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無理だと思っていた誕生日が迎えられる‥


在宅看護始めて3週間。
義父は明後日、89歳の誕生日を迎えることができそうだ。

点滴のみの生活になって約2か月になる。が、義父は元気だ。

人が点滴だけで生きられる時間ってきっとそう長くはないのだろう。

“その時”を私たちはどのように迎えるのだろうか‥

近い将来、確実にやってくる“その時”をどんな風に迎えるのだろう。
そのことは頭の片隅にずっと潜んでいる。おそらく夫も。

耳が遠く、ろれつも回りにくい今となっては言葉を発することもなければ筆談で書ける力もない。思いを交わすことができない‥。
もしも交わすことができ認知度も高ければ気持ちもわかるし楽しいやりとりもできるだろう。そのかわり‥、もっともっと切ないだろうな‥。
義父のように、意識はあり、意思の疎通(たとえば右を向いてとか、腕の曲げ伸ばしを真似してみてとかが通じる程度のこと)はできるが、常にぼんやりと霧の中にいるほうが、迫り来る別れとの葛藤による苦しみからは少し距離を置けるかもしれない。そばにいる私たちもまた然り。

今この時にでも、その苦しみと闘っておられる方は何万人とおられる。なんて苦しいだろう‥切ないだろう‥。


もっと深い霧の中にいる義母は‥

義父の伴侶、義母はすでに認知症の域におり、義父よりもっと深い霧の中にいる。64年連れ添った伴侶がいなくなることを、どんな風に受け止めることになるのか、私たちはどんな風に伝えればよいのか、今ものすごく不安だ。
“その時”が来たら、その時考える。いや、こればっかりは私は一度じっくり考えておきたい。
早くしないと時間がない‥。

では、最近の在宅看護の様子をちらり‥

デイサービスの温かい愛に‥


デイからの帰宅が15時半だとちょっと早くて、迎え入れが難しく困っていたら、こんなうれしいお言葉が‥
「北居さんにはどうしても来てほしいので何とか16時半にお送りできないか、さきほど会議で話し合いました。スタッフに一瞬見せてくださった笑顔がたまらなくて。20分ほどの隙間を使えば送れそうな調整が出来ました!」
なんて温かいんだろう〜。そして、義父が微笑んだなんて!きっとあちらでも優しく対応してくださってる証拠だなぁ〜 

「ぎゃあ〜、点滴の針が、ぬ、抜けたぁー。」夜19時ごろショートステイに迎えに行って家に着いた際、福祉車両から電動で車椅子ごと下ろす時に、体からつながっている点滴グッズが引っ掛かり針が抜けるという恐ろしい事をやらかしてしまった。慌てて訪問看護師さんに連絡。ありがたいことにまもなく来てくださり事なきを得た。

こんな風に支えてもらいながらの在宅看護。みなさんのおかげで明後日の誕生日を迎えられそう〜感謝。

庭には、サルスベリの名残りと、紅く染まりかけたモミジ。季節のバトンタッチが行われている。
昔、義父にたずねたことがある。
「(1年間の中で一番好きなのは)9月。誕生日があるから。それから、お米が穫れるから。」
妙に印象に残っている言葉だ‥。
米作りに熱心だった義父、あかん‥涙がにじんできた。今日はここまでにしておこう。
嫁いできたばかりの私が義父からコンバインを操る手ほどきを受け、稲刈りをしたエピソードを次回に‥。


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