し手掛かりを得る
これらすべて、同じ作品内での出来事です。私たちが普段過ごす日常の世界にある、さまざまな媒体をゲームの一部として使い、現実と仮想を行ったり来たりして物語の世界へ自ら飛び込む、もしくは、気づけばいつの間にか飛び込んでいる。ARGはそんな感じのコンテンツです。
ARGに含まれる要素については、以下のページが非常に詳しく説明してくれていますので、より深く知りたい方はぜひご覧ください。
明確な定義のない(当てはまるものが多すぎる)ARGですが、第四境界ではそのスタイルを【リアルタイム型】と【常設型】の二つに分けています。リアルタイム型はその名の通り、現実世界と同じ時間軸で物語やイベントが進行していき、プレイヤーがそれを追いかけるスタイルです。一方、常設型は物語の舞台装置があらかじめ用意され、それに対してプレイヤーがアクションを起こすことによって物語が進行します。
例に挙げた「Project:;COLD」はリアルタイム型にあたります。
二つのタイプの大まかな特徴を私なりにまとめ、比較した表が下記になります。

ちなみに、第四境界の作品はその大半が【常設型】に区分されます。
3.イマーシブ体験は敷居が高い?
さて、ここからが本題です。
私は第四境界の魅力を『圧倒的に敷居の低いイマーシブ体験』であると結論付けました。
そもそも、イマーシブ体験は敷居が高いのでしょうか?
その説明に移る前に、ひとつだけお詫びがあります。
実は、イマーシブ体験の項目に挙げた「イマーシブシアター」「マーダーミステリー」を、私は一度も体験したことがありません。「リアル型脱出ゲーム」についても、一度しか参加していません。記載した説明はすべて、ネットの情報をまとめただけです(ごめんなさい)。
どれも素晴らしく、魅力的なコンテンツだというのは十分に理解しているつもりです。それなのに、どうして一度も体験していないのか。
そう、
『敷居が高い』からです。
楽しそうなのは分かる。でも、行こうという気になれない。
なぜそう感じてしまうのか?
あらためて整理してみると、そこには三つの高い敷居があることが分かりました。
※以下に記載する内容は個人的な見解です。
※各コンテンツを貶す意図は一切ありませんのでご了承ください。
これは、イマーシブ体験に限ったことではないのですが、「イマーシブシアター」や「リアル型脱出ゲーム」には、開催地・開催日時が決まっていて、都合が合わないと参加できません。また、いつでも公演を行っている常設店舗は都市部にしかなく、地方住みは気軽に行くことができません。近場の大きな施設で、年に数回あるかないかの公演を待ち、そこへスケジュールを合わせて参加するしかないのです。
これがひとつ目の敷居、【スケジュールの敷居】です。
「リアル型脱出ゲーム」は、もちろん謎を解かなければ脱出することができません。「謎解き」という言葉は今や市民権を得て、さまざまな個人・団体が制作を行うエンタテインメントとして成立しています。私も、簡単な問題ならそれなりに解けますが、脱出ゲームに用いられるような難しい謎解きとなると自信がありません。せっかくお金と時間を使って参加したのに、脱出に失敗してしまったら……。と考えると、参加を躊躇ってしまうのです。
これがふたつ目の敷居、【謎解きの敷居】です。
「マーダーミステリー」では、与えられたキャラクターになりきり、設定に合わせた演技を行う必要があります。また、一部の「イマーシブシアター」でも、観客に役割が与えられ、登場人物の一員となるパターンもあるようです。そのような”役割を演じる”ことを「ロールプレイ」と呼びます。このロールプレイ、物語への没入効果を高めるにはうってつけの要素なのですが、慣れない人や初心者にはかなり勇気が要る行為です。
これがみっつ目の敷居、【ロールプレイの敷居】です。
あくまでも個人的な見解ですが、上記の高い敷居によって、魅力的でディープなイマーシブの世界へ足を踏み入れることができないのです。
4.圧倒的な敷居の低さ
私のイマーシブ体験への参加を阻む、三つの敷居を挙げてみました。では、第四境界作品はその敷居をどのように低くしているのでしょうか。それぞれ順番に見ていきましょう。
【スケジュールの敷居】
まずは、こちらの動画をご覧ください。
動画に登場した少年院のサイトは、実際にインターネット上に存在します。下のリンクからサイトを開き、動画の続きを調査することが可能です。
その瞬間から、あなたはすでに物語の中に居ます。制限時間も無ければ、チケットを買う必要もありません。インターネット環境さえあれば、好きな時間にどこからでも物語を楽しむことができます。驚くほど手軽に始められる作品なのですが、その敷居の低さとは裏腹に、物語の内容は複雑に入り組んでいて、普通の人ならクリアまで数日を要するでしょう。
