一家団欒
どこかの郊外にある、少しだけ古びた公団住宅。
その中にある切り取られた風景。
夫、颯一
妻、二花
長男、三四朗
次男、大吾
仲の良い家族。
ある日の夕食時。テレビにはバラエティ番組が流れている。
テーブルを囲んで食事をしながら、子どもの事を中心とした話で盛り上がる。
時折笑い声が重なる。
どこにでもある家庭の、よく見る風景。
食事も終わりに近づき、ひと仕切り話が途切れたところで二花が何気なく口を開いた。
「ねえ、そう言えば、こないだのアレ、どうなった?」
柔らかだった雰囲気が固まる。
颯一の口は閉じたままだ。
開けないと言った方が正しいか。
大吾はテレビの方を向いたまま。
そもそも話を聞いていない。
静寂に耐えかねた三四郎がつぶやく。
「…それで解れは無理があるよ」
「いいの!アタシが分かっているんだから!で?どうなったの??」
二花が声を大にして言う。
…どうにもならない。
なんのはなしですか