西へ vol.5
今、ホテルの部屋のドアがガチャガチャした。
?
はい?
何度も無理矢理ドアを開けようとする。
いやいや、もう部屋に宿泊している人がいるんですけど。
こちらは連泊なんですけど。
鍵かかってますけど。
オイオイ、部屋間違えているよね?
でも、まだドアを開けようとする。
開かないよ。
わかるでしょ?
でも、まだ何度も開けようとする。
何度もガンガンと繰り返す。
体感にして数分。
身体が強張る。
流石に怖くなってきた。
もう、無理!
フロントに電話して、助けを求めた。
待っている間、まだドアを開けようとする。
何度も、何度も。
繰り返す。
しつこい程に。
しばらくして、話し声がして、ようやく静かになった。
すこし経ってからフロントから電話が。
部屋を間違えていたとのこと。
申し訳ございません、ご迷惑をお掛けしました、とフロントの女性が謝罪。
(あなたが謝る必要はありません。丁寧な謝罪で逆にこちらが恐縮してしまう)
ほっとしたけど、何だか凄く疲れた。
すごく緊張して、ぐったりしてしまった。
息が止まるかと思ったし。
オレ、悪いことしてないよーって思っちゃったし。
あのさぁ、確認するってしない?
ドアにルームナンバー書いてあるよね?
自分の勘違い、間違いに気が付かない?
ドアが開かない時点で変だな?って思わない?
めちゃめちゃ怖かったよ、ホント。
酔いが一気に冷めた。
また飲み直し。
おつまみが少ないけど気を取り直して。
ホントに疲れた。