先述した通り、第四境界の作品はそのほとんどが「常設型ARG」です。オンラインショップで商品を購入して自宅に届いたり、かがみの特殊少年更生施設のようにネット上のサイトへアクセスするだけで、イマーシブな体験を始めることができます。【スケジュールの敷居】は、家から一歩も出ずに始められるという手軽さによって下げられています。
【謎解きの敷居】
第四境界作品には、いわゆる”ひらめき系”の高難度な謎解きは一部を除いて登場しません。手がかりを元に新しい情報を発見し、そこで得られた手掛かりでまた次ヘ進む、といった具合に、物語に沿って行動していれば問題なくクリアへたどり着けます。かと言って、決して簡単すぎるというわけではありません。「謎を解いて先へ進んでいる」という手ごたえをしっかりと感じながら、物語を追っていけます。
また、有料作品の場合は丁寧なヒントサイトが用意されていますし、物語の登場人物からサポートが受けられる場合もあります。どうしても行き詰った場合は、公式Discordサーバーでクリアした方々へ質問するのもいいでしょう。
ARGにはつきものと言っていい謎解き要素ですが、未経験の人でも問題なく楽しんでもらえるよう、十分な配慮がなされています。これにより、【謎解きの敷居】が下げられています。
※高難度な謎解きを求める人に向けた、「Ds試験」と言う謎解きイベントも開催されました。
【ロールプレイの敷居】
私が最も感心したのが、このロールプレイの敷居の低さです。
物語の世界へ没入するとき、登場人物になりきるのはとても有効な手段だと思います。でも、いきなり演技しろと言われても難しいですよね。それが生身の人間相手であればなおさらです。
第四境界の「人の財布」シリーズでは、作中の登場人物とコミュニケーションを取って物語を進める場面があります。

たとえば人の財布の場合、相手に自分が何者であるかを説明する必要がありますが、まさか「ARG商品を購入して遊んでいる者です」と名乗るわけにもいかず、うまく誤魔化す必要があります。つまり、「財布を入手した人」の役を演じる必要があるのです。また、相手の背景や想いを知った上で接するため、自然と感情移入した文面を書きたくなってしまいます。キャラクターシートなどありませんが、人の財布には明確な役があります。
さらに、交流に使用するのはメールやチャットツールなので、瞬発力を求められることなく、ゆっくりと文面を考えた上で送ることができます。対面ではないので緊張する必要もありません。
この自然と演じたくなってしまう仕掛けによって、【ロールプレイの敷居】は格段に低くなっています。
ここで挙げた、三つの敷居の低さを以下にまとめます。
自宅でいつでも遊べるので【スケジュールの敷居】が低い
適度な難易度と手厚いサポートで【謎解きの敷居】が低い
演じたくなってしまう仕掛けで【ロールプレイの敷居】が低い
第四境界作品の敷居の低さ、なんとなくでも伝わりましたでしょうか。
5.さいごに
『圧倒的に敷居の低いイマーシブ体験』と位置付けた第四境界作品。驚くほど気軽に始められる一方で、そこで得られるのは非常に濃密で没入感のある物語体験です。
第四境界の運営を担う「株式会社ストーリーノート」は、かつてスクエアエニックスでドラゴンクエストシリーズのディレクターを務めた藤澤仁氏が立ち上げた、物語づくりの専門集団です。藤澤氏は自身のnote記事で「ARGでしかできない独特な物語表現がある」と綴っています。
ARG(Alternate Reality Game)はその名のとおりゲームの一種ですが、第四境界が最優先にしているのは「物語性」なのだと、彼らの作品に触れるたび思います。
もしも、イマーシブ体験と呼ばれるコンテンツに触れたことのない方がおられましたら、ぜひ第四境界の「人の財布」を試してみてください。私が一発で虜になった、彼らのデビュー作です。
もちろん、ARGがすべてを持っているわけではありません。イマーシブシアターやマーダーミステリーでしか味わえない興奮や感動は必ず存在すると思います。第四境界作品で得た体験は、そこに一歩踏み出すためのステップになるはずです。一度も体験したことのない私が言っても説得力がないかもしれませんが……スケジュールの敷居さえクリアできれば……。
最近では、イマーシブシアター的要素を持つマーダーミステリーや、物語性に特化した脱出ゲームなど、複数のコンテンツの要素を組み合わせたイベントも登場し始めました。そして第四境界も、2025年4月に【リアルタイム型】と【常設型】のノウハウを融合させた【交錯型ARG】という新ジャンルの作品を公開予定です。今後、イマーシブな体験はより進化し、多様化していくのではないかと感じています。
そんな時代に乗り遅れないために、まずは圧倒的に敷居の低い第四境界作品で、イマーシブな世界の扉を開いてみませんか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
第四境界についてもっと詳しく知りたい、という方は以下の記事もぜひご参照ください